音楽座ミュージカル「リトルプリンス」進化し続けるミュージカル

音楽座ミュージカル「リトルプリンス」下半期公演は、2025年10月の名古屋公演にて大盛況のうちに開幕し、11月14日より東京公演。今年は「リトルプリンス」Year!2025年11月29日は広島のはつかいち文化ホール ウッドワンさくらぴあ 大ホールにて上演。
本作品は、世界中で愛され続ける不朽の名作『星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著)を原作とする音楽座ミュージカルの代表作で、著作権存続期間中は世界で唯一ミュージカル化が許可。東京公演(11月)では、今回も鑑賞サポートを実施した。
繰り返し上演され続けている作品だが、一度も”同じ”というのはない。常に変化し続けているのが音楽座ミュージカルだ。この「リトルプリンス」も例外ではない。物語自体は原作があるのでそこは変わらないが、『星の王子さま』は様々なテーマを内包しているので、上演のたびに解釈が深くなっていく。また、振付やフォーメーションなど見た目も進化させる。


星が瞬く空、舞台の上下に都会を象徴するビル群。その中央が物語の舞台。不時着した砂漠で出会う少年、彼が星の王子様。元気闊達、ちょっと不思議、天衣無縫さに観客の表情が緩む。あまりにも有名な原作なので、ストーリー展開は言うまでもない。よく練られた演出、耳に残る楽曲、1幕終盤での王子、花、飛行士の3重唱から、星の住人たちなどが加わるコーラスはいつ聴いても圧巻。

2幕では砂嵐で黄花が飛ばされてしまうところは切ないし、王子とキツネが出会い、心を通わせるシーンはほっこりする。蛇(体がめちゃくちゃ柔らかい!)のセリフがよく聴くと…「?!」なんと京言葉!このはんなりとしたイントネーションが、蛇の雰囲気とマッチ。また、王子の言葉使いにも変化が。これを言葉にすると少々乱暴に思われるが、これをセリフとして聴くと、キャラクターの性格がよく見えてくるから、ここは面白いポイント。何度も上演しているからこその「改訂」、だから「この前観た」という状況でも新鮮な気持ちで観ることができる。


観るたびに新しい発見があるミュージカル「リトルプリンス」、オリジナルだからこそ、毎回違う景色を見せてくれる。KAORIaliveの振り付けがダイナミックで立体的かつ独創的。公演は広島を残すのみ。今年の「リトルプリンス」Year、1年間の試み、音楽座ミュージカルらしい。

物語
ある霧の深い夜、夜間飛行に飛び立った飛行士は、エンジンの故障で砂漠の真ん中に不時着した。その砂漠で、飛行士は星から来たという不思議な少年(星の王子)と出会う。「羊の絵を描いてほしい」としつこく迫る王子に辟易する飛行士だったが、スケッチブックに描いた「象を呑み込んだウワバミ」の絵を言い当てられたことをきっかけに、次第に心を開いていく。飛行士に、自分が住んでいた小さな星や、そこを飛び出すきっかけになった花のことなどを話す王子。飛行士は王子の体験を自分に重ね、深く受け止めていくのだった。しかし、飛行機の修理は思うようにはかどらず、ついに飲み水がなくなってしまう。 渇きにあえぐ飛行士に、王子は井戸を探しにいこうと提案する。

<2026年は「マドモアゼル・モーツァルト」>

概要
原作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』
脚本・演出:相川タロー・ワームホールプロジェクト
音楽:高田 浩・金子浩介・山口琇也
振付:KAORIalive
美術:久保田悠人
衣裳:朝倉 摂・原 まさみ
ヘアメイク:川村和枝
照明:渡邉雄太
音響:小幡 亨
音楽監督:高田 浩
歌唱指導:桑原英明
メインビジュアル:ニコラ・ド・クレシー
ロゴデザイン:高橋信雅
オリジナルプロダクション
総指揮:相川レイ子
脚本・演出:ワームホールプロジェクト
音楽:高田 浩・金子浩介・山口琇也
製作著作:ヒューマンデザイン

公式サイト:https://ongakuza-musical.com