ミュージカル『アニー』製作発表会レポ

今年で上演40年目を迎えるミュージカル『アニー』の製作発表会が行われた。


まず、最初に日本テレビ放送網株式会社の澤桂一より挨拶。
「『アニー』は今年40年目という節目の年を迎えることになりました…長く続けるということは本当に素晴らしいと同時にまた大変なことでもありました」と語り、またコロナ禍の時期についても触れた。中止、公演短縮などの危機も。 そしてアニー役のOGたちの活躍は目覚ましいものがあり、特に昨年は『SHOGUN 将軍』の快挙が記憶に新しいが、アンナ・サワイ(澤井 杏奈)、実はアニー役(2004年)を務めた”アニーOG”。そのことにふれ、「彼女がめでたくゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞されたというニュースでございました。 ただもちろん彼女だけではなくて最近はアニー出身の方が非常に各方面で活躍されているというニュースが私の耳にも届いてまいります」とコメント。またダンスキッズも含めて総勢26名の元気な子どもたちが出演。最後に「大人キャストの方は藤本さん、須藤さんに加えまして、愛原さん、赤名さん、浜崎さん、3名のフレッシュな方がおりまして、山田(和也)演出、今年もどんなアニーができるんだろうかと、今から大変楽しみにしております。ありがとうございました。」と締め括った。

それから丸美屋食品工業株式会社の代表取締役阿部豊太郎より挨拶。
「日本テレビさん主催で日本公演をスタートさせて40年目ということでございます。私どもの協賛の年数はまだその半分ちょっと23年でございます。ロングラン、歴史のあるミュージカルに育ちました…今年も協賛させていただくことになりまして大変光栄に思っております。 微力ですが、精一杯ですね、サポートさせていただきたいと思います」と挨拶。そして「オーディションシステムで今年も大勢応募されて、そこから選ばれて非常に元気で才能の豊かで、可能性のある子役の皆さん、元気のいい舞台を作ってくれることになると思います」と語り、また、「第2のアンナ・サワイさんが生まれてくるんじゃないかと思って期待しております」とコメント。そして例年通りの”差し入れ”「十分に差し入れ供給をさせていただきたいと思います。キャストスタッフの皆さんには元気のいい舞台を作っていただきたいと思います」と挨拶した。

そして出演者が衣装着用で登壇。藤本隆宏(ウォーバックス)と須藤理彩(ミス・ハニガン)は続投、愛原実花(グレース)、赤名竜乃介(ルースター)、浜崎香帆(リリー)は初参加となる。大人キャストが登壇してから、アニー役の丸山果里菜、小野希子、ちょっと緊張気味に、元気に登壇。

まずはキャスト陣から。

藤本隆宏は実は今年で8回目のベテランなウォーバックス。MCより意気込みなどを聞かれて。

藤本隆宏「こうして2025年版に出演できるということ、とても嬉しく思っております。そして今年は須藤さんもね、去年もご一緒だったんですけども、他のメンバーが初めて。新たな気持ちで、そして初心を忘れずに今年の方が苦戦していきたいと、そのように思っています。また今年は40年目、そういう節目の大きな公演に出させていただけるということそれも嬉しく思っております。これも『アニー』という作品が持ってる魅力、力、そういったものがあって、継続しております。また『アニー』ファンの方が、40年ずっと支えてくださり、また協賛の皆さんにサポートいただきながら行い、そして何よりもこれまで演じられてきたスタッフそしてキャストの皆さん、特にウォーバックスはバックスは、平野忠彦さん、三田村邦彦さん等多くの先輩方が代々演じられてきて、そしてバトンを受け継いで40年目ということになったんですが、私もしっかりそのバトンを…40年だけではなくて50年、そして100年と続けられるような作品になるよう、精一杯、爆走、演じていきたいと思っております」

須藤理彩「引き続き任せていただけたということで、これは本当に大変光栄なことだなと思っています。役者にとっては同じ役を任されるというのは本当に一番の何かご褒美なんじゃないかなと思っているので、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。去年よりもさらに憎たらしくて怖くて、あの嫌なハニガンを作りたいなと思っています。 でも最後の最後にちょっとやりすぎると、藤本さん笑ってしまうんですよ、舞台中に笑い出してしまうので(本当はでも優しいんですよ。本当に子供大好きで、もうね、バックヤードではすごくニコニコされてるんですby藤本隆宏)、トラウマにならないぐらいで収めようかなと思ってるんですけれども、大暴れしたいなと思います…また来年に良いバトンを繋げられる素敵な公演にしたいなと思います」

愛原実花「歴史のある素晴らしい作品に参加させていただくこと、とても嬉しく思います。 初参加ということで少し緊張もしていましたが、先ほど皆様とお話させていただいて、なんだかとっても楽しい雰囲気になりそうな気がして、すごく今から楽しみにしております。その雰囲気をお客様にもお届けできますように、私自身も精一杯頑張りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします」

赤名竜乃介「このような40年目を迎える歴史ある作品に携わることができて本当に光栄に思います。子供たちから本当に幅広い層に愛されている作品だと思いますので、このアニーの魅力を全部お届けできるように、しっかり役に向き合って、本番を迎えたいと思います」

浜崎香帆「このような素晴らしい作品に携わらせていただくことを本当に嬉しく思います。私個人として悪役は初めての挑戦になるので、イタズラ心を出すときが来たなとすごくわくわくしております。悪役と言って言ってもやっぱり芯のある強い女性であると思うので、そういう部分も出せていけたらいいなと思いますし、リリーらしい愛らしいところもいっぱい引き出せていけるように頑張りたいと思います」

大人キャストの挨拶が終わり、アニー役の丸山果里菜、小野希子への質問。

Q:決まった時の感想。

丸山果里菜「びっくりして嬉しかったです。 信じられなかったです最初はすごく信じられなかったですやっと実感は湧いてきてます」

小野希子「まず最初に一瞬呼ばれたのかわかんなくなっちゃって、でも呼ばれたときはすごく嬉しくて自然に涙が出てきちゃいました。(「周りから何か言葉をかけられましたか、おめでとうとか言われましたか」の問いかけに)はい、言われました。 (さらに「誰からどんな言葉をかけられたか覚えてますか」と聞かれて)覚えてないです」

Q:どんなアニーを目指してますか?

丸山果里菜「前向きで明るさ100%のアニーを演じたいです」

小野希子「明るくて元気なだけじゃなくて、悪さや面白さがあったり、ずるがしこくてとてもかわいいアニーになりたいです」

人生初の記者会見、ニコニコしつつも緊張気味。

Q:衣装を着た皆さん(大人キャスト)見て、どんな気持ちになりましたか

丸山果里菜「すごい素敵で、もう本番が今からもうわくわくしています」

小野希子「迫力が凄すぎて去年までは舞台や写真でしか見れなかったけど、今こんな近くで見れるのが不思議でとても嬉しい気持ちです」

アニー役の衣装姿を見て藤本隆宏は「もうすごく似合ってますよね。(衣装は)ビロードの素材を使ってるんですけど、横の素材が実は緑色も入ってるらしいんですよね。もう2人にぴったり」と絶賛。

ここで演出の山田和也からの手紙が披露された。
「丸美屋食品ミュージカル『アニー』が40周年を迎えます。 40年ちょっと気が遠くなるような年月ですが、40年前、皆さんは何をしていらっしゃいましたか。 私は大学を出て、この世界に飛び込んだばっかりの駆け出しの裏方でした。 演出を仕事にするようになるのは、もっとずっと後のことです。 40年間には一体何人の子供たちがアニーに出演してくれたのでしょう。 40年ですから、もう大人になり、子供を連れて『アニー』を見に来てくれた元子供たちも少なくないでしょう。 オーディションを受けに来てくれた子供たちの数は40年で、それこそ数万人でしょうか? そんな『アニー』を大好きな皆さんに支えられた40周年です。子供たちは1年で次の子供たちと交代ですが、私達大人はもう少し長く続けさせてもらえるので、『アニー』の演出家は40年の間で、私まだ3人目です。 ちょっと不公平かもしれませんね。 それはともかく、これからもアニーのことを応援していただけると嬉しいです。50周年のときに演出をしているのは、きっと4人目の演出家でしょうが、私もいつまでもいつでも応援しています。 できることなら100周年まで。演出山田和也」

この手紙の感想を聞かれて須藤理彩は「40年、時の流れ、もう1日1日っていう積み重ねの40年っていうのをものすごく感じられます。去年本番中に2000回公演っていうのを迎えたんですよね」
ちなみにミュージカル『アニー』日本初演時は須藤理彩は8歳!「鼻水垂らして、やんちゃな女の子で(笑)」とコメント、藤本隆宏はすでに泳いでいたそう(1992年のバルセロナオリンピックにて400m個人メドレーで同種目日本人初のファイナリスト)。ちなみに愛原実花、赤名竜乃介、浜崎香帆は生まれていない!

それから今年のメインビジュアル初公開、もちろんキャスト陣もお初。思わず「おお〜」の声が。浜崎香帆は「実感が湧いてきました」アニー役の二人は「本番が近づいてきてるなっていう気持ちになりましたか」と聞かれて声を揃えて「はい!」。

感動の歌唱。

そして二人の人前での初歌唱「Tomorrow」、歌声だけが会場に響いた。歌唱が終わり、愛原実花が「素晴らしくてちょっと泣きそうになってしまうぐらい、ちょっとすごい感動をしてしまいまして。私自身もあまり小さいときから見に行っていたので、なんだかこんな特等席で…ちょっと目頭が熱くなってしまいました」と涙ぐんだ。赤名竜乃介も「ここに向けてすごく練習してきたんだろうなっていうのがすごい感じて…お父さんみたいな気分じゃないですけど、本当に2人のことを、出演する子供たちのために本当にサポートできればなと思いますし……もっと頑張りたいなってすごく思いました。 ありがとう」と感無量。また、舞台手話通訳公演を2公演実施することがアナウンスされた。舞台手話通訳者が舞台に立ち、セリフ楽曲などを手話で。
それから質疑応答。
Q:それぞれのチームのメイン仲間たちと仲良くなるために、チームで何かやりたいなと思うこと。

丸山果里菜「名前を覚えるために、名前で鬼ごっこをしたりとか、したい」

小野希子「ダンスでリズムに乗りながら仲を深められたらと思います」

互いを気遣う二人のアニー。小野さんを見守る丸山さん。

Q:好きなシーン、曲
丸山果里菜「私の好きな曲は『N.Y.C.』です。ウォーバックスさんと一緒に出かけられるのが大好きでしょうがない!という気持ちの曲です」

小野希子「私は孤児たちの『フリードレス』が好きです。 面白かったり、観ていて楽しいし、私も出たいなと思っています」

藤本隆宏「好きな曲は『イージーストリート』。我々の歌う曲とは違って舞台の奥行きを使うし、スポットライトも当たってザ・ブロードウェイミュージカル!という感じです。カッコよくって見入ってしまいます。子どもたちの曲も大好きなのですが、泣いちゃうので見れません(笑)」

須藤理彩「私は自分の持ち歌でいいですか。最初に私が歌う”子供子供”って歌(「リトルガールズ」)があるんですけれども歌ってるようで、ものすごく感情を乗せやすい。これまで溜まってきた分をこの歌にもう込めて歌えるっていう感じが…歌っててものすごいワーッていうのが…去年ミュージカルに立つってこういうことだっていうのを実感できて、何かこれをもっともっとうまく歌い上げるっていうのを目標に1年間過ごしてきたので、はい。 またさらにグレードアップできるようにしたいと思います。でもね、歌はすごく恥ずかしくて…やったらね、これやめられないねってみたいな(笑)ちょっとクセになるようなそういう子供たちバックに従えてはい、はい、楽しい時間なんですよね」

愛原実花「私も『N.Y.C.』がすごく好きで、アニーのセリフで”いつも見ていた町並みの筈なのに、一緒にいる人や、心の持ちようによって全然違う町並みに見える”って言ってるのが、なんだかすごく心に刺さって。ウォーバックスがNYの街並みを『クールでタフな奴』、街のことをそういうふうに人みたいに”タフな奴”というふうに表現しているところが本当に今自分の住んでいる街を愛しているという感じで、すごく好きな曲の一つです」

赤名竜乃介「『「イージーストリート』が大好きで、なんかただ悪巧みをしてるような曲に感じるんですけど、ルースターのこれまでの生い立ちなども歌詞に表れてたりするので、今とても練習しています、自然に気持ちが入ります」

浜崎香帆「私も全く一緒で『N.Y.C.』が大好きです。あの昨年のクリスマスコンサートを拝見させていただいたときに、あの藤本さんの『N.Y.C.』を生で初めて目の前で見て、一気にアニーの世界もちろん、こどもたちも本当に素晴らしかったんですけれども、一気にアニーの世界観に引き込まれて本当に涙が出てきてしまって、ウォーバックスさんのあの人の良さとか男らしさももちろんなんですけれども、何か儚さっていうのも何かちょっと感じた部分があってすごく魅力的な1曲だなって思います」

Q:40年目ということで、子供たちだった大人たちに何を楽しんでもらいたいかということと、40年まではいかなくても皆さんが長年続けられていることがもしあれば。

藤本隆宏「山田和也さんの演出、2017年から演出が変わったんですけど…それまではある程度その子供向けの作品にしてたんですけど、もうこれは1977年のブロードウェイの作品で、それに戻そうということで戻したんです。だから意外と子供では理解できなかったことが大人になってわかるっていう要素もたくさん散りばめられています。子供で見る感覚とは何かまた違うと思うので、またそこも楽しんでいただければなと思います。長くやってることは体を鍛えることです」

須藤理彩「娘は上の子は18歳なんですけれどもやっぱり小学生のときに見に行って…。当時やっぱり小学生の低学年で見たアニーと去年、自分が大人目線になって見た人がまるで違う作品だったって言ってたんですね。10年ぐらいでも、まるで違う目線になれる、そういうところがすごく魅力的な作品なんだなと私も改めて感じました。長く愛されている理由っていうのは、やっぱりそういうところにもあるのかなと。(長く続けていることは)私もやっぱりスポーツですね。幼稚園ときからもう自分は人よりも足が速いっていうことに気づきまして。それから水泳とか剣道もやってたりしたので…今はヨガをやっています。体動かすのはいまだに好きですね」

愛原実花「私も本当にちっちゃいときから青山劇場に毎年のように見に行ってて自宅のベッドの上で何かアニーごっことかをして憧れていた作品だったので、またちょうどアニーの作品の時代背景とした大恐慌の直後ぐらい、とてもあの厳しい時代だったと思うんですけれども、現代に置き換えてももしかしたら先の見えない変化の時代ということで、今の子供たちにもどんな境遇であってもアニーのように前を向いて必ず明日を信じてという力を今の子供たちにも見ていただいて感じていただければなというふうに思っております。続けていることは私もやっぱり舞台とかが好きなので、時間がある時に舞台や他の映画なども見に行くのがとても好きなので」

赤名竜乃介「僕は小さい頃にアニーを見た経験がなかったんですけど、今回出演することが決まって、やっぱり親戚の方たちが子供を連れて行きたいって言ってくれる方がすごく多くて。実際僕も子供のときに何を見てたらどんな気持ちになるんだろうなってすごく考えることが多いんですけど、大人になってみたら絶対に子どもの時の感想とか思うことは多分全然違ったりすると思います。僕はお金儲けを企む悪役なんですけど、プライスレスなウォーバックスさんさんとのアニーの出会いだったりとか、縁だったり…僕はこの年になって出演することになって、それをすごく感じたりしましたので、そんな魅力を最大限に幅広い層の方に何か届けられたらいいなって思います。 あと長年続けてることは皆さんと重複しちゃうんですけど、僕も毎日腕立てと腹筋を欠かさず、小学生の頃からやってます、それやんないと気持ち悪くて寝られなくて(笑)」

浜崎香帆「私は小さい頃にお母さんと一緒に、ある舞台を観に行ってからこの世界を目指すようになったので、やっぱり親御さんと一緒にいらしたお子さんがこの世界を目指すきっかけとなってくれたらすごく嬉しいなと思いますし、そういった子たちと、何十年後何年後かに共演できたらなおさら嬉しいなって思います。 続けていることは、皆さんみたいにかっこいいことじゃないんですけど毎朝納豆食べることです」

話が盛り上がったところで時間となり、会見は和やかに終了した。公演は4月19日より。

<オーデション発表会レポ記事>

アニー役は丸山果里菜さん&小野希子さんに決定!ミュージカル『アニー』40周年!

ストーリー
米オリジナル作品 トニー賞7部門受賞“ 世界中の人々の心をとらえる「愛」の物語 ”
舞台は 1933年、世界大恐慌直後の真冬のNY。街は仕事も住む場所もない人であふれ、誰もが希望を失っていました。そんな中、どんな時も夢と希望を忘れないひとりの少女がいました。11 歳の赤毛の女の子、アニーです。11 年前に孤児院の前に捨てられていたアニーは、いつか本当の両親が迎えに来ると信じて暮らしています。
ある日、なかなか迎えに来ない両親を自分から探しに行こうと、院長のミス・ハニガンに見つからないよう、こっそり孤児院を脱け出しますが、すぐに警官に捕まって連れ戻されてしまいます。ふとしたきっかけで、大富豪オリバー・ウォーバックスの秘書グレースと出会ったアニーは、ウォーバックスの自宅で休暇を過ごすことになります。
前向きなアニーに魅かれたウォーバックスは、養女にしたいと考えますが、彼女は本当の両親のことが忘れられません。けなげなアニーの気持ちに心打たれたウォーバックスは、懸賞金をかけてアニーの両親を探そうとするのですが、お金を目当てに大勢の人々が自分こそアニーの親だと名乗りをあげ、なかにはルースターとリリーという悪巧みをしている人物もいて・・・。 はたして、アニーは本当の両親を探し出すことができるのでしょうか?

概要
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
日程・会場:2025年4月19日〜5月7日 新国立劇場・中劇場
脚本:トーマス・ミーハン
作詞:チャールズ・ストラウス
作曲:マーティン・チャーニン
演出:山田和也
出演:丸山果里菜、小野希子(W キャスト)、藤本隆宏、愛原実花、赤名竜乃介、浜崎香帆 須藤理彩他
音楽監督:小澤時史
振付・ステージング:広崎うらん

公式サイト:https://www.ntv.co.jp/annie/

Annie2025©NTV