古舘伊知郎 トーキングブルース「2025」東京公演レポ

満員の東京公演で全国ツアーがスタート!現代が抱える問題を古舘の言葉で語り明かす!

東京公演からスタートした本ツアー。古舘の登場とともに大きな拍手が巻き起こり、そこから古舘の言葉だけで世界をつくる2時間が始まった。
冒頭のテーマは、現代人の”情報依存”。ニュースが毎日のように更新され、昨日の大きな出来事すらあっという間に忘れてしまう現実。

そこに笑いを交えながらも、急所を刺す一言が放たれる。「なんでみんなこんなふうに忘れていく。情報刺激が次々やってくるからだよ。俺らは考えたくなくなっている。突き詰めて考えることがめんどくさくなって、とにかく情報をくれっていう中毒症状になっていく。インパクト、強いインパクトを求めて俺らはさまよう“インパクト難民”になってしまっている」と語る。そこから話は止まらず、SNS・テレビ・政治までもが“刺激の争奪戦”で動いている現実に切り込む。 「あるニュースがあったら、バーッとみんな同じ方向に行く。でもそこに逆のことを言うと目立つ。それをまた逆張りで刺すやつが出てきて、逆張りの逆張りの取り合い。政治家っていうのはインパクトを相手にして刺激のある発言をしようと思っている。今年のインパクト発言ナンバーワンは誰かって言ったら高市総理だよ。インパクトの連打だろ」と話し、会場は笑いながらも頷きが止まらない。そこから話題は“印象操作”へと移り、空気が一変する。 「印象操作ってのはやられることじゃない。よく見られようとして自分を飾ることだ。」と語る。その一例に挙げたのがみのもんたとのエピソードで、会場は笑いの余韻に中に静かな哀悼が滲む空気になった。中盤では“自己肯定感”をテーマに、今年 10 月、プロレス団体・ノアの両国国技館大会で解説を担当し、インターネット上で賛否両論あった話題へ。

その場でマサ北宮から「てめえなんか帰れ!お前なんか新日本プロレスだろ!出ていけ」とマイクで浴びせられたと語り、そしてこう続ける。 「正直な気持ちをいうととても気持ちよかった。でも俺の自己肯定感のピークはそこじゃない。」と話し、試合後に挨拶に行くと、マサ北宮がトーキングブルースの大ファンですと言われたと話すと会場は笑いに包まれた。そして自己肯定感のピークはその日の夜中に訪れたと語り、「マサ北宮から『おい古舘伊知郎!昔の話なんか関係ねえから、今の情報をちゃんと組み入れて新しいプロレスに対応しあがれ馬鹿野郎!』と X に投稿していて、明らかに屈折したラブコールを送られて、そこが自己肯定感のピークだった。」と話すと爆笑と拍手が巻き起こり、会場は一体感に包まれた。


そして公演はそこで熱量を落とさず、勢いのまま社会課題へ切り込む。 「持続可能な再開発じゃない。持続可能な乱開発なんだよ。」象徴として“渋谷”を持ち出す。「毎回地下を歩くと迷う。上に出ても高層ビルが林立して、ずっと工事やってる。実は工事やってなくてプロジェクションマッピングなんじゃないかと思う」と古舘らしい皮肉をいうと、会場は大きな爆笑に包まれた。さらに本質を突く言葉の鋭さが増す。「“問題”って言葉がついたら予算がつく。予算がついたら利権が生まれる。だから“問題”は解決されないほうが持続可能なんだよ」。この言葉に客席には深くうなずく空気が広がる。


そして公演のクライマックスは、ぜひ会場に足を運んで確認していただきたい。古舘が放った最後の一言は、それまでのトークを収束させ、見事に一本の線に繋げる。照明が落ち、暗転。観客は深い余韻に包まれ、この夜の公演は静かに幕を閉じた。
そんな今回の開催決定を記念し、過去公演のトーキングブルースを期間限定で無料配信することが決定しており、第一弾の「言葉」 (2002)は約 13 万回再生され、続く 12 月 8 日(月)20:00 から 1 月 12日(月)23:59 までは「SINCE1977」 (2024)が公式 YouTube で配信される。それから続くツアーに向けて、過去もトーキングブルースを見返すのも良いのかもしれない。ぜひトーキングブルース「2025」をお楽しみに!

公演概要
日程・会場
東京
2025年12月7日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI
福岡
2026年1月18日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
愛知
2026年2月12日(木) 愛知・Zepp Nagoya
大阪
2026年3月7日(土) 大阪・Zepp Namba
神奈川
2026年3月20日(金・祝)神奈川・KT Zepp Yokohama

主催/古舘プロジェクト
制作/テレビ朝日ミュージック
協力/MBSテレビ(大阪公演)

HP:https://talkingblues.jp/

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