アレクセイ・リュビモフ “No More HIROSHIMA”への想いを込め、シルヴェストロフを弾くために再び 東京 広島のステージに_ タワーレコード渋谷店にて特設コーナーも 

この4月に来日公演を行うアレクセイ・リュビモフは、リヒテル亡き後「最後の巨匠」と言われる。 冷戦時代のソ連で現代音楽の初演をいく度も行い、 アルヴォ・ペルトやシルヴェストロフの作品を世界に紹介。 ロシアのウクライナ侵攻に際しても真っ先にウクライナ支援を表明するなど、今も昔も当局から「危険人物」とマークされてきた反骨の人でもある。

2016年の広島公演も、そんな彼の強い想いによって開催された。2度目の来日公演が決まっていたリュビモフは、広島を訪れるオバマ米大統領が謝罪をしないと知って、「それは理不尽だ」と憤り、被爆者や遺族に追悼を捧げたいと、 急遽、広島での「祈り」のコンサートが実現。2022年のウクライナ危機においても、真っ先に浮かんだのは、「ウクライナを広島、長崎に次ぐ被爆地にしてはならない」という想いだった。じつは、視力の衰えなどを理由に、2020年に引退コンサートを行っていたリュビモフは、再び音楽を通して反戦への祈りを世界に届けようと決意していた。

「シルヴェストロフの音楽は、ただ美しいだけではない。 現実に起こっていることを包み込むような音楽なんだ」とリュビモフは語る。 かねてよりシルヴェストロフから多くの曲を献呈され、演奏をしてきた彼には、 シルヴェストロフの「祈り」の音楽を世界に広めたのは自分だという矜持がある。一時はロシア人が自作を演奏することに複雑な思いを抱いていたシルヴェストロフとも対話を重ね、 身の危険を恐れずウクライナを支援する同志としての想いをひとつにした。 音楽の力で反旗を掲げるためにみずからの引退を翻し、 今なお欧米の音楽界の最先端にいる一言居士が 決然たる覚悟で奏でる平和への祈りを、ぜひ多くの方に聴いていただきたい。

プロフィール
【アレクセイ・リュビモフ】
1944年生まれ、ロシアのピアニスト/チェンバロ奏者。63年に モスクワ音楽院に入学。ゲンリフ・ネイガウスとレフ・ナウモフに師事。フォルテピアノ奏者としてモーツァルトのピアノ・ソナタ全集や ショパンのバラード全曲録音のほか、シェーンベルクやシュトック ハウゼン、ブーレーズ、リゲティなど現代音楽作品のソ連初演を行 う。特にシルヴェストロフ作品に注力。また、モスクワ・バロック・カ ルテットやモスクワ室内楽アカデミー、音楽祭などを設立。80年 代以降はソリストとしても活躍。スビャトスラフ・リヒテル亡き後、 ロシアの古典から現代音楽までを幅広く演奏することのできる最 後の巨匠と言われる。 日本での公演は2015年の初来日を皮切りに、引退宣言後の20 19年最後の来日コンサートまで、ほぼ毎年、広島、東響、京都、名 古屋などで開催。2017年には初来日となったシルヴェストロフ と共に「シルヴェストロフ80歳記念ガラ・コンサート」に出演。
【ヴァレンティン・シルヴェストロフ】
1937年9月30日、ウクライナ・キエフ生まれの作曲家。 現代的感覚と懐古的な響きを兼ね備え、深い抒情性を湛えた作品を発表。 ロシアのウクライナ侵攻後は、避難先のベルリンでウクライナの惨状に想 いを馳せた2つのピアノ作品を発表。2014年のマイダン革命で亡くなったキーウ市民の追悼を込めて作曲した「ウクライナへの祈り」は全世界で 演奏されている。 なぜ今、シルヴェストロフなのか? ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、平和への道筋が見えない今、 ウクライナ・キーウ出身の作曲家シルヴェストロフが全世界で脚光を浴びている。 「知る人ぞ知る」現代音楽の騎手であったシルヴェストロフを一躍「時の人」にしたのは、《ウクライナへの祈り》。 2014年2月、キーウで起きた反政府デモは騒乱に拡大(「マイダン革命」と呼ばれる)、 親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領を失脚させたが、流血の事態により市民80人が亡くなったといわれる。 そのまっただ中にいたシルヴェストロフは、抵抗の意志と追悼を込めて多くの合唱曲をつくった。 その中の1曲である《ウクライナへの祈り》は、得も言われぬ美しい響きで、 「主よ、ウクライナを守りたまえ/われらに力と信仰と希望を与えたまえ/われらの父よ」と歌われる。 原曲は無伴奏混声合唱による4分ほどの作品だが、ウクライナ危機を受けて、 新たに管弦楽版(アンドレアス・ジース編曲)と室内管弦楽版(エドゥアルト・レサチュ編曲)がつくられ、 原曲の合唱版と共に世界中で演奏されている。 シルヴェストロフ本人にも世界中のメディアからオファーが殺到。昨年5月1日、NHK Eテレ「クラシック音楽館」は、「今こそ平和の響きを〜ウクライナ侵攻 芸術家たちの闘い〜」と題して、 シルヴェストロフのインタビューを報道。

タワーレコード渋谷店

 

タワーレコード渋谷店にて シルヴェストロフ特設コーナー展開

コメント
タワーレコード 佐藤奈々

シルヴェストロフを知ったきっかけは、
『汝のためにわれらは歌う~宗教合唱作品集』
(品番:ODE1266)でした。

そのあまりにも美しい旋律が忘れられず、
店頭でご紹介したところ当店ロングセラー商品となっています。

その後NHK音楽館で特集を見て、いつか特集をしたいと思っていましたが、
きっかけが見つからず、今回のリュビモフさんの来日を知り今しかない。と思った次第です。

 

公演概要 (五反田、蒲田、広島)

五反田:2023年4月11日(火) 19:00 五反田文化センター 音楽ホール
料金:一般7500円(当日8000円)、MCS会員6500円(当日7000円)
プログラム:モーツァルト:ピアノソナタ第15番、シルヴェストロフ:4つの小品 ブラームス:7つの幻想曲、3つの間奏曲、ショパン:舟歌

蒲田:2023年4月16日(日)16:00 日本キリスト教会 蒲田御園教会
*一般発売なし。MCS会員限定公演 料金:MCS会員限定当日座席指定 5000円 (MCS会員年会費1200円)
プログラム:ブラームスの夕べ ブラームス:7つの幻想曲、3つの間奏曲、6つの小品、2つのラプソディ

五反田:2023年4月17日(月)19:00開演 五反田文化センター 音楽ホール
料金:一般7500円(当日8000円)、MCS会員6500円(当日7000円)
プログラム〉 わが友、シルヴェストロフに捧ぐ シルヴェストロフ:キッチュ・ムジーク、3つのバガテル、記憶の瞬間Ⅱ、3つのワルツとポストルディウム ブラームス: 6つの小品、2つのラプソディ
東京 問合:03-3473-2880 mticket@mcsya.org

広島:2023年4月14日(金) 18:45 はつかいち文化ホール ウッドワンさくらぴあ 小ホール
料金:自由席6000円、プレミアムチケット7000円(指定席・リュビモフのサイン付き・数名限定) 会員5500円(さくらぴあ倶楽部,三次音楽協会,MCS各会員)、会員学生1500円
プログラム〉モーツァルト:ピアノソナタ第8番、シルヴェストロフ:4つの小品、ブラームス:7つの幻想曲、 ショパン:舟歌
広島 問合:080 8243 1540   or   0829 20 0111


開演時間・プログラムは予告なく大幅に変更になる場合有り

WEB:https://mcsya.org

アーティスト撮影:林喜代種