また、ミュージカル『アニー』の季節がやってきた。春の定番ミュージカルとしてすっかり定着している。
原作はコミック、つまり”2.5次元”なのである。原作のコミックが発表されたのは1924年のこと、1979年まで、半世紀以上に渡りニューヨーク・デイリー・ニューズに連載された。ミュージカル化されたのは、1977年(前年にトライアウト)、同年のトニー賞に於いて11部門にノミネートされ、ミュージカル作品賞、作曲賞、ミュージカル脚本賞を始め7部門を受賞した。日本では1978年に日生劇場において初演。1986年には、日本テレビの主催・製作となり、現在に至る。演出は2017年より山田和也が担っている。
2020年はコロナ禍により、東京公演・地方公演とも中止、選ばれていた子役は2021年の公演に出演したが、この公演もコロナ禍で4月24日の東京公演のみ。今年、満を辞して、の公演となり、上演時間は90分、”コロナ”ヴァージョン。
物語については説明する必要もないくらい知られている。1929年9月4日頃から始まったアメリカの株価の大暴落、1929年10月24日の株式市場の暴落(暗黒の木曜日)で世界的ニュースに。アメリカの失業率は23%に、『アニー』はそんな時代を描いている。孤児院を抜け出したアニー、街には失業者が溢れている。時は1933年、まだまだ不景気だ。ひょんなことで、ウォーバックスの自宅で休暇を過ごすことになったアニー、彼女の前向きな姿に惹かれたウォーバックス、彼もまた、貧しい家の出だったが、努力の末に大富豪になった人物。アニーを気に入り、養女にしたいと考えるが、アニーは両親と暮らすことを夢見ていた。そんなアニーの姿に心打たれ、彼女の両親を探すことに…という流れ。
ゲネプロは「チーム・モップ」。アニー役は山本花帆、東宝ミュージカル『マリー・アントワネット』(21年) (マリー・テレーズ役) ミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』(20年) (チャリティ役)ですでに他の作品に出演歴がある。
Overtureのあと、孤児院のシーン、一番年下のモリーが「ママ、ママ」と泣いている。その声が「うるさい」という子もいるが、皆、本当のところは親が恋しい。そんなモリーをアニーが慰める。アニーは元気な女の子、うまいこと孤児院から抜け出すも、連れ戻されてしまう。
孤児院のハニガン(マルシア)、絵に描いたような!鬼の形相で!彼女の弱点はイケメン(笑)、クリーニング屋のイケメンに接近したり、アニーを連れてきた警官にまで(笑)。マルシアがコミカルに激しく!ハニガン役は2回目(1回目は2017年)、怒った顔が怖いを通り越して!思わず笑ってしまう。
彼女の弟・ルースター(財木琢磨)、チャラさ全開!孤児院内ですれ違ったグレイス(笠松はる)に色目を使ったり。彼の恋人・リリー(島ゆいか)、派手なメイクに派手な服(品がない)、ルースターとはいいコンビ。そしてウォーバックス、今回お初の葛󠄀山信吾。ミュージカルはかなり久しぶりだが、ここ近年は舞台が続いており、今年は舞台『サザエさん』のマスオ役が記憶に新しいが、ウォーバックスは真逆の役柄、10歳で両親が他界、金持ちになるべく邁進していたが、アニーと出会い、「ともに歩く人がいないとそれは貧乏と同じだ」と気が付く。
とにかく大々富豪、葛󠄀山信吾が貫禄を見せる。また、2017年よりウォーバックス役は髪の毛がある(それまではスキンヘッド)。原作コミックではスキンヘッド、だが、髪の毛があっても違和感なし、葛󠄀山信吾版ウォーバックス、髪をビシッと撫で付け、キマっている。そしてグレースは劇団四季で数々のヒロインを演じた笠松はる、オペラ『紅天女』ではタイトルロール、とにかく歌で魅せる。マルシアとの、ちょっとした”歌合戦”もあるので、ここは感心しつつも思わず笑ってしまうところ。
最初からオチも全てわかっているが、有名なミュージカルナンバー多数、セットもしっかり楽しめる、ラストの特大クリスマスツリー、いつ見ても煌びやかで春だけど、しばし、クリスマス。千秋楽まで無事に走り抜けて欲しい。原作発表から、もうすぐ100年!!
会見コメント
山崎杏より
(明日初日で)緊張しているけど、体を整えて初日を迎えたいです。
大変だったこと 心の動きが大きい役なので(自分の心で思っても外に出すコトが難しいから)表に出せるよう苦労しました。夢は俳優になって色んな舞台や作品に出られたらいいなと思います。
新生活で始めたこと 体力作りとノドのケアです。
山本花帆より
明日初日を迎えますが、稽古で色々頑張ったことを全て出し切りたいと思います。主役で歌やダンスが沢山あるので、全て覚えるのが大変でした。夢は女優になって舞台や映画、ドラマなど色んな事に挑戦したいです。
新生活で始めたこと オーディションに受かってから、サンディたちを抱っこする為に腹筋を毎日100回やって鍛えています。
葛󠄀山信吾より
久しぶりのミュージカルですが、皆さんと楽しんで演じていきたいと思っています。昨日の稽古で始めてマスクを外したのですが、新しい発見や感覚で日々楽しみながら(作品を)育てていきたいと思っています。
アニーくらいの年の頃はどんな子供だったか? 一人でランドセルを背負って帰るような大人しい子でした。
マルシアより
明日初日を迎えられることにドキドキとワクワクが重なっています。この2年、複雑な思いでやってきたので最後まで走り切りたいです。マスクをしながらの芝居や歌の稽古で、かなり背筋力や肺活量が鍛えられました(笑)デビュー34年目、これからも体力をつけて夢を与えられる仕事をしていきたいと思っています。
笠松はるより
正直やっとここまでこれたという気持ちです。稽古中も感染予防対策をきっちりして検査の度にドキドキしていました。明日初日を迎えれることに感謝しています。このまま最後までみんなで走り抜けたいと思います。
アニーくらいの年の頃はどんな子供だったか? 『キャッツ』を観てミュージカルに出る人になりたいと思っていました。アニーの二人はもうすでに主役を演じていて本当にすごいと思います。
財木琢磨より
無事に開幕できることに幸せを噛みしめています。『アニー』がこれだけ長く愛されている理由が観てもらえればわかると思います。素晴らしさを伝えつつ、楽しんで演じたいです。稽古中は楽しく、幸せな思い出しか残っていません!
『アニー』を続けられるならまたルースター役を演じたいですし、ゆくゆくは葛󠄀山さんみたいにウォーバックスも演じられるようになりたいです。
島ゆいかより
子供たちの「アニーが大好き、愛してる」という気持ちに溢れて芝居もキラキラしているのを強く感じました。この輝きをよりキラキラと輝かせる為に改めて頑張りたいと思いました。この公演ができることの幸せと奇跡をかみしめながら日々楽しんでいけたらと思います。
アニーくらいの年の頃はどんな子供だったか? 熊本の自然の中でのびのびと自由に生きていました。
<制作発表会>
https://theatertainment.jp/25dimensional/97171/
<アニー役発表会>
https://theatertainment.jp/25dimensional/91253/
概要
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
日程会場 :4月23日(土)~5月8日(日) 新国立劇場・中劇場
8月に夏のツアーあり。
出演:山崎杏、山本花帆、葛󠄀山信吾、マルシア、笠松はる、財木琢磨、島ゆいか 他
公式 HP: https://www.ntv.co.jp/annie/
©NTV
Annie2022©NTV