平成最後&令和元年!丸美屋食品 ミュージカル「アニー」いつだって『Tomorrow』、明日はきっと幸せが!

恒例となった丸美屋食品ミュージカル「アニー」、4月26日、開幕した。
本作は、1924 年からアメリカで新聞連載がスタートした漫画「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さい孤児アニー)」をもとに、1977 年にブロードウェイのアルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)で誕生したミュージカル。同年のトニー賞において、作品賞を はじめ 7 部門を受賞し、現在も世界各国で上演され続けている名作。日本公演は、1986 年、日本テレビ主催でスタートした初演以来、 今までに全国で約 176 万人もの人たちに深い感動を与え続けている国民的ミュージカルとなっている。
2017年に『ジキル&ハイド』『ローマの休日』『ラ・カージュ・オ・フォール』『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』など、ミュージカルやストレートプレイとジャンルを超えて幅広く活躍する山田和也を迎え、演出も一新。テンポが良く現代的な演出で、見やすくなったと好評、今年も!キャストにはすっかりおなじみになったウォーバックス役の藤本 隆宏、注目のハニガン役は早見優。グレース役は元宝塚歌劇団娘役トップの蒼乃 夕妃、ルースター役には2017年から演じている青柳 塁斗、リリー役は服部 杏奈、実は2006年度にアニー役で出演、つまりOGでもある。
もちろんストーリーは変わらない。しかし、改めて観ると様々な発見がある。オーバーチュアーで流れるミュージカル「アニー」の楽曲の素晴らしさ、しかもアレンジも洒落ていて、曲を聴くだけで、作品の様々なシーンやセリフが思い浮かんでくる。何度観ても飽きない作品というのはこういうものだ、というお手本のようなオーバーチュアーだ。そして孤児院のシーン、一番小さいモリーの「ママーー!」という声、慰めるアニー(ゲネプロでは岡菜々子)、本当は自分だってそう叫びたい、しかし、そこは年長らしく振る舞う。孤児院には様々な個性の子供達がいる。境遇は皆同じだ。おなじみのナンバーでつづられる。

元気いっぱいな子供たち、モップやバケツを使った掃除の場面はいつ見てもクリエイティブだ。ハニガン先生(早見 優)に秘書のグレース(蒼乃 夕妃)、大金持ちでいわゆる成金のウォーバックス(藤本 隆宏)、おなじみのキャラクターが次々と登場、新演出がさらに磨きがかかっていて小気味よくストーリーは進んでいく。

首尾よく孤児院を抜け出したアニー、ホームレスたちがいるエリアにたどり着き、食事にありつく。ここで歌われる曲は、なかなかにシニカルな内容。ハニガン先生は独身、実は結婚願望があり、本当は「白馬の王子様」を待っている状況でグレースが提示した申し出の相手が誰だか知るとたちまち色めき立つ、わかりやすいキャラクターだ。アニーとウォーバックスとの出会い、屋敷にいるメイドや執事らがみんなアニーの虜になっていく。そしてアニーの本当の願いや気持ちを知ったウォーバックスはアニーのためなら、と決意する。

原作はコミック、つまり昨今でいう、いわゆる『2.5次元』というジャンルに当たる。キャラクターの姿形を原作コミックに寄せ込んで忠実に再現しているのか、というとそうではない部分は多数ある、しかし、全く無視するわけでもなく、原作の良さを踏襲しつつ、ミュージカル「アニー」というスタイルを確立させている。

新演出版、今年はさらにパワーが増したようにも感じる。ちょっとしたところ、群舞のコリオやフォーメーション、かつての良さを踏襲しつつ、流行りのダンススタイルも取り入れてダイナミックさもあり、それでいてエレガントなシーンもある。芝居部分ではグレースが、より人間味あふれて、しっかり者な秘書であるには相違ないが、ちょっと可愛らしいところや抜けているところもあってチャーミング、ウォーバックスもアニーにプレゼントを渡そうをしてドキドキするシーンは、アメリカ随一の大金持ちなはずなのに「ここで動揺している!」的な可笑しさ、見た目のがっしり感との落差が激しく、ここはちょっと笑えるところ、ここを藤本隆宏がコミカルな仕草で笑わせる。ルースター(青柳 塁斗)のチャラさと小者感、テキトーさ、恋人のリリー(服部 杏奈)のお色気、そしてちょっとずるいところを感じさせる、グレースとは真逆のキャラクター。そして!ハニガン先生、今回は初役の早見優、意地悪なだけではない、ふとしたところに可愛さも見え隠れするハニガン、基本的に『悪女』には違いないのだが、性根はそうでもないのかも?と思わせる部分で共感を呼ぶ。また2幕から登場するキャラクター・ルーズベルト大統領を演じている阿部 裕、実は1幕ではりんご売りとして登場しているがよく響く歌声が場面のアクセントに。
日本では今年34年目になるミュージカル「アニー」、何度観ても飽きない、そして新たな感動、まだ未体験なら一度は!そして「観た」なら「また!」、名作は何度観ても!

 

ゲネプロ後に囲み会見があった。登壇したのは岡菜々子(チーム・バケツ)、山﨑玲奈(チーム・モップ)、藤本隆宏、早見優 。
早見優は初参加、「初めてなのですが、ワクワクな気持ちと・・・・・皆さんと一緒にお稽古させていただいて本当に楽しかったので早く皆さんに楽しんでいただけたら」とコメント。岡菜々子は「あっという間で、本番と思うとお腹が痛くなるんですけど、バケツの子やモップの子がすごく楽しくしてくれるので緊張がほぐれるので最後まで頑張っていきたいと思います」と元気よく。山﨑玲奈は「初めての主演のミュージカルなので、頑張ってお客様にアニーを伝えられるように頑張ります」とコメント。藤本隆宏は「今年で3年目、本当に3年目といっても新しい演出がたくさんあるので、山田さんも気づかなかったところがあって『変えよう』と。全く違うものになっています。この2人の歌声が素晴らしいし、素直に芝居をするので、こっちもそれに合わせるのは大変ですが、それが逆によくって!アニーらしさがすごく広がっていると思います。楽しみにしています」

稽古で大変だったところということで岡菜々子は「人がいっぱい動くシーン、稽古でもいっぱいセットがあって大変だなと。でも、楽しいです!」と言い、山﨑玲奈は「他のキャストの人の動きとかで自分の段取りもあって想像していかなきゃいけないところで難しいですが、流れでやって見るとすごく楽しいのでワクワクしています」と語る。セットの動き、フォーメーション、覚えることはたくさん!でも大変さより楽しさの方が上回っている様子。「自由っていうんでしょうか、基礎をしっかりやっているので、形で演じていないんですよ、そこが素晴らしい!心で演じている、歌い方も心で歌っているのをすごく感じます」と大絶賛。そして「サンディとのコミュニケーションがね、素晴らしい」とコメント。あと、今年からサンディが!変わっているので(もふもふ感は踏襲!)!「見所の一つです」と藤本隆宏。アニー役の2人、会見でも仲良く!「大変さを共有しあってて、我々から観ても仲がいい」と藤本隆宏。また早見優は「意地悪な役は初めてです。話し方とかアドバイスをいただいて、今はすっかりハニガンが降りてきて!役としてはすごく楽しいです!」と笑う。稽古で自分が出てないシーンについて「二人が本当に上手で、ウォーバックスさんとの二人だけのやり取りとか、キュンキュンしちゃって(笑)泣いちゃって!」と早見優。舞台稽古ではハニガン先生は相当怖いようで、「怖くなってて」「嬉しい!」と楽しく会話。また岡菜々子はGW中の公演ということで「GWってことを忘れちゃう!家でゴロゴロしてるよりは(笑)舞台やってた方が楽しいかな?」とちょっと面白発言。山﨑玲奈は「今、季節が何かも忘れるくらい集中しているので、ここでワイワイしてる方が楽しいな」とコメント。見所は二人は「みんなが出ているところ」で藤本隆宏は「ハニガンのセクシーさでしょうね(笑)ブロードウェイで観てるみたいです」とコメント。

「これだけ長く続いているミュージカルは世界を見てもなかなかない。それだけ、この作品の素晴らしさと楽曲の素晴らしさ、いろんなジャンルの音楽が入ってて飽きない。これが魅力、あとは頑張っている子供たちの魅力!頑張っている姿を見て大人も!素敵なミュージカルです」と藤本隆宏。早見優は「ストーリーも素晴らしいし、アニーを筆頭に女性の強さ、強く生きていく女性の物語でもあるので、すごく好きだなって思うところです。あとは楽曲が本当に素晴らしいんですね!毎日聴くんですが、すごくワクワクする楽曲ばかりですので!」と締めくくって会見は終了した。

<ストーリー>
舞台は1933年のニューヨーク。世界大恐慌直後の街は、仕事も住む家もない人であふれていました。誰もが希望を失っているなか、11歳の女の子アニーだけは元気いっぱい。11年前、孤児院の前に置き去りにされたというのに、いつか両親が迎えに来ると信じて、逆境にひるむことなく前向きに生きています。 そんなある日、大富豪オリバー・ウォーバックスの秘書グレースに気に入られたアニーは、クリスマスの2週間をウォーバックスのもとで過ごすことに。 ウォーバックスは、アニーを養女にしたいと思うようになります。 しかしアニーは、本当の両親と暮らすという夢をあきらめきれません。 その強い気持ちに打たれたウォーバックスは、懸賞金をかけて彼女の両親を捜すことにします。ところが、それを知った孤児院の院長ハニガンと弟ルースター、その恋人のリリーは、懸賞金目当てに悪だくみを始めて・・・。アニーの夢はかなうのでしょうか?

<キャスト>
[大人キャスト]
ウォーバックス:藤本 隆宏
ハニガン:早見 優
グレース:蒼乃 夕妃
ルースター:青柳 塁斗
リリー:服部 杏奈
ルーズベルト大統領:阿部 裕
アンサンブル:伊藤 広祥、鹿志村 篤臣、後藤 光葵、笹岡征矢、谷本充弘、矢部貴将、岩﨑 ルリ子、神谷 玲花、川井 美奈子、木村つかさ
[子供キャスト]
アニー:岡菜々子(チーム・バケツ)、山﨑玲奈(チーム・モップ)
モリー:三浦 あかり(チーム・バケツ) 、石井 瑠菜(チーム・モップ)
ケイト:塩原 くらら(チーム・バケツ) 、斎藤 藍(チーム・モップ)
テシー:舟久保 美咲希 (チーム・バケツ)、成石 亜里紗 (チーム・モップ)
ペパー:古矢 茉那(チーム・バケツ) 、洞 桃香 (チーム・モップ)
ジュライ:梁 世姫(チーム・バケツ) 、小池 佑奈 (チーム・モップ)
ダフィ:山口 紗來(チーム・バケツ) 、吉田 葵(チーム・モップ)

【公演概要】
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
2019年4月27日〜5月13日 新国立劇場 中劇場
※東京公演のほか。地方公演も予定。
脚本:トーマス・ミーハン
作曲:チャールズ・チャーニン
演出:山田和也
音楽監督:佐橋俊彦
振付・ステージング:広崎うらん
公式HP:http://www.ntv.co.jp/annie/

取材・文:Hiromi Koh