2026年1月に東京・日生劇場、2月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、愛知・御園座にて上演するミュージカル『ISSA in Paris』の製作発表会が行われた。
世界中で「HAIKU」として知られている日本の文学の文化の一つ、「俳句」。
本作は現代と過去を交錯させながら、小林一茶の知られざる10年を大胆に描くオリジナルミュージカル。

本作の原案・作詞・作曲を担当するミュージカル界の巨匠モーリー・イェストンは小林一茶の愛しいわが子を失った一切の深い悲しみ、諦めきれぬ思いを、最小限の言葉で最も深く表現している「露の世は露の世ながらさりながら」 という俳句に感銘を受け、『ISSA in Paris』 の創作を始めた。
製作発表会には幸運な観客も。まず、楽曲披露、生演奏という贅沢三昧(笑)。
トップバターは岡宮来夢、「露の世は」ソロ、歌詞の内容が聴かせる。

そして海宝直人、岡宮来夢、潤花、豊原江理佳の4人の歌唱「俳句」。



続けて「一つの言葉」これは海宝直人のソロ、力いっぱいパワフルに歌い上げる。

それから会見、登壇したのは演出の藤田俊太郎、出演の海宝直人 岡宮来夢 潤花 豊原江理佳。
藤田俊太郎「素晴らしいスタッフ、そして33名のキャストと共に作っております。日々、稽古をこらから重ねていくところです。この作品は一つの言葉から、音楽の喜び、音楽が誕生する喜びを描いた作品です。劇場で、その”祝祭”に立ち会っていただいて尊さを感じていただけたら幸いです」
海宝直人「本当に素晴らしい楽曲がたくさん詰まっています。オリジナルの新作、原作のない作品を作っていくのはすごく大変でもあり、挑戦しがいのある企画だなと。素晴らしいキャスト、スタッフが集まって…皆様に楽しんでいただけるような作品になるように」
岡宮来夢「僕は長野県出身。このタイミングで信濃町が町制施行70周年、そして小林一茶も200回忌、長野県が来年150周年を迎えます。長野出身の僕が信州人の一茶を演じられる、喜びを噛み締めながら、稽古を頑張って千秋楽まで最後までみんなで駆け抜けて参りたいと思います」
潤花「新たなものが生まれながら大きく進んでいるなと思っています。今日ここで皆さんの前で披露させていただいて、また新たなものが生まれるのではないかなと思い、新たな気持ちでお迎えさせていただきました。素敵な皆様と、お客様に披露する日までしっかりと丁寧に稽古していきたいと思います」
豊原江理佳「素晴らしいクリエイティブチームの皆さんとこのミュージカルを創れることにとてもわくわくしています。私自身俳句の世界にまだ飛び込んだことがなくてわからないことがたくさんありますが、美しい音楽と小林一茶の俳句が美しく融合して…稽古場ではたくさん話し合いながら、素敵な作品を創ることができたら」
それから質疑応答、作品そのものについての質問。

藤田俊太郎「皆さん一番気になってるのがあらすじであり、ストーリーだと思うんです。モーリー・イェストンさんは20年以上前から俳句をミュージカルにしたいと…。この作品の原案、起承転結、初めから大きいストーリーはありました。それから皆さんといろんなアイディア本当にあのカンパニーの皆さんのアイディア、いろんなことを話し合いながら、1本の脚本が、この数年かけて、出来上がりました。小林一茶は生涯で20000作以上の俳句を残した俳人。そして現代を生きるクリエイター海人、ISSAという活動名義でシンガーソングライターとして活動している。この話は海人が曲を書けなくなったところから始まります。海人はコンプレックスを持っている。彼の母、小林一茶がパリに行っていたんではないかという研究成果をまとめ上げて、パリまで行ってその志半ばで亡くなってしまうんです。海人はその母を追いかけて、そして残された原稿を読んだところ、そこには今まで自分が知らなかったような、生き生きと躍動する瑞々しい誰も知らなかった新しい一茶像が見えてきた。彼は時空を超えて、貧しい人たち、虐げられたり、弱き者として生きている者たちを目の当たりにしたとき、彼は小林一茶の俳句の本当の意味に気がつきます。それは貧しい者や弱き者の目線で書かれていた本当の生きる理由をそこで知ります。様々な運命的な出会い、新曲は生まれるのか、生まれるとしたらどんな新曲なのか…それを今、立ち上げている、ということです」
また共感するところについて。

海宝直人「海人は、冒頭ではなかなかヒット曲が出せずに悩んでいる。でもしかもそのその根底の中には家族との葛藤であったりとか…向き合うことがなかなかできない中、そこに直面せざるを得ない中で、一茶という存在を通して、少しずつ成長だったり、気づきであったりそういうことを経て、最終的に曲を作れるのか作れないのかなっていう感じになるんですけれども、誰もが共感できるような人間らしさ、誰もが経験したことがあるような…そういうことを経験するしていくキャラクターかなと思っています。僕もそうですが、皆さんもそれぞれの人生を重ねるんじゃないかなと思います」

岡宮来夢「一茶がパリに行ったという設定、ちょっとファンタジー的なものにはなるんですが、自分自身としてはすごく楽しみ。一茶はすごく弱いものや貧しいもの、儚いもの…そういったものに視点を当てながら、海や山、大きいものにもフォーカスを当てながら、それをたった17文字の中に入れ込む俳句で表現する。そこのスケールの大きさ、そういったものに一歩一歩心を動かしている、そんな優しくも情熱的な一茶にできたらいいなと。僕だけの、一茶になるといいなと思いながら、稽古を頑張っていきたいなと思います」

潤花「フランス、パリに住む日系人、本業がダンサーでもありながら振り付けをやっている女性。藤田さんの言葉をお借りするなら、海人に新しい世界を見せる人。そうおっしゃっていて。フランス・パリ、彼女はいろんな痛みだったりつらさだったり差別だったりっていうものを経験してるからこそ、弱く感じている人、声を上げられない人に対しての愛情の注ぎ方が人よりも長けているなと思っておりまして。海人に対しては、”初めまして#でも心の中にズカズカと入っていくんですが、でもそれは彼のお母さんとの出会いであったり、自分自身も小林一茶に対しての思いだったり、抱いているもの、自分が受けているもの、やはりルイズ自身も大きかったんだと思うんです。海人の母への想いや真実に対して、ルイズ自身の思いもすごく強くなってるからこそ、ズカズカ入っていったり、そこの過程が丁寧にいるからこそ、とても人間らしく自分の要素も自分で認めている。強く魅力的な女性だなと感じています」

豊原江理佳「私が演じさせていただく役は舞台女優として活躍する傍ら、革命運動に身を通している女性テレーズ。一番初めにこの台本をいただいて、藤田さんと役についてお話をさせていただいたときに、今までたくさんのフランス革命についての作品が上演されてきたけれども、全くそのその中で見たようなリーダー像ではなく、または全く新しい女性のリーダー像をこの作品の中で作りたいんだよねっていうことをご提案いただきました。とりあえずはフランス革命前のパリ、現在を対照的に描かれていたりしてますので、そういう中でのキャラクター、今までにない女性のリーダーの姿を今から見つけていきたいなと思っています。自分の中にあるそういう性格や、どういうときに自分は声を上げなければいけないと感じるだろうかと、そういうところと照らし合わせながら、テレーズを見つけていきたいなと思っています」
また小林一茶について
藤田俊太郎「小林一茶の俳句はいろんなのがありますが、20000句、全部読んだわけではないですが、繊細で大胆、小さいものへの眼差しと思いながらすごく大胆に世界を…。本当は未来人ではないかというぐらい大胆に世界を捉えているその眼差し。自分がどう演出するかにかかってくると思うんです。ファンタジーという言葉が出ましたが、愛に溢れている世界観はやっぱり作りたい。人間力に溢れるユーモアをやっぱり描きたいと思っておりますので、一茶の大胆さをあらゆるスタッフワークを駆使して、時空を超える瞬間も入った演出、スタッフ総力戦でやっております。繊細な部分に関しては、俳優の皆さんが本当にまだ誰も演じたことがない人物像を想像力で作り出していく今日は4名のみなさんにここに来ていただいてますが。一緒にこの瞬間をね、迎えてますけど、役者たくさんあります。先ほど豊原さんおっしゃいましたけど、お芝居を見ながら、これは新しい女性像、18世紀を生きたあの革命の新しい女性像と同時に、実はいたかもしれない。つまり、本当はいたんだけど歴史上あらわれない女性の姿なんではないか実は、と豊原さんの芝居を見ながら感じているところです。潤花さんの移民の姿、誇り高さ、いろんな方々が声を上げられなかった…声を上げているっていうその姿は本当に大変。この作品の一緒に作っている意義があると思います。誰しもが共感できる音楽を作る、もしくはクリエイトしていくこと。あの現代の場面では本当に海宝にしか演じられない海人像が少しずつ築かれて…それが本当にお客様の共感を、弱さ強さも含めて呼ぶんじゃないかなって非常にわくわくしながら、そういう俳優の姿をちゃんとキャッチしながら稽古を進めていきたいなと思っています」

また、3曲披露した感想。
豊原江理佳「モーリー・イェストンさんの音楽が本当に好きで、ミュージカル『タイタニック』に出演したとき、初めてモーリーさんの音楽に触れましたけど、俳句との親和性、全然違う国の方の音楽ですが、すごく幸せが高いというか。美しさが倍増するというか、どっち音楽と俳句が綺麗に融合してるなっていうのを感じます」
潤花「譜面を頂いた時から本当に素晴らしい楽曲だなと。今日皆さんの前で初めて披露させていただいたんですけれども、俳句を4人で、まだどういう形で進んでいくかっていうのが見えてないなかで、今日こうしてお披露目したときに、もう時空、生きてる時代が違いますけど、同じ時代に生きていたら同じ気持ちで一緒に戦ってたんじゃないかなって思います。すごい素敵な瞬間を感じました。そしてお2人のお歌もお聞きして、めっちゃめちゃ感動…この瞬間を皆さんと共有できてここからまたお稽古が始まって、来年皆様にお見せするときに『こうなってるのかな?』という…身の引き締まる思いでいっぱいです」
岡宮来夢「今日初めて皆様の前で歌わせていただきまして、ピアノだけじゃなくて、フルートとチェロも…僕らも初めて今日聞いて、見えなかった景色が見えてきたりとか、すごく何か心地よく歌わせていただきながら…1曲目に披露させていただいた『露の世は』これは一茶の俳句、『露の世は露の世ながらさりながら』から…すごく瑞々しい、緑の雰囲気、すごく感じまして、なんかいいなって浸るように聞いていたりとかしていますが、この曲のみならず、たくさんの楽曲がありまして、そのどれもがすごく奥行きのあるすごく豊かな楽曲ばかりですので、これがまた新たにいろんな楽器が加わったときにどうなるのかと僕もわくわくしましたし、皆様にもわくわくしながらお待ちいただけたらなと思います」
海宝直人「緊張しました。この製作発表会で歌うシステム、恐ろしいですよ(一同、笑)。責任重大じゃないですか。初めて皆様にお披露目する…でもやっぱりこのお披露目させていただいた曲もそうですけれども、こちらに時を超えていくものシーンももちろんありますし、場所も変わるので、楽曲の幅が広いなっていうのが初めて全曲聞いたときの印象でした。日本的なメロディーラインがあったりとか現在のISSAとして海人が書いた楽曲はモダンなとてもリズム感のある楽曲だったり、聞いたことがないような新しいサウンド、楽曲もありますし、素敵なクラシカルな楽曲も。そういう新しい出会いも、そして皆さんが聞きたいと思うような楽曲もあり、今回は楽しく歌い、聞きながら感じていました」

最後に公演PR。
藤田俊太郎「僭越ながら…。やはり『孤独』ですね。小林一茶が作った俳句『露の世は露の世ながらさりながら』、露、一筋のね儚く、ひとしずくで消えてしまうものかも知れませんが、消えてしまうからこそ、美しく。一茶がなくなった娘を想って作った俳句、繰り返しのリズムの中には悲しむ、慈しむだけではなく、そこから再生しようという尊い瞬間のことを歌ってるんだと思います。本当に水のように儚くお客様と共鳴する時間は消えてしまうかもしれないんですけども、劇場で皆さんと共鳴する美しい時間は心の中に消えないで残り続けるんじゃないかなと思っております。ですから楽しみにしていただいて、皆様劇場でお会いしましょう」

フォトセッションにはアルクマ(長野県PRキャラクター) 一茶さん(信濃町PRキャラクター)が登場。会場を大いに沸かせた。
キャラクター紹介
<海人/ISSA:海宝直人>
正体を隠し、「ISSA」としてYouTubeで活動しているシンガーソングライター。
デビュー曲がバズり一世を風靡するも、スランプに陥り、曲が書けなくなって10年。
誰にも会わず、部屋に閉じこもる日々を送っていた。
そんな彼のもとに届いた母の訃報。そして思い出す、母が好きだった一つの俳句。
「露の世は露の世ながらさりながら」それは、止まっていた海人の時間を再び動かすきっかけとなった。
母が生前追い続けていたのは、俳人・小林一茶がかつてパリに渡っていたという仮説である。
その夢のような物語を信じ、海人は引きこもり生活から一歩踏み出し遠く離れたパリに向かう。
大切な人を失った悲しみ、自分を見失ったままの孤独、そして止まったままの音楽。
その答えは、時空を超えた旅の先に──。
<小林一茶/弥太郎:岡宮来夢>
江戸後期の俳人、小林一茶。本名弥太郎。
名句を残す彼にも、歴史が語らない「空白の10年間」がある。この期間、実は鎖国ニッポンを飛び出し、
ヨーロッパに渡っていたという、海人の母が追い続けた仮説が実際にあったかもしれない。
異国への憧れを抱いた弥太郎は、出島からオランダ船に乗り、波乱の時代の真っただ中、パリにたどり着く。
そこで運命の女性テレーズと出会う。しかし時はフランス革命の足音が近づく1788年。
民衆は、世の無常を嘆き、自由と平等を求め、身分制度の打破を目指し、戦いの準備を進めていた。
その中にテレーズもいた。
一茶には帰国の日が近づいていたが、一緒に革命に参加しテレーズと運命を共にする決意を固める。
その時、時空を超えた奇跡が起きる。
<ルイーズ:潤花>
海人がパリで出会う、フランス人の父と日本人の母をもつ現地ガイドの女性。
彼女の本業は振付家で、日本の俳句や民謡をラップと融合させ、独自のスタイルで踊る革新的なパフォーマンスを展開
している。母の遺した研究を手がかりに小林一茶の謎を追う海人に関心を抱き、彼の探究に協力する。
<テレーズ:豊原江理佳>
弥太郎がパリで出会う女性。
表の顔は舞台女優だが、その裏では、密かに革命運動にも身を投じている。
ある日、占い師に告げられた不思議な予言から、弥太郎との出会いに強い運命を感じる。
動乱と変革が訪れるフランス革命の時代、異国の地で戸惑う弥太郎を支え、心の拠り所となっていく。
概要
原案・作詞・作曲:モーリー・イェストン
脚本・訳詞:高橋知伽江
演出:藤田俊太郎
出演:海宝直人 岡宮来夢 潤花 豊原江理佳
中河内雅貴 染谷洸太(Wキャスト)
彩吹真央 藤咲みどり(Wキャスト)
内田未来 阿部裕 他
日程・会場
東京
2026年1月10日(土)~30日(金) 日生劇場
大阪
2月7日(土)~15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
愛知
2月21日(土)~25日(水) 御園座
公演HP:https://www.umegei.com/issa2026/
企画・制作:梅田芸術劇場


