舞台「文豪とアルケミスト 紡グ者ノ序曲(プレリュード)」開幕

舞台「文豪とアルケミスト 紡グ者ノ序曲(プレリュード)」が開幕。
原作となる「文豪とアルケミスト」は、人々の記憶から文学が奪われる前に、文豪と共に敵である“侵蝕者”から文学書を守りぬくことを目指す DMM GAMES で配信中の文豪転生シミュレーションゲーム。
本作では、シリーズ第3弾「綴リ人ノ輪唱(カノン)」と第6弾「戯作者ノ奏鳴曲(ソナタ)」に出演していた佐藤永典演じる北原白秋が主演となり、宿敵である悪しきアルケミストとの死闘を描いていく。

最初に登場するのは今回の舞台「文豪とアルケミスト 紡グ者ノ序曲(プレリュード)」の主人公・」北原白秋(佐藤永典)。北原白秋といえば、童謡集『からたちの花』が有名、また、多くの校歌、応援歌も作詞していることでも知られる。そして戦時中、1938年にはヒトラーユーゲントの来日に際して『万歳ヒットラー・ユーゲント』を作詞、国家主義への傾倒が激しくなっていく。1942年、病のため逝去、57歳。つまり、日本の敗戦、その後、日本がどうなっていくのかは無論、知らない。だが、これは「文豪とアルケミスト」なので、歴史上の白秋とは異なるが、そういったところを押さえておくと、キャラクターや物語の展開が俄然、わかりやすくなってくる。

そして、石川啄木(櫻井圭登)、高村光太郎(松井勇歩)、久米正雄(安里勇哉)らが次々と登場、殺陣、アクション、この”文劇”ではもちろん、見どころ、何度かアクションシーンは出てくるが、難易度も高く、迫力満点。白秋は「僕はまだ、戻れない…目的を果たしていない」という。彼の目的とは?「さあ、行こう」ここからいつもの派手なオープニング、それぞれ武器を持ち、戦い、決めポーズ。

ストーリーはなかなかハードだが、細かい笑いも。「なおきしょうさん!」と呼ばれて直木三十五(北村健人)は、「なおき さんじゅうご」と言い直したり。31歳の時に直木三十一の筆名で『時事新報』に月評を書いたのが文筆活動の始まり、以降誕生日を迎えるごとに名前を変えていた。他にもいろんなペンネームがあり、そこも語られている。

そんな細かい”ネタ”を会話に挟みつつ、物語は進行する。北原白秋の「目的」とは?そして今回、舞台のオリジナルキャラクターが設定されているが、名前はなく役名は青年(松村龍之介)、彼は何者なのか、その生い立ちは、後半に語られる。また、今回、ファウスト(原貴和)が登場するが、こちらはゲームオリジナルキャラクター。その彼から、ある青年についての話を聞かされる。「かつて文学で世界を救おうとした」青年(松村龍之介)。北原白秋は「国民を鼓舞する詩」を書いていた、爆撃の音が響く。青年の正体は後半で徐々に明かされるが、そこに至るまでの経緯は日本の昭和の歴史を知っていれば、この青年が何者なのかも、明かされる前にそこはかとなくわかる。

「人類の歴史は言葉の歴史」という。言葉を操れるのは人類だから。その言葉の力、だから戦争に利用されやすい。さらにアンサンブル陣の繰り出す、様々なアクロバット的なパフォーマンスは目にも止まらぬ速さ、そしてセットも動かす。映像演出はなく、とにかく徹底したアナログ、このセットを動かし、そこでアクションや芝居をする、舞台上の物語が迫力を持って迫ってくる演出。

通路も積極的に使い、会場全体を「文豪とアルケミスト」の世界観で充満させる。休憩なし、ノンストップのおよそ1時間55分。東京公演は11日まで、その後は京都公演。なお、生配信も予定されており、劇場に足を運べない方はこちらを。そして、アフタートークやお見送りなどのイベントも充実。また、カーテンコール撮影可能な日もあるので、ホームページのチェックを。

公開ゲネプロに先駆けて簡単な会見が行われた。
登壇したキャストは佐藤永典(北原白秋)、櫻井圭登(石川啄木)、松井勇歩(高村光太郎)、松村龍之介(青年)。

佐藤永典は北原白秋役は今回で3回目となる。役の注目ポイントとして「今まで見ていただいた白秋以外の表情だったり、新たな一面も見せられるかなっていう感じがしております。彼自身の苦悩、文学に対する向き合い方、仲間に対する思いだったり、何かそういった部分がさらに深くお見せできるかなと思います。」とコメント。
また、櫻井圭登は「啄木先生は場を明るくする、誰に対してもフラットで、でもどこかちょっと影があったりとか…魅力的な役どころ」と語るが、気さくな態度が作品のアクセントに。松井勇歩は「文劇7のときにですね、少しだけ高村光太郎の重いところに触れるシーンがあったんですけど、今回の文劇8では心の奥底にあるちょっとした負の部分…穏やかなキャラクターとは違う部分をお見せできるところがポイント」とコメント。舞台の完全オリジナルキャラの青年役の松村龍之介は「今回初参加で、しかもオリジナルキャラクター、見どころといたしましては、存在自体がこの物語の根幹となりうるので、具体的な内容をちょっと伏せますが、自分の夢だったり信じてるものに対してひたむきにまっすぐ走る姿であったりとか、その信じていたものが、必ずしもいいとは限らないという、多分誰しも経験したことがあるんじゃないかなというところが共感できるポイントであったりとか。あとは、初参加ですけどシリーズとして、この文劇、今までとはまた違った角度、世界観をお届けできるんじゃないかなと思っております」と語る。

それから自分が演じるキャラクター以外の注目ポイントという質問に対しては
佐藤永典「青年とファウストの原くんの関わりが結構ありまして、これも見ていただかないと。このやり取りの感じがお芝居ならでは」

櫻井圭登「僕はオープニングです。文劇ならではの迫力、本当にカンパニー全員で迫力を作ってるっていう感覚がすごく自分の中であって、それぞれのキャラクターも本当にもう掘り下げて役のかっこいいところを存分に押し出しているので、ぜひ皆さん肌で感じてくれたらなと」

松井勇歩「あまり見慣れない攻防戦が、盛りだくさん」

松村龍之介「初参加でいうと、今回小泉八雲役の林光哲さんと直木三十五役の北村健人ちゃんが初参加なんです。これまでシリーズを支えてきた皆さんと一緒になったときのシーン、バランスがとてもいいです」

役作りについて苦労したところ

佐藤永典「やることが盛りだくさんで、本当に死に物狂いでやってるって感じなんですけど、やっぱり吉谷さんの演出でいろんなきっかけだったりとか、いろんなことがピタッとはまると、それがすごく見やすかったり綺麗だったり、すごくかっこ良かったり。初めましてのメンバー含めてみんなでやっていくときは呼吸がすごく大事。スタッフさんも含めて、稽古を重ねていくときにそこはしっかり時間を取る部分でもあったので、そのお芝居の大事な部分も含めてですけど、そこはすごくみんなで力を合わせてやったなっていう感じです。全員で合わせるタイミングも。そこのチームワークがすごく大変だけど、やっていて楽しくもある部分だったかなと思いますね」

櫻井圭登「アクションはもちろんですが、カンパニーのみんなの体力も精神も本当にぶつかっているので、大変なことはたくさんあるんですけども、個人としては啄木がどれだけ何かみんなを助けられるか…自分にしかないものでみんなにどれだけ何か影響を与えられるかなっていうのを今回すごく考えました。僕個人としては『仲間』っていう言葉がすごくふさわしいなと思って。このカンパニーみんなで最後まで届けていきたいなと思っております」

松井勇歩「今回はシーンに重みを持たせないといけないポジションにいることが多かったので、文劇7のときは割とバランスを取ることを考えてやってましたんですけど、今回シーンに重みを持たせることを割と重点的に置いて…正直ちょっとまだ模索中なところがあるのでゲネプロを踏まえて、本番にはできるように、最後まで自分の中で調整してやっていきたいと思っております」

松村龍之介「青年という役がとても感情の起伏や考え方、思考の仕方が、そこに到達しない時期が多々ありまして。そこにいくまでにどういったものを抱えなきゃいけないのかとか、到達した後はどういうふうにしなきゃいけないのかっていうのを想像力や考え方で埋めていく作業が主な時間だったんですけれども、すごく(みんなと)一緒に作れたのは苦労したというよりも、すごく楽しめた時間でした。それがお客さんに伝わったらなと思います」

最後にお客さまへのメッセージ。
松村龍之介「東京、京都と公演がございます。今回僕が初参加できた意味を、お客さんの目を通して、そしてこの作品を通して皆さんに見出してもらえたらと思います。そして今日ここにいるお3方含めてキャストの皆さん、アンサンブルの皆さま、スタッフの皆さん含めて全力で!最後まで応援のほどよろしくお願いいたします。」

松井勇歩「演出の吉谷さんから今回も最高傑作ができたと言っていただいたので、その言葉に恥じぬよう、力を合わせ、最後まで駆け抜けれるよう頑張りたいなと思います!よろしくお願いします。」

櫻井圭登「作品を作るってことは当たり前なことではなく、本当にたくさんの方の努力と思いが詰まったものがなければ、こうして世の中に作品を残せないので、感謝しながら1日1日を生きていきたいなと思います。最後まで応援のほどよろしくお願いします。」

佐藤永典「文劇1から続いて、今回は文劇8、本当に毎回素敵な作品が生まれてると思うんですけど、やっぱり最新作やらせていただく限りは、絶対これが最高傑作になるようにっていう気持ちで、みんなも絶対そう思ってると思うんですけど、それにふさわしいものができているんじゃないかなと思います。このゲネプロでもう1つ重ねて、初日は最高のものを…京都公演まで突っ走りたいと思います…見ていただき、何か届くものがすごくあると思いますし、見に来てくださるお客様たちも本当にいろんなものを感じてもらえる作品だと思います」

あらすじ
太宰治らと共に帝國図書館を救い絶筆した北原白秋。
転生を選ばず、再び復活を遂げようとする悪しきアルケミストを
葬る術を見出すため、負の感情が充満する生と死の狭間に留まっている。
一方、石川啄木、高村光太郎そして小泉八雲は、北原白秋を転生させるべく目論み、
また久米正雄と直木三十五は、深い親交のある文豪を探し求めていた。
そんな折、アルケミスト・ファウストと出会った文豪たちは、
「かつて文学で世界を救おうとした青年」について聞かされる。
終わらない侵蝕を食い止めるため
己の文学を信じ、文豪たちは戦いへと赴く。

<稽古場レポ記事>

舞台「文豪とアルケミスト 紡グ者ノ序曲(プレリュード) 公式稽古場レポート公開

概要
舞台「文豪とアルケミスト 紡グ者ノ序曲(プレリュード)」
日程・会場 :
東京
2025年5月1日(木)〜5月11日(日)  IMM THEATER
京都
2025年5月17日(土)〜5月18日(日) 京都劇場
出演
北原白秋 佐藤永典
石川啄木 櫻井圭登
高村光太郎 松井勇歩
久米正雄 安里勇哉(TOKYO 流星群)
直木三十五 北村健人
小泉八雲 林光哲
ファウスト 原貴和
青年 松村龍之介
声の出演 芥川龍之介 久保田秀敏、夏目漱石 寿里 / 館長 吉田メタル
アンサンブル 町田尚規 山口渓 田中慶 佐藤優次 安久真修 松崎友洸 丸山武蔵 小川蓮

原作 「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)
監修 クリーク・アンド・リバー社
世界観監修 イシイジロウ
脚本 なるせゆうせい(オフィスインベーダー)
演出 吉谷晃太朗
音楽 坂本英城(ノイジークローク)・宮里豊
主催 舞台「文豪とアルケミスト」8 製作委員会

公式HP:http://bunal-butai.com/
公式Twitter: @bunal_butai (ハッシュタグ #文劇8)
©2016 EXNOA LLC / 舞台「文豪とアルケミスト」8 製作委員会