LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」2026 RE:boot ゲネプロレポート着

LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」2026 RE:bootが、2月7日に新宿・THEATER MILANO-Zaで開幕直前に、ゲネプロが実施され、オフィシャルのレポートが届いた。


<オフィシャルゲネプロレポート>

LIVE STAGE『ぼっち・ざ・ろっく!』2026 RE :boot が2月7日に新宿・THEATER MILANO-Zaにて開幕。初日に先駆け同劇場で公開ゲネプロが行われた。

本作は、はまじあき作「ぼっち・ざ・ろっく!」(芳文社/「まんがタイムきらら MAX」連載中)とアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」を原作とした舞台。2023年に初演、2024年に再演と続編が上演され、2025年には舞台版キャストによるライブイベントが開催された。今回は、過去に上演された2作の舞台版のストーリーを1本の作品に再構築した「リブート版」。さらに、公演期間中にはLIVEだけがおこなわれる公演日も設定されている。

アニメ1期の内容を駆け抜けられるとともに、バンドの生演奏と生歌唱が体感できる本作。本番と同じ熱量の芝居と演奏で、劇場がライブハウスと化したゲネプロの様子をお届けする。

人の目を見て話せない、極度の陰キャである高校1年生の後藤ひとり(演・守乃まも)。人気者になるためにギターを始めたものの、学校の軽音部に入ったり誰かと演奏をしたりをするでもなく「ギターヒーロー」としてネットにギターの演奏動画をアップロードする日々を送っていた。そんなある日、偶然出会った伊地知虹夏(演・大竹美希)にバンドのサポートギターを頼まれ、そのまま”結束バンド”のメンバーに入ることになってしまう。また、結束バンドのベース・山田リョウ(演・小山内花凜)の命名により「ぼっち」と呼ばれることになった。

ひとりは、ギターボーカルに喜多郁代(演・大森未来衣)を新たに加えた結束バンドのギタリストとして、さまざまなライブイベントを体験したりメンバーとの触れ合いを通して成長していく。 リブート版の今作は、過去2本の舞台を1本に再構築した脚本(脚本・演出/山崎彬)で描かれる。そう聞くと、単純に2本分をただ凝縮した忙しい作品になってしまっているのでは…と思うファンもいるかもしれない。しかしそうではないことは、舞台冒頭からすぐに感じ取れるだろう。

原作で描かれている大事なことや大筋のストーリーはそのままに、舞台過去作2本を大胆にブラッシュアップ。驚きの新シーンも加わり、作品と登場人物の背景により彩りと深みを与えている。特に2幕冒頭の部分は見逃せないので、休憩中に離席することがあれば早めに席に戻るのをおすすめしたい。

時間の都合で割愛されたシーンも、他のシーンでエッセンスを感じ取れるようになっていたり、登場人物のモノローグや、ひとりのイマジナリーフレンド・ぼっち〜ずによる説明などで補完されているものも多い。そのため、ストーリーにねじれや空白は感じられない。テンポよく、しかし大事なシーンはじっくり丁寧に描かれた一本となっている。今回の公演は、1幕と2幕を通して1本の作品として観ることに意味がある…と、開幕早々そして観劇が終わったその時に気づくことになるに違いない。

変更点があるのは脚本だけではない。演出も、よりスムーズに舞台が進行するように、そして観客がさらにこの世界に没入できるような工夫がされている。それは、1幕で語られる部分については3回目、2幕部分は2回目の上演という、経験に裏打ちされたものだ。

秒単位での調整を繰り返して心地よいスピードで上下する映像スクリーン、ここに来てほしいと思った所にハマる映像、心情理解をさらに深めてくれる劇伴の音量とタイミング、手作り感と職人技術が同居しアナログな魅力を増幅させているセットの数々。照明は、注目点などの視線誘導や明かりの意味を持ちながらも登場人物の心理に寄り添い、LIVE シーンでは最高にクールな演出として気持ちを盛り上げてくれる。

すべてのセクションが力を合わせて作り上げる数々の仕事から「ここをこうしたらもっと良くなる」「もっとこうしたい」という、山崎をはじめとした制作スタッフたちの気持ちが伝わってくるに違いない。

今作で初めてこのシリーズに触れるファンはスムーズにこの世界に招き入れられ、過去作を観ているファンは、人物の内面にさらに深く入り込んでの観劇体験ができるだろう。

次に、本作の最大の見どころである生演奏と生歌唱について。「舞台で演者が実際に演奏をする」として話題になっただけではなく、その演奏と歌唱のクオリティの高さからライブイベントも開催された本作。劇場であるTHEATER MILANO-Zaの音響スペックをフル活用した迫力のサウンドには、まさに音の圧を全身で感じられるLIVE体験ができる。山田リョウ風に言うなれば「音を浴びろ、音を」だ。ドラムの音圧と腹に響くベースのリズム、キレのあるギターの音色、心地よくも胸に迫る歌声で構成される舞台版結束バンドの演奏は、やはり劇場で体感してこそ。配信は演奏中や芝居パートでの演者の細かい表情が見られるが、本作を最大に味わうためにやはり劇場で観劇をしてほしい。

結束バンドの、初ライブでの焦りと戸惑いから勢いある演奏へのシフトチェンジの瞬間には鳥肌が立つ思いがするだろう。また、SICK HACKによる人気バンドならではの自信にあふれた演奏も、過去に実際に劇場で聴いたファンは、その音圧に飲み込まれてしまいそうな感覚を味わったのではないだろうか。

また、SICK HACKが新宿を拠点としていることから「地元感」も同時に感じられる。「まだまだいけるか新宿!」との廣井きくり(演・月川 玲)の呼びかけに煽られるまま応えれば、ライブハウス「FOLT」の観客気分も同時に味わえること間違いなしだ。

舞台の観客でありながらバンドのLIVEを見に来た観客にもなれ、さらに、この世界を作り上げる一員にもなれるのが本作の大きな特徴。作中で数箇所あるLIVEシーン、初演から引き続きある新宿ならではの客席とのコールアンドレスポンスのシーンなどでは積極的に参加して作中人物となって、物語をさらに楽しんでほしい。

メインキャスト・結束バンドの4人は「この4人でなければならなかった」と改めて感じさせてくれるメンバーだ。4人とも、LIVEも通算すると各人物として舞台に立つのは4度目。役との一体感はすでに安心と信頼の域に達している。本作の主人公、後藤ひとり(ぼっち)を演じる守乃まも。さらに役と自身がなじみ、ひとりなのか守乃の素なのか分からなくなってしまうほどだ。しかし稽古や場当たり(劇場に入ってからの最終調整・確認)などでは、不明点や疑問点はそのままにすることなくしっかりと質問をして解消させているのを見て、芯の強さと座長としての責任感を感じた。それでいて良い意味で初演から変わることはなく、アドリブのシーンなどでは持ち味を最大限発揮している。また、”猫背の虎”そのままにギターをかき鳴らす姿には、強いヒーロー性を感じさせるものがあった。

ドラム・伊地知虹夏役の大竹美希。バンドをやっていた姉に影響されてドラムを始めたという彼女自身のルーツや、演奏中にバンドメンバーへ向けられる愛に満ちた笑顔には、虹夏と重なって見える部分が非常に多い。ドラマーとして活躍中のその技術は、バンドを支える屋台骨そのもの。何と、普段の叩き方ではなく「高校生の虹夏としての叩き方」をしているとのこと。虹夏の焦りと緊張が手に取るように分かる演奏、気持ちの乗った音の圧。どれも聴き逃さず、そして見逃さずにいてほしい。

クールさが魅力の山田リョウを演じるのは小山内花凜。リョウのクールな部分とミステリアスさはもちろん、頭を振ればカランカランと音がするような少し抜けた部分や、ぼっちでひと山当てようとするがめつささえも、その圧倒的なビジュアルとめきめきと力をつけてきた演技力で、チャーミングに表現している。キャラクター上、表情の幅は大きくない中でも、わざとしている悲しい顔、焦りと緊張の表情、虹夏と一緒になってする「ニヤニヤ」の顔などをしっかりと演じ分けてくれているので見逃さずにチェックしてほしい。

結束バンドのボーカル・喜多郁代を演じる大森未来衣は、豊富なミュージカル作品出演経験を持ち、近年でも着実にそのキャリアを積み上げているのが印象的だ。さらにパワーアップした喜多ミュ、暴走するコメディシーン、しっとりと心情を表現しているシーンなど、弾ける笑顔が眩しい歌唱シーン以外にも見どころは盛りだくさん。本作に出演が決まってから本格的に始めたというギターの腕前の上達ぶりからも、彼女がどれだけ努力家なのかということは伝わるはずだ。話が進むにつれてギターの弾き方が変わっていくなど、細かい部分にも注目を。

結束バンドを見守る大人組の2人、伊地知星歌役の山崎里彩、PAさん役の堀 春菜。お互いのやりとりだけではなく、大人として結束バンドのメンバーとどう関わっていくかについてもぜひ見逃さずに。

新宿ならではのキャラクターで場内とやり取りをして盛り上げるピーターピーター。ファン1号・ファン2号という名称ではあるものの出番も役割も大きくストーリーに厚みを与える森本さくらと中橋沙里乃。野田裕貴は唯一の男性キャストとして、群舞でのダンスシーンでも、父・後藤直樹+吉田銀次郎としても、カンパニーに新たな層と可能性を与えてくれている。そして何と言っても、ダブルキャストで後藤ふたりを演じる津久井有咲と天野叶愛。姉の立つ背のないしっかりした佇まい、無邪気な笑顔。カンパニーと作品にとって、なくてはならない存在だ。

ストーリー、ビジュアルも含めたキャラクターたちの完成度など、いわゆる”2.5次元”ものとして再現度が高いとファンからの呼び声が高い本作。それに加えて、舞台を観て新たな解釈ができ、さらに原作が好きになるのではないだろうかと感じる。

漫画・アニメが原作となっている舞台の魅力のひとつに「シーンの側面や裏側が見える」がある。そのシーンに存在はしているけれども描かれていない(または一瞬だけ描かれている)キャラクターたちの居方や表情が知れるからだ。
配信映像カメラワークの良さには定評がある本作だが、配信では「ここを観てほしい」という流れ上、カット割が行われている。しかし劇場においては何をどのように観るのも自由。

ここでこのキャラクターはこんな表情をしていたのか、こんなふうに立っていたのか。例えば、ぼっちが最大のピンチを迎えた時のリズム隊の視線のやり取り。そして「後藤さんのかっこいい所」を大勢の観客に見せられたときの、喜多ちゃんの花が咲いたような表情。観劇1度目はアニメの流れを追いながら。2度目3度目は、オペラグラスを構えて推しキャラ定点カメラになるのもいい。何度でも違う楽しみを見出して自由に楽しめるのも演劇ならではの魅力のひとつだ。

そして新たな魅力と言えば、1曲を生演奏でフルで聴けるのも貴重な機会。結束バンドの各曲や、SICK HACKの「ワタシダケユウレイ」。特にSICK HACKにおいては、上にも書いた”新たな魅力”を多く見つけられる演奏をしてくれる。アニメ版のきくりとは良い意味で違う、よりドスの効いた荒々しいがなり歌唱と超絶技巧ベースを同時に披露する月川。変則リズムを寸分の狂いもなく叩き、ベースに負けることなく主張をするドラムの未結奈。舞台上を楽しそうに動き回り、レーザーのように効果的に刺さる音を奏でるイライザ役の斉藤瑞季。舞台版によって、SICK HACKの新たな魅力を見つけてよりファンになった人は多いだろうと感じる。

本作で原作の新たな魅力を発見して、より原作を好きになるケースもあれば、舞台から入って、そこから原作に触れていくこともあるだろう。どちらの場合であっても「ぼっち・ざ・ろっく!」の世界ををより楽しめるという点では同じだ。

上演時間は、1幕1時間45分、休憩時間15分を挟んで2幕1時間25分の、合計3時間25分予定。たっぷりと楽しめる時間を設けている。やはり舞台とLIVE は現場で体感してこそ。バンドの音を浴びに、そして”人が演じる”舞台ならではの生の空気を感じに、ぜひ劇場へ足を運んでほしい。


なお、このステージのBlu-ray&DVD が8月26日のリリースが発表された。

公演概要
公演タイトル:LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」2026 RE:boot
会期会場:
原作:はまじあき「ぼっち・ざ・ろっく!」(芳文社「まんがタイムきらら MAX」連載中)/
アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」
脚本・演出:山崎 彬
CAST
後藤ひとり:守乃まも
伊地知虹夏:大竹美希
山田リョウ:小山内花凜
喜多郁代:大森未来衣
伊地知星歌:山崎里彩
PAさん:堀 春菜
廣井きくり:月川 玲
岩下志麻:未結奈
ギタ男:ピーターピータ―
ファン1号:森本さくら
ファン2号:中橋沙里乃
後藤直樹/吉田銀次郎:野田裕貴(梅棒)
後藤美智代/清水イライザ:斉藤瑞季
後藤ふたり:津久井有咲/天野叶愛(Wキャスト)
スタッフ
美術:竹邊奈津子
照明:勝本英志(Lighting Lab)
音響:中島 聡(ALMIGHTY)
映像:森 すみれ
振付・ステージング:浅野康之
衣裳:木村春子(花桃ワードローブ)/佐藤憲也
ヘアメイク:糸川智文(STRINGS)
音楽監督:楠瀬拓哉(OVERCOME MUSIC)
音楽コーディネート:Kuboty
ローディーテクニシャン:チームアクティブ
小道具:羽鳥健一
演出助手:藤嶋 恵
舞台監督:仲里 良
宣伝美術:エリイクエ
宣伝写真:金山フヒト(Xallarap)
制作進行:吉井敏久(Lol)
渡辺詩織(Lol)
主催:アニプレックス

公式サイト https://bocchi.rocks/stage

©はまじあき/芳文社・アニプレックス
©LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」製作委員会