TVアニメ『歌舞伎町シャーロック』2019年秋OA)の舞台化、開幕。
『歌舞伎町シャーロック』は、数多くの大ヒット作品を手掛けるProduction I.G制作のオリジナルTVアニメで、架空の町・新宿區歌舞伎町を舞台にしたコメディありサスペンスありの独特なストーリーが大きな注目を集めた。
主演の新木宏典がシャーロック・ホームズを、そしてジョン・H・ワトソンは鈴木裕樹。脚本は岩崎う大(かもめんたる)、 演出は元吉庸泰、会場は、この`24年1月に東京ドームシティ内に開館したIMM THEATER。
舞台は壁とゲートで東西に分かたれた新宿區歌舞伎町。ウェストサイドで監察医を勤めていた青年医師ジョン・H・ワトソン(鈴木裕樹)は、風変わりな依頼を好むという探偵シャーロック・ホームズ(新木宏典)を探していた。モノローグ、語り部的な立ち位置。ホームズがいると思われるイーストサイドの「BARパイプキャット」へ。ここにはかなり個性的な面々が。
店長のハドソン夫人(磯貝龍乎)、オネエで髭、一度見たら忘れられない(夢に出そうな)風貌でセクシーなドレス姿。そこには、京極冬人(稲垣成弥)、メアリ(佐倉初)・ルーシー(古畑奈和)姉妹、、小林寅太郎(日向野祥)、皆、探偵。肝心のホームズの姿が…。彼はかなりの変人、ワトソンはシャーロックに自分の近辺で起こる不審な事象の捜査を依頼すべくここに来た。ようやくホームズに会えたワトソン、物語はここから本格的に動き出す。
基本、ワトソンの視点で語られるのは原作と同じ。ここで描かれているのは切り裂きジャックのエピソード。19世紀末にロンドンで実際にあった有名な事件だ。この作品は『シャーロック・ホームズシリーズ』のパロディなので、事件、登場人物など、『本家』を知っていればかなり楽しめるはず。ホームズは明晰な頭脳と推理力を持つが、なぜか落語が好き。
推理を披露する時は落語の形式で語り聞かせる推理落語を行う。うっすら笑いを浮かべながら始める。新木宏典の芝居、嬉々とした表情がなんとも言えない。対するワトソンは常識人。絵に描いたような真面目キャラ、ヘンテコなキャラが多い中ではかなり目立つ存在。京極冬人は潔癖、融通が効かない、白手袋を常にはめてる、メアリ・モーンスタンは小悪魔系ギャル探偵、頭が良く、ルーシー・モーンスタンは目つきの鋭い美男子に見えるが、実は女性、妹のメアリには甘い、小林寅太郎は義理人情に篤いあんちゃん探偵、この舞台でも描かれているが、兼古組のヤクザだった頃に、ある漫画家のところに借金の取り立てにいくも情が湧いて、彼の夜逃げを見逃した事から破門を言い渡された、という異色の過去をもつ。
殺人事件、見るも無惨な死体、この事件を解決すべく、探偵たちが戦う、お金のために(報酬は1000万!)誰がこの難事件を解決するのか?が大体の流れ。探偵ではないが、この「BARパイプキャット」に出入りしている高校生、ジェームズ・モリアーティ(設楽銀河)、シャーロックの部屋にも出入りしている、ちょっと謎めいた少年。彼には悲しい過去が、双子の妹アレクサンドラが殺されている、切り裂きジャックに。よって探偵ではないが、ジャックを追って復讐しようとしている。
物語はテンポよく展開、セットは俳優陣が動かす。右往左往するワトソン、推理の要素はもちろん、ところどころに笑えるエピソードを挟み込む。ホームズは妙な味覚の持ち主で舞台上では寿司に生クリームをつけて食すシーンも。
そして見どころ、ホームズの落語、またラスト近く、どんでん返しに次ぐ、どんでん返しで、なかなかにハードなシーンも展開。アニメを視聴してたならオチもわかるが、それでもやはり観てしまう。おかしくも愛おしい登場人物たち、無機質な空気感の中で熱く、ハートフルに生き生きと物語の中に生きている。
上演時間は休憩なしの1時間40分。なお、ライブ配信(5月23日19:00公演)も予定されている。劇場へ行かれない方も行った方も!
イントロダクション
新宿區イーストサイド……混沌を極めたその街の中心には、ネオン瞬く歌舞伎町が広がっていた。
光が強けりゃ影も濃い。悪人どもの潜む暗がりの、そのまた奥に探偵長屋の明かりが灯る。
ハドソン夫人の営むその長屋は、なくて七癖、曲者ぞろい。野心満々のケッペキ探偵に、男を化かす姉妹探偵。
はたまた刑事くずれのオッサン探偵がいるかと思えば、ヤクザを破門されたアンチャン探偵……
そして真打は、落語をこよなく愛する天才探偵シャーロック・ホームズ。
切り裂きジャックによる猟奇殺人が起きたその夜、舞台の幕は上がった。
探偵どもの化かし合いを横糸に、シャーロック、ワトソン、モリアーティ、三つどもえの友情を縦糸に……
ミステリー?いやさコメディ?なんともはや、判別不能ドラマのはじまりはじまり~。
概要
日程・会場:2024年5月17日(金)〜26日(日)IMM THEATER
キャスト・配役
シャーロック・ホームズ 役…新木宏典
京極冬人 役…稲垣成弥
ジェームズ・モリアーティ 役…設楽銀河
メアリ・モーンスタン 役…佐倉初
ルーシー・モーンスタン 役…古畑奈和
小林寅太郎 役…日向野祥
ハドソン夫人 役…磯貝龍乎
ジョン・H・ワトソン 役…鈴木裕樹
スタッフ:脚本:岩崎う大(かもめんたる)
演出:元吉庸泰
公式サイト:https://kabukicho-sherlock.delight-company.com/
©2024舞台「歌舞伎町シャーロック」製作委員会
©歌舞伎町シャーロック製作委員会