加藤清史郎, 渡邉蒼, 三浦宏規 etc. ミュージカル『デスノート』開幕

初演から10年。2025年版キャストで『デスノート THE MUSICAL』が東京建物 Brillia HALLにて開幕。
「週刊少年ジャンプ」連載に続き、映画やドラマ、アニメなどへ展開された漫画「DEATH NOTE」。そのミュージカルは、2015年に日本で世界初演、その後、17年、20年に上演され、韓国での韓国キャストによる上演、ロンドンでもコンサートバージョンが上演され、各国で大きな反響を呼んだ。今回の公演は10周年の節目に当たる。夜神月はWキャスト加藤清史郎と渡邉 蒼。Lは三浦宏規。死神リュークは初演で夜神月を演じた浦井健治が担う。

加藤清史郎
渡邉 蒼

2003年12月から2006年5月、『週刊少年ジャンプ』にて連載、その後、2006年に藤原竜也の夜神月、松山ケンイチのLで映画化。それから9年経った2015年にミュージカル化。原作の漫画もアニメーションも映画も世界中でみられている。
冒頭、生徒たちが登場、学校の風景、成績優秀な高校生・夜神月は”正義”に疑問を抱いていた。教師に問いかけるも明快な答えは得られない。「正義はどこに」のナンバー、印象的で作品の根源をなす曲。キャッチーな歌詞、曲、この曲で観客は作品のテーマを知る。そして死神・リューク、気まぐれにデスノートを落とす。


物語の展開は原作や映画、ミュージカルを見ていればわかるが、それでもドキドキする、たとえオチがわかっているとしても。夜神 月は最初デスノートを拾った時は「不幸の手紙」と同じレベルのものと思っていた。

加藤清史郎
渡邉蒼

だが、試しにテレビで報道されている幼稚園に立てこもる誘拐犯の名前をデスノートに書いてみる。すると、誘拐犯が心臓発作で死亡。ここで夜神月は大きな”過ち”に陥る、自分こそが選ばれた者、新しい世界の神だと。だが、このノートは死神・リュークが退屈しのぎに落としたノート、夜神月はそのノートを拾ったことによってリュークの姿が見えるように。その姿は彼以外の人間には見えない。

リュークと夜神月のやり取り、またリュークの発言がシニカルで細かい笑いも。リュークは「死ぬほど退屈」と言ったり。さまざまな重厚なテーマをはらんだ物語だが、こういったところで観客はちょっと笑ったりできる。夜神月は根は真面目で純粋な人物だが、ノートを手にしたことによって自分は神、と思い、傲慢になっていき、犯罪者の居ない新世界を実現するために世界中の犯罪者たちの名をノートに書き記して殺害。

ところが名探偵Lが登場し、彼の推理によって次第に夜神月の心は追い詰められるも、”過ちに次ぐ過ち”を犯す”無限ループ”にはまっていく。Lは夜神 月に負けず劣らずの頭脳明晰な人物、2人が掲げる”正義”と駆け引きと頭脳戦、心理戦の応酬は原作でも読みどころだが、ここでも見どころとなっている。そして1幕ラスト、アイドルの弥海砂が…。


「正義とは何か」という人類の大きな命題、そして人間の愚かさ、「愚かな人間」というナンバーは死神が歌う。欲望は果てしない、欲しいものは必ず手に入れたい、権力、金、容姿etc.人によって欲しいものは異なるが、その欲は果てしない。欲望によって引き起こされる戦争、犯罪、決してなくならない。”キラ”と崇め奉られ、気分はアゲアゲになり、自分の邪魔をする者は粛清しようとする行為。人間の愚かさ、弱さを体現するキャラクター、人間の業、根源的な深いテーマ、問題、だからいつの時代でも色褪せない作品。2015年9月時点で3,000万部を突破、これは単行本12巻までの部数。連載終了後も幅広くメディアミックス。
東京公演の後、全国公演、千秋楽は1月25日。

初日前に簡単な会見が行われた。登壇したのは夜神月役の加藤清史郎、渡邉蒼、そしてL役の三浦宏規。

加藤清史郎「稽古が始まってから約2ヶ月ぐらい経ちますが、本当に…いろんなことを人間としても役者としても感じながらの日々だったので、その日々を経て、夜神月としてこの世界で生きるというのは、ものすごくやっぱり覚悟を改めてひしひしと実感しております」

渡邉蒼「約2ヶ月ぐらい稽古しまして、その間に『デスノート』という作品のことももちろんそうですし、演出の栗山さんやカンパニーの皆様と…さらに演劇というもの自体がこの世の中にある。今、この社会が実際に現実的に抱えている問題などについても話し合ってきましたので間違いなく、ミュージカルという枠を超えて、社会的に影響を与えられる強い作品になっていると思います」

三浦宏規「いい稽古期間を過ごせたなと個人的には思ってます。稽古ですごくギュッと濃縮な時間を過ごせました。そして各々がお2人が言ったようにいろんなことを考えて、この芝居以外のことも考えながら、この作品作りに取り組んでて、それは多分全員が各々でやってたんだと思うんです。いざ明日、初日を迎えるわけですけど、この作品をやりながら、人としても成長させてもらえたのかな、みんなで成長していったのかなっていう感覚があるんです。後はお客様にどう受け取っていただけるかというのは、私達が決めることではないので、自由に受け取っていただけたらなと思っております」

季節柄、クリスマスの話に。みんなでオーナメントを買って…裏では飾ってあるとか。和気藹々な雰囲気が伝わる。
また、稽古については3人とも口々に「すごいなー」「それぞれいろんなスタイルがありますけれども、3人とも形は違うけど、真面目でめっちゃ変(笑)」という答えが。またWキャストの二人はいろんなことを互いに話したりしているそう。加藤清史郎は渡邉蒼について「作品に対しての向き合い方が本当にずっと途切れることなく、ずっと真摯でい続ける」とコメント。渡邉蒼は「同じ役やらせていただいて、なんていうんだろう。人としても俳優としても…作品に対しての理解が凄まじくて」とコメント。
またLの独特の姿勢、この体勢で歌唱というのはかなり難易度が高そう。「座り方はもうね、普通に歌えなくなってきた」と三浦宏規が笑いを誘う。そして「楽ではないですね。でも慣れちゃいました」とコメント。さらにテニスのシーンがあるが、この姿勢で!ここは見どころ。またLは裸足。もうすぐ12月だが…。「末端冷え性なんですよ、すごく。今日ぐらいはスリッパ履きたかった」とコメント。
最後に公演PR。

三浦宏規「ようやく幕が開く…全員の熱量みたいなものがすごく初日に向けてどんどんどんどん高まって、毎日演出の栗山さんからもいろんなお言葉をいただけて、ただ舞台に向き合うだけじゃない、いろんなことを考えながら私達は作品に向き合って、そういう思いみたいなものをお客様にぜひ!」

渡邉蒼「舞台上に『デスノート』という作品の壮大な世界観も広がっていますし、同時に舞台上に今の社会が作り上げられているという印象があります。たくさんのキャストのみんなが協力して、今の社会の問題、本当に現実的なものを描いているのと、プラスミュージカルということで、ワイルドホーンさんの素晴らしい楽曲が物語を後押ししてくださいます。本当に素晴らしい作品なってますのでぜひ劇場でお会いできたら嬉しいです」

加藤清史郎「いや本当に、素敵なこと全部2人とも言ってくれたので…人間というものを感じていただけたらすごく嬉しいなと思っております。そして『デスノート』という作品を通じて、見終わった後に今この世界で生きている自分の心、持って帰っていただけたらそれ以上のことはないかなと思いますし、そう感じていただけるように…とにかく夜神月として『デスノート』の世界で、泥臭く、生き抜けたらなと思います。皆様に楽しんでいただけますように」

<製作発表会レポ記事>

加藤清史郎, 渡邉蒼, 三浦宏規, 浦井健治 etc.『デスノート THE MUSICAL』製作発表会レポ

あらすじ
成績優秀な高校生・夜神 月(やがみライト)(加藤清史郎/渡邉 蒼(ダブルキャスト)は、ある日、一冊のノートを拾う。ノートには、「このノートに名前を書かれた人間は40秒で死ぬ」と書かれていた。それは、死神リューク(浦井健治)が退屈しのぎに地上に落とした“死のノート”(デスノート)。犯罪者を裁ききれない法律に、限界を感じていたライトは、ある日、テレビで幼稚園に立てこもる誘拐犯の名前をデスノートに書いてみる。すると、誘拐犯は突然、心臓発作で息絶えた。「自分こそが神に選ばれ、犯罪者のいない世界を創る“新世界の神”だ」と、ライトはデスノートを使い、犯罪者の粛清を始めていく。世界中で犯罪者が不可解な死を遂げていく事件が相次ぐ中、インターネット上ではその犯人を「キラ」と呼び、称賛しはじめる。犯罪の数が激減する中、警察は犯人の手掛かりさえつかめないでいた。そこへ、これまであらゆる難事件を解決してきた謎の名探偵L(エル)(三浦宏規)が事件を解決すべく、捜査を開始する。

概要
『デスノート THE MUSICAL』
日程・会場
東京:2025年11月24日(月・休)~12月14日(日) 東京建物 ブリリアホール
大阪:2025年12月20日(土)~23日(火) SkyシアターMBS
愛知:2026年1月10日(土)~12日(月・祝) 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡:2026年1月17日(土)~18日(日) 福岡市民ホール 大ホール
岡山:2026年1月24日(土)~25日(日) 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
原作:「DEATH NOTE」(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス刊)
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
歌詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド
音楽監督:塩田明弘
出演:加藤清史郎/渡邉 蒼(ダブルキャスト)、三浦宏規、鞘師里保、リコ、濱田めぐみ、浦井健治、今井清隆、俵和也、石丸椎菜、岩橋大、大谷紗蘭、小形さくら、尾崎豪、上篠駿、川口大地、神田恭兵、咲良、田中真由、寺町有美子、照井裕隆、藤田宏樹、増山航平、町屋美咲、松永トモカ、望月凜、森下結音、安福毅、德岡明(スウィング)、森内翔大(スウィング)ポータブル スピーカー

公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/deathnote2025/