
新宿駅から京王線で15分の街調布。東京のベッドタウンであると共に「角川大映スタジオ」「日活調布撮影所」などの映画撮影所や映像関連会社が集積する街だ。昭和の初めに撮影所が調布に開設されてから90年あまりとなる。この調布の街で開催される映画祭「映画のまち調布 シネマフェスティバル」が今年も2月7日〜2025年3月2日に開催。
映画・映像をつくるまちならではの独自性がある映画祭だ。映画祭を通して、調布の映画の歴史や映像文化に触れ、調布の街に根ざした芸術・文化の振興と地域活性化などを目指している。開催を前に、一般より募集された「日本映画人気投票」による作品をースに選考された映画賞「映画のまち調布賞」受賞作の授賞式、映画制作の技術スタッフや監督によるトーク付きの映画上映、展示、ワークショップなどが催される。
第7回映画のまち調布賞の授賞式が、2月22日に調布市文化会館たづくり くすのきホールにて催された。
第7回映画のまち調布賞
作品賞:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
撮影賞:小林拓『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
照明賞:岸本秀一『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
録音賞:竹内久史『ゴジラ-1.0』
美術賞:須坂文昭『福田村事件』
編集賞:宮島竜治『ゴジラ-1.0』
特別賞:株式会社白組
特別賞:柴崎憲治(音響効果技師)
今回の特色は、地元、京王線京王多摩川駅に程近くに所在するスタジオで、VFXが作られた第96回アカデミー賞®視覚効果賞を受賞「ゴジラ-1.0」の株式会社白組に贈られた。近隣には90年ほど前に誕生した角川大映スタジオもあり、調布の街の中でも、映画の歴史の発祥の地でもある。
同作の山崎貴監督からは「『ゴジラ-1.0』はそのVFXのほとんどをこの調布市内にあるスタジオで生み出された作品です。多摩川の通りを歩いていると、たまに本作の第96回アカデミー賞®視覚効果賞の受賞を祝うポスターをお店に貼っていただいているのを見かけます。大変ほっこりしますが、それと同じような感覚を今回の賞でも感じさせていただきました。ありがとうございます。」と受賞コメントが寄せられている。今回、録音賞で竹内久史、編集賞で宮島竜治も受賞している。
白組と共に特別賞を音響効果技師の柴崎憲治が受賞した。日活調布撮影所においてキャリアをスタートし、東洋音響効果グループ、サウンドボックスに参加後、フリーを経て1997年にアルカブースを設立。音響効果技師として永年にわたり膨大な数の作品のポストプロダクションに携わり、「日本で最も多忙な音効マン」と評される。そのリアルかつ分厚く精密なサウンドエフェクトは注目を集め、音響効果という仕事の重要性を映画界に認知させた。主な作品に、『Shall we ダンス?』『リング』『バトルロワイヤル』『ALWAYS 三丁目の夕日』『この世界の片隅に』『流浪の月』『峠 最後のサムライ』『Cloud クラウド』など。
また、上映やトークイベントと主に、資料展示も充実しており、「日活調布撮影所70周年&VFXの作品たち」、「調布と特撮・VFX」、「国立映画アーカイブ「令和6年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業」展示 日本映画史探検!《新東宝/国際放映》と《近代映画協会》の歩み」と題した映画関連の貴重な展示も行われている。
なお、式後に3月7日に初日を迎える映画「35年目のラブレター」の特別上映がなされ、塚本連平監督と森谷雄プロデューサーによるトークも開催された。概要
イベント名:映画のまち調布 シネマフェスティバル2025
開催期間:2025年2月7日〜2025年3月2日
開催会場:調布市文化会館たづくり、イオンシネマ シアタス調布、調布市グリーンホール
主催:(公財)調布市文化・コミュニティ振興財団/調布市
企画・運営:映画のまち調布 シネマフェスティバル2025実行委員会