
地球の真理を知ることに魅せられ命を懸ける人間たちを描いた衝撃作を、全く新しい演劇作品として創作した舞台『チ。 ―地球の運動について―』。新国立劇場 中劇場にて初日を迎えるにあたり、最終舞台稽古が行われた。また、開幕に合わせ東京公演では一部売止席を開放。この世は汚れていて、救いは天国にしかないと信じる代闘士のオクジーを演じるのは、窪田正孝。空を見上げることを恐れていたオクジーが、知に触れて成長していく姿は繊細でありながら力強い。身体能力の高さを活かした表現も美しい。
天文研究に熱中しながらも、全うできず苦悩するヨレンタを演じるのは、三浦透子。学びへの情熱や感動と父親へ愛情を、歌声とともに儚くも美しく立ち上げる。

オクジーに未来への希望を受け渡すグラスなどを演じるのは、大貫勇輔。無骨な代闘士であるグラスが真実を求める行動から物語が動いていく。

金を稼ぐことに執着をする移動遊牧民ドゥラカなどを演じるのは、吉柳咲良。地動説に命を懸ける人々とは対照的でありながら、自らの信念を胸に生を掴み取ろうとする姿が美しく映る。

助任司祭としてノヴァクを敵視するアントニなどを演じるのは、吹越 満。多くの役を演じる吹越はアントニの冷酷さを鋭く演じる一方で、がらりと変わってコミカルな役を演じる場面にも注目だ。

オクジーと出会い、地動説の真実にたどり着く修道士バデーニなどを演じるのは、成河。
聖職者でありながら禁忌とされる地動説へ抱く情熱、知への渇望を凛とした佇まいで描き出す。

娘や信仰のためと、多くの異端者を追い詰めていく異端審問官ノヴァクを演じるのは、森山未來。任務のために非情な行為も厭わない一方で、娘への愛に苦悩する人間像を表現し、善悪を超えた人間の複雑さを浮かび上がらせる。

地動説の美しさに魅せられ、命をかけた天才少年ラファウ、及びシンガーは、小野桜介と駒井末宙がダブルキャストで演じる。知への純粋な憧れは物語の原動力であり、継承の象徴のように輝く。


東京公演は2025年10月8日(水)~10月26日(日)新国立劇場 中劇場にて上演。東京公演一部の回では、音声ガイド機器の貸し出し、字幕ガイド(舞台進行に合わせた字幕表示)の貸し出し等を行う鑑賞サポートも実施される。



愛知、広島、大阪、福岡にてツアー。
キャストコメント
窪田正孝(オクジー役)
約二ヶ月の稽古で、みんなで創造したアイデアが詰まった『チ。』が完成しました。
絶対的存在である宇宙の真理と感動に揺さぶられる人間の生き様を、全員の身体表現で極限までダイレクトに伝えられたらと思います。
三浦透子(ヨレンタ役)
約2ヶ月間の稽古、その時間を信じて。
仲間を信じて。
全力で臨みます。
劇場でお待ちしております!
大貫勇輔(グラス役など)
素晴らしいキャスト、スタッフで熱いクリエイティブな稽古場時間を共に過ごし、美しいものができあがったと思っています。僕の大好きな原作「チ。」の感動を、この舞台でも皆様に何かしら心に響くものがあったら嬉しく思います。
お客様が入って初めて完成するのだと思っています。皆様の呼吸なども感じながら、劇場で共に舞台版『チ。』を完成させましょう。
吉柳咲良(ドゥラカ役など)
あっという間に、皆さまへお届けする日を迎えることとなり、胸が高鳴ると同時に緊張感でいっぱいです。
この作品を通じて、未来へ託されていく思いの強さを強く感じています。
生身の人間が演じるからこそ立ち上がる『チ。』の世界を、どうぞ存分に楽しんでいただければ幸いです。
吹越 満(アントニ役など)
開幕直前のコメントを下さい、と言われていましたがそれどころではありません。舞台に衣装に小道具に暗転に台詞に慣れなきゃいけいけないのに時間が足りない。喫煙所までなんであんなに遠いんだこの劇場。時間が足りないのに。ご飯食べないと痩せちゃうし、時間が足りないのに。実際に今は、6日の20:34。本番さながらの通し稽古の真っ最中なんですから。時間が足りないのに。
コメントなんて書いている暇があるわけないでしょ!
というコメントを書いてみました。
成河(バデーニ役など)
大変な創作ですが、支え合える仲間に恵まれ、ひたすら濃い時間を過ごしています。激しい理念や理想は時に対立を産みますが、片方の正義に偏ることなく、対話やユーモアを通して共生を諦めない、それが演劇の理想とする在り方だと思います。その激しさを地で行くこのカンパニーは、『チ。』の世界を体現するにうってつけなのだと、そう自分に言い聞かせる毎日です。この激しさが、もどかしさが、刹那の歓びが、孤独が、ぶつかって弾けて、目に見えない光となって皆さまの心に届く、その瞬間に賭けたいと思います。
森山未來(ノヴァク役)
どんな舞台も、お客様の目に触れてから変化し、成長していくものだと思います。
これまでのアブシャロムの作品と同じように、初日は“完成形”というよりも、お客様の反応を受けながら、一緒に気づき、ブラッシュアップしていく過程なのかなと感じています。
お客様と共に、この作品を育てていけたらと思います。
オフィシャルプロモーションソング:PK shampoo 「星」
作品について
命を捨てても曲げられない信念があるか?
世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?
地球の真理を知ることに魅せられ命を懸ける人間たちを描いた衝撃作を、全く新しい演劇作品として創作する。
「チ。 ―地球の運動について―」は、ビッグコミックスピリッツにて2020年に連載が始まるとまたたく間に全国規模の人気となり、「マンガ大賞2021」では第2位にランクイン、「第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞するなど高く評価された。胸を掴む怒涛のセリフと予想のつかないダイナミックな展開に、漫画ファンのみならず多くの読者が虜に。NHK総合にて放送され最終回を迎えたばかりのアニメ化も大きな話題となった。
舞台化の演出は、日本ではミュージカル『100万回生きたねこ』や百鬼オペラ『羅生門』を手がけてきたアブシャロム・ポラック。脚本の長塚圭史と共に、漫画の魅力をライブパフォーマンスとして立ち上げていく。
音楽に阿部海太郎、振付にエラ・ホチルドと世界で活躍するクリエイターを迎え、また出演者にも個性の強いメンバーが集結。窪田正孝、三浦透子、大貫勇輔、吉柳咲良、吹越満、成河、森山未來など芝居だけでなく身体能力も高い俳優陣が、ただの舞台化ではない作品を創り上げる。身体表現、芝居、歌や演奏を融合させ、新たな「チ。」が劇場に生まれる。
物語
15世紀ヨーロッパ「P国」では、「C教」と呼ばれる宗教が生活の中心となっていて、「C教」の教えに反するものは“異端思想”として拷問や処刑で激しく弾圧されていた。
神学を志す12歳の神童ラファウは、ある日、禁じられた思想、地動説を提唱する男と出会い、宇宙の法則に魅せられる。彼は知的探求の末、地動説の研究にのめりこむが、やがて異端審問官ノヴァクに目をつけられる。
時が流れ、ラファウの信念は多くの人々の手を渡りながら受け継がれていく。一方、ノヴァクは、以前にも増して執拗に異端者を取り締まるようになっていた。
知的探求心に突き動かされ、命を懸けてまで真理を追い求める人々。歴史の流れの中で、信念が人々を繋いでいくー。
概要
日程・会場
東京:2025年10月8日(水)~10月26日(日)新国立劇場 中劇場
愛知:2025年2025年11月8日(土)~11月9日(日) 御園座
広島:2025年11月14日(金)~11月16日(日) 呉信用金庫ホール
大阪:2025年11月21日(金)~11月23日(日・祝) 梅田芸術劇場メインホール
福岡:2025年11月29日(土)~11月30日(日) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
スタッフ・キャスト
原作:魚豊「チ。-地球の運動についてー」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
脚本:長塚圭史
演出:アブシャロム・ポラック
キャスト:窪田正孝、三浦透子、大貫勇輔、吉柳咲良、吹越満、成河、森山未來 ほか
ダンサー:皆川まゆむ、川合ロン、加賀谷一肇、笹本龍史、Rion Watry、半山ゆきの
演奏:MUSIC for ISOLATION(竹内理恵、ギデオン・ジュークス)
音楽:阿部海太郎
振付:エラ・ホチルド
美術:堀尾幸男
照明:ヨアン・ティボリ
音響:井上正弘
衣裳:廣川玉枝(SOMA DESIGN)
通訳:石丸由紀、吉田真由子
歌唱指導:筒井直子
振付助手:皆川まゆむ
演出助手:神野真理亜
舞台監督:足立充章
主催・企画制作:ホリプロ