
「週刊少年マガジン」にて連載中のサッカー漫画『ブルーロック』を原作に、23年5月に舞台『ブルーロック』を上演、その後第2弾、第3弾と続き、この5月に東京・大阪で、舞台『ブルーロック』4th STAGE が上演となる。また、大阪での一部公演にて子供無料招待が実施。
今回、竹中凌平(潔 世一役)、佐藤信長(蜂楽 廻役)、伊勢直弘(脚本・演出)登壇の、合同取材会のオフィシャルレポートが届いた。
合同取材会のオフィシャルレポート
90分の試合をいかに飽きさせずに見せるか
――まずは4th STAGEを迎えた今の気持ちをお聞かせください。
竹中 過去3作では“青い監獄(ブルーロック)”という閉鎖的な空間で戦ってきました。今回はスタジアムで戦うということで、今まで積み上げてきたものを全部出し切って、集大成に近い作品にできたらなと思っています。
佐藤 『ブルステ』がスタートして2年。なんだかあっという間でした。ちょうど稽古も始まったところで、今すごくワクワクしています。毎回言ってることですが、前作を超える熱い作品にしたいです。
伊勢 シリーズとして培ってきたものがあるので、それを最大限に活かしつつ、また新たな挑戦をしていけたらと思いながら、今、一生懸命稽古に励んでいます。今回やっとスタジアムで試合ができるので、お客様にもご観劇いただくというより、ご観戦いただくような気持ちでお越しいただければ。
――本作におけるご自身の役の見どころについて伺えますか。
竹中 U-20日本代表のメンバーからいろんな刺激を受けながら成長していく潔の姿を観てもらいたいなと思います。原作をお読みの方はご存じだと思いますが、最後に潔の見せ場があるので、そこをカッコよく決めたいですね。
佐藤 過去3作を経て進化した蜂楽が描かれていますので、そこをぜひ観てほしいです。昨日が稽古初日で、ちょろっと僕のシーンもやったんですけど、初日なのに「俺、かっけえだろ!」という気持ちになれたので楽しみにしていてください!
――すでに佐藤さんが「俺、かっけえだろ!」と手応えを感じているそうですが、そこは一緒に稽古をしながら伝わってきましたか。
竹中 いや、伝わってきてないですね(笑)。
伊勢 あはは!
佐藤 いや、まだね、これをやってる自分はきっとカッコいいんだろうな〜という未来のカッコよさがちょっと想像できただけだから(笑)。
伊勢 未来のカッコいい自分が想像できたという気持ちはわからなくもないです。なぜかというと、過去3作では1本の大きなストーリーの中に3〜4回試合があって、その合間に挟まれる日常のシーンでのキャラクターの可愛らしさと、試合に挑むカッコよさの振り幅が魅力になっていたんですね。でも今回は、U-20日本代表との1試合のみ。その分、カッコよさに全振りにした内容になっているんです。
佐藤 あ、じゃあ、正解だったんだ(笑)。
伊勢 正解かもしれない(笑)。どこまでカッコよさを突きつめていけるかが今回の勝負。試合の熱量を最大限に引き出せるよう、彼らと一緒につくっていきたいなと思います。
――演出面での新たな挑戦とはどういうものでしょうか。
伊勢 今までは短い試合の連続だったんですけど、今回は90分の試合を舞台で見せないといけない。プレーのパターンが決まってしまうと、お客様は飽きてしまうと思うので、新しいバリエーションを入れていこうと考えています。それがどんなものかはネタバレになるので言えませんが、ここでこう来たかと驚いてもらえるものをお届けできたらというのが今回の挑戦ですね。
僕も「はじめまして 日本」って言いたい
――今回対戦するU-20日本代表メンバーの中で好きなキャラクターは誰ですか。
佐藤 音留徹平ですね。僕はずっとバレーボールをやっていて。バレーボールってやっぱり身長が高いほうが有利で。そんな中、身長や体格をカバーする技術力や特徴を持った人に、バレーをやっていた頃から目線を持っていかれました。音留はまさにそんなタイプ。音留みたいな選手がいるからこそ、U-20日本代表のチームの強さがあると思っています。
竹中 僕はやっぱり糸師 冴ですね。これまでもずっと名前だけは出ていたので、やっとここで登場するんだというワクワクがありますし、どれだけカッコいいプレーで盛り上げてくれるんだろうと期待しています。
伊勢 カッコいいという意味ではオリヴァ・愛空とかすごくカッコいいと思うけど、好きなキャラで言えば蛇来弥勒かなあ。なんかちょっとクセ強で、どこか達観したところがあるじゃないですか。蛇来弥勒に1時間くらい説教されてみたいですね(笑)。
――演じるキャストのみなさんにも注目したいところです。
佐藤 それこそ蛇来弥勒役のジョエル・ショウヘイくんはもうぴったりですよ。メイクしなくてもいけるやんと思ったくらいで。しかも、あの見た目で日本語がペラペラなんです。
竹中 埼玉生まれだからね。
佐藤 がっつり日本じゃん(笑)。これから一緒に1ヶ月稽古して、U-20日本代表メンバーが僕らの前にどう立ちはだかってくるのか楽しみですね。
竹中 U-20日本代表のメンバーではないんですけど、二子(一揮)役の(前嶋)曜くんが今回から新しく参加なんですよね。稽古でもすでに二子っぽいなと感じるところがあって、キャラを掴むのが早いなと思いながら見ていました。
伊勢 僕は個人的に冴役の猪野(広樹)くんを推してまして。
佐藤 個人的にですか(笑)。
伊勢 すごく好きな役者さんなんです。だから今回一緒にセッションできるのが楽しみですね。あと、ぜひ注目していただきたいのが、颯 波留役の荒牧大矢くん。彼は前回アンダー(予定していた役者が出演できない場合に代役を務める役者のこと)として参加してくれていたんです。今回ようやく舞台の上で活躍の場ができたので、ぜひ全力で応援してあげてください。
――ご自身の役とは関係なく、みなさんが今回最も胸熱だなと思うシーンはどこですか。
竹中 今ちょうどアニメを観返しているんですけど、凪(誠士郎)が一発目に得点を決めるシーンがめちゃくちゃカッコよくて鳥肌が立ちました。僕も言いたい、「はじめまして 日本」って。それくらいカッコよかった。
佐藤 衝撃的だったよね。
竹中 あそこは(佐藤)たかみちに頑張ってほしいね。
佐藤 今までクールを貫いてきた糸師 凛が冴と対峙してすごいことになるじゃないですか。僕はあのシーンが楽しみです。
――あそこの凛は原作通りの表情になるのでしょうか。
伊勢 そこは再現というより、どれだけ変換できるかというところを楽しみにしていただければと思います。今回は胸熱シーンの連続でたたみかけるように試合が進んでいく。その中で唯一ハーフタイムがちょっと落ち着けるシーンになっているんですね。そこでちょっとした遊びをお客様と共有できればと思っています(笑)。
――2年間やってきて改めて実感する『ブルーロック』の魅力とはどんなところでしょうか。
竹中 やっぱり一番はエゴですね。キャラクターのカッコよさとかももちろん魅力なんですけど、『ブルーロック』のテーマとなっているエゴの部分に僕は魅力を感じます。
佐藤 種目は違えど、スポーツをやってきた者として共感できる部分がたくさんある作品だと思っています。いつ脱落してしまうんじゃないかというドキドキハラハラの中、どんどんメンバーが勝ち上がっていく。毎試合ドラマがあって、そこに観ている側としても感動するし、勇気をもらいます。
伊勢 僕が『ブルーロック』を通して学んだのは、無難に生きることより正直に生きることのカッコよさです。コミックを台本に起こすときに毎回感じるんですけど、『ブルーロック』って1コマあたりの情報量がものすごく多くて。あの熱量は、決してキャラクター頼りではなく、緻密な計算のもとで成り立っている。作家さんの意図が込められた命を削った作品だと、台本に変換する作業をするたびに実感しています。
新キャストとの新たな化学反応が楽しみです
――過去3作やってきた中で、チームの絆の深まりを感じる瞬間もあったと思います。ぜひそんな舞台裏の思い出を聞かせていただけますか。
佐藤 楽屋ではずっと「笑ってはいけないゲーム」をやっていますね。周りを笑わせるために、コンビニでわざわざ変な写真をプリントしてきたりするんですよ。それくらいみんな必死で。もう本当に男子高校生みたいな感じになっています(笑)。
伊勢 演出家からすると、その仲の良さに救われている部分が多々ありまして。自分たちで盛り上げてくれるところにありがたさを感じる一方、やりすぎだなと思うところもあります(笑)。演出家って特に地方公演の場合は初日が開けると、もう帰らないといけないんですね。だから、その後どうなってるかは知らなくて。この間、3rd STAGEの映像を観たら、
アドリブシーンで僕が指示していないSEが入っていたり、本当はさくっと終わらせるシーンなのに10分くらいやってて(笑)。
佐藤 自由と言われると、やりたくてしょうがない人がいるんですよね(笑)。
伊勢 知らないデッカい紙とか出てきてたけど……(笑)。
佐藤 今後つくることはないデカさの紙飛行機をつくりまして、それを千秋楽で出していました(笑)。
竹中 その後に僕が真面目なテンションで入らなきゃいけなくて、あれはマジでやりづらかったです(笑)。
伊勢 お客様も楽しんでくださっていたので、それが何よりですけど。みんな、全力で作品を楽しもうという気持ちに溢れたとても温かい座組です。
――ここまで潔も蜂楽も目覚ましい進化を遂げてきました。演じるお二人は『ブルステ』が始まってからの2年間で、ご自身のどんなところに進化を感じますか。
佐藤 半年に1回くらいのペースで蜂楽を演じさせてもらっているんですけど、蜂楽が自由奔放で楽しい役というのもあって、あれもやってみようこれもやってみようという選択肢が回を重ねるごとに増えている気がします。今回も稽古が始まってすぐに蜂楽が戻ってくるような感覚があった。そうしたやりやすさは過去3作よりも色濃く感じていますね。
伊勢 佐藤さんは会うごとに芝居の振り幅が広くなっているなと感じています。きっとそれは好奇心を形にする習慣づけができてきたからじゃないかと思っていて。もちろん『ブルステ』以外のいろんな現場で得たものもあると思いますが。
佐藤 そうですね。別の現場で真面目な役をやらせてもらうと、もっとやりたいなと思うときもあります(笑)。
竹中 僕はプライベートでも役者としても、ちょっとエゴくなってきました。前まではもう少し周りの空気に合わせていたと思うんですけど、最近はそういうこともなく、自分を貫くようになったというか。
伊勢 竹中さんは芝居の太さが増した印象があります。それがきっとエゴくなったということで。ただ、だからと言って自分のやりたいことを言葉で主張するのではなく、ちゃんと芝居で提示してくれるので、こちらとしてはベストなやりとりができる役者さんですね。
――このU-20日本代表戦で、潔たちは「夢中の連鎖」を経験します。お芝居をやっていても「夢中の連鎖」を感じるときはありますか。
佐藤 『ブルステ』は動きが本当に複雑で、まずはそれを体に染み込ませるのが第一ステップなんですね。でもそれを乗り越えて、みんなが自然に無意識に動けるようなった瞬間、「夢中の連鎖」に近いものを感じることはあります。
竹中 そう思います。やってて、今めっちゃ綺麗に流れたなって感じることがあるので、そういう瞬間は体が熱くなるというか。
佐藤 稽古を重ねるごとにみんながどんどん熱くなって、相乗効果で自分も熱くなる。今回は新キャストが多いので、また新たな化学反応が起きるんじゃないかと楽しみにしています。
――伊勢さんは、あの難しい動きに四苦八苦している役者さんを見ながら、どんなことを思っているんでしょうか。
伊勢 もう頑張れと(笑)。『ブルステ』は他の舞台より動きの決まりごとが多くて、しかもそれが噛み合っていないと成り立たないところがすごく難しい。でも、最終的には必ずいけるという期待と信頼があるので、四苦八苦しているのをニヤニヤしながら見ていますし、無意識に体が動くようになったときは、それこそ「FLOW」に入っているように見えます。
――では最後に、本番に向けての意気込みをお願いします。
伊勢 シリーズを通して、お客様の期待の声が僕たちのモチベーションになっています。だからこそ、お客様をまた新しい驚きに導けるように全力で努めていきたいですし、すでに稽古初日からみんなすごい熱量で挑んでくれています。冒頭にも申し上げましたが、観戦しに来てくださいと言えるような作品づくりを目指して、引き続き稽古に取り組んでいきたいと思います。
佐藤 毎回、次回の作品をやりますと発表したときのみなさんの声が頭の中に残っていて。その期待に応えたいなという気持ちで稽古に臨んでいます。今回はセットが変わったり、過去3作とはまた違う変化があって。僕たちも今まで培ったものを活かしながら、まったく新しい感覚で作品をつくっています。初日の幕が上がったとき、お客様がどんな反応をしてくれるのか、今から楽しみにしています!
竹中 4th STAGEまで来ることができたのは、お客様の温かい応援があってのことです。だから、まずはありがとうございますという感謝の気持ちを伝えたいです。回を重ねるごとにお客様の期待が高まっているのを僕らも感じていますが、その期待以上のものをお届けしますので、ぜひご観戦に来ていただければと思います。よろしくお願いします!
概要
タイトル: 舞台『ブルーロック』4th STAGE(読み ブタイ『ブルーロック』フォースステージ)
会期会場:
東京:2025年5月15日(木)~25日(日) THEATRE MILANO-Za
大阪:2025年5月30日(金)~6月1日(日) 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
原作: 原作:金城宗幸 漫画:ノ村優介『ブルーロック』(講談社「週刊少年マガジン」連載)
脚本・演出: 伊勢直弘
出演:
潔 世一:竹中凌平
糸師 凛:草地稜之 蜂楽 廻:佐藤信長
凪 誠士郎:佐藤たかみち 士道龍聖:松田 岳
烏 旅人:宇野結也 雪宮剣優:遊馬晃祐
千切豹馬:佐伯 亮 二子一揮:前嶋 曜
御影玲王:菊池修司 氷織 羊:三浦海里
馬狼照英:伊万里 有 乙夜影汰:健人
蟻生十兵衛:磯野 大 我牙丸 吟:村松洸希
絵心甚八:横井翔二郎
オリヴァ・愛空:桜庭大翔 閃堂秋人:松本 岳
蛇来弥勒:ジョエル・ショウヘイ 仁王和真:影山達也 音留徹平:中土井俊允
超 健人:古田 蓮 颯 波留:荒牧大矢 不角 源:土居健蔵
糸師 冴:猪野広樹
制作:Office ENDLESS
主催:舞台『ブルーロック』4th STAGE 製作委員会
文化庁の「子供文化芸術活動支援事業」:
2025年5月に上演される舞台『ブルーロック』4th STAGE大阪公演
6歳から18歳以下の方を無料で招待
対象公演:5月30日(金)~5月31日(土)の内、全4公演
コラボカフェ情報:https://officeendless.com/sp/bluelock_stage/news/0425a/
公式 HP:https://officeendless.com/sp/bluelock_stage
©金城宗幸・ノ村優介・講談社/舞台『ブルーロック』4th STAGE製作委員会