2026 年のニューイヤー オペレッタ『こうもり』上演@新国立劇場

2025年はヨハン・シュトラウス生誕200年記念のシュトラウス・イヤー!
本場ウィーンでは、誕生日の10月25日を中心に、この年末年始までヨハン・シュトラウス関連のイベントが目白押し。
ウィーンに行けない音楽ファンは、オペラパレスの『こうもり』で、ワルツ王の記念年の祝祭を。
<2023年公演より(撮影:撮影:鹿摩隆司)>

ワルツ王シュトラウスⅡ世が作曲した、オペレッタの最高傑作『こうもり』。次々に繰り出される美しいワルツやポルカ、小粋な風刺やユーモアが観客の心を高揚させ、大団円を迎える頃には劇場じゅうが幸福な空気に包まれる、最高の音楽劇。
『こうもり』には陽気で軽妙な応酬、素朴な愛があふれる一方で、人生の浮き沈みに対するほろ苦い哲学も込められており、また『こうもり』が作曲された当時のウィーンの町はウィーン万国博覧会に沸く一方でコレラの流行と株の大暴落に見舞われていた。舞踏会で人々が唱和する「みな兄弟姉妹となろう」という共生のメッセージは、世界情勢に不安を覚える現在の観客の心にもひと際深く染みるはず。
『こうもり』の演出はウィーン宮廷歌手の名テノール、ハインツ・ツェドニク。
2006年新国立劇場でのこの演出でツェドニクは演出家としてデビュー、この後、翌年のウィーン・フォルクスオーパー『こうもり』などの演出を手がけた。
ウィーン出身で『こうもり』の四役をレパートリーとする名テノール歌手ツェドニクは、ウィーン気質が身体の隅々まで沁み込んでおり、小粋でエレガント、洒脱な仕掛けがたくさん用意された正統的な演出は、『こうもり』の魅力を余すところなく伝える。
ツェドニク演出の『こうもり』は、ウィーン洗練のユーゲント・シュティール調の華やかな舞台美術・衣裳も大きな見どころ。舞台の縁を飾る市松模様、背景を優雅に彩る植物のモチーフなど、舞台はユーゲント・シュティールの感覚で統一してデザインされ、照明の効果で刻々と表情を変える。金色に輝く幾何学模様や、日本の美感を取り入れた優雅で官能的なラインの衣裳など、クリムトを彷彿させるデザインも盛りだくさんで、美術ファンの心も捉える。
銀行家アイゼンシュタイン役は、ベルリン・ドイツ・オペラなどで活躍するテノールのトーマス・ブロンデル。妻ロザリンデには、新国立劇場には『タンホイザー』エリーザベト以来の登場となるサビーナ・ツヴィラク、悪友ファルケにザルツブルク出身でウィーン国立歌劇場、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン・ゼンパーオーパー)でも同役を歌っているラフェル・フィンガーロスが出演。アデーレはハンブルクなどで活躍中のマリア・シャブーニア、フランクはトルコ出身のレヴェント・バキルジ、看守フロッシュには前回も同役に登場し、ウィーン風の酔っ払いポルカを披露したウィーンっ子ホルスト・ラムネクが、好評に応え再登場。
そして宴の主オルロフスキー公爵には、ウィーンで研鑽を積みカウンターテナーとして羽ばたいた藤木大地が登場。新国立劇場オペラ研修所で学んで国際的なキャリアを築き、マルチな才能を生かして我が国クラシック界の中心を走る藤木大地が、オペラパレスのマスター・オブ・セレモニーとなる。アルフレードはユーゲント・ヘルデンテノールとして大活躍中の伊藤達人、指揮はダルムシュタット歌劇場音楽総監督で、ドイツ語圏を中心に活躍する若手指揮者ダニエル・コーエン。

<新国立劇場『こうもり』ダイジェスト映像>

あらすじ
ウィーン郊外。 アイゼンシュタインは顧問弁護士の不手際で禁固刑を受け大憤慨。 しかし、悪友ファルケに誘われ、妻ロザリンデには「刑務所へ出頭する」と偽り、変装してオルロフスキー公爵邸の夜会へ。 そこで仮面の美女を妻と気づかず口説く。 翌朝、刑務所に出頭したアイゼンシュタインは駆けつけた妻の浮気を疑うが、 自分の浮気がばれて逆にやり込められる。 そこへ、この茶番劇の仕掛人ファルケが現れ、 「すべてはシャンパンのいたずら!」と大団円を迎える。

概要
新国立劇場 2025/2026 シーズン オペラ
令和7年度 文化庁 劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業
ヨハン・シュトラウスⅡ世
こうもり
Die Fledermaus / Johann StraussⅡ
全3幕 〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
日程・会場:
2026年1月22日(木)18:00/24日(土)14:00/25日(日)14:00/27日(火)14:00/29日(木)14:00 新国立劇場 オペラパレ
指揮:ダニエル・コーエン
演出: ハインツ・ツェドニク
美術・衣裳:オラフ・ツォンベック
振付:マリア・ルイーズ・ヤスカ
照明:立田雄士
再演演出:上原真希
出演
ガブリエル・フォン・ アイゼンシュタイン:トーマス・ブロンデル
ロザリンデ:サビーナ・ツヴィラク
フランク:レヴェント・バキルジ
オルロフスキー公爵:藤木大地
アルフレード:伊藤達人
ファルケ博士:ラファエル・フィンガーロス
アデーレ:マリア・シャブーニア
ブリント博士:青地英幸
フロッシュ:ホルスト・ラムネク
イーダ:今野沙知恵
合唱指揮:三澤洋史
Chorus Master MISAWA Hirofumi
合唱:新国立劇場合唱団
バレエ:東京シティ・バレエ団
管弦楽:東京交響楽団
芸術監督:大野和士
公演情報WEBサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/diefledermaus/
チケット予約・問合:新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999