映画「白爪草」が2026年1月にミュージカル化。心理劇×サスペンス×音楽が融合した、新感覚の新作2人ミュージカル。音楽はシンガーソングライターのヒグチアイ、脚本:福田響志、演出:元吉庸泰、注目のクリエイター陣が仕掛ける、これまでにない密度で描かれるノンストップミュージカル。
登場人物は、たったふたり。舞台は、花屋の裏の小さな作業部屋。

2020年、コロナ禍に電脳少女シロ主演、世界初の全キャストVTuberで演じられた衝撃のワンシチュエーションサスペンス映画「白爪草」がミュージカルに。双子の姉妹、花屋、母の死、再会、入れ替わり、そして記憶のねじれ。音楽は、唯一無二の世界観を持ち国際的にも活躍するシンガーソングライター・ヒグチアイが初めてミュージカル楽曲を手掛ける。台詞のように歌い、歌のように叫ぶ――“言葉と感情”が響き合う新境地。
双子の姉妹を演じるのは、ディズニー・アニメーション映画『モアナと伝説の海』日本語吹替版モアナ役として知られる屋比久知奈と、ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』など数々の舞台で輝きを放つ唯月ふうか。たった二人だけの世界で、愛と疑念、真実と嘘が入り混じる。息を呑む心理戦と、美しくも狂おしい音楽が交錯する。圧倒的緊張感と感情のうねりが支配する、ノンストップの心理ミュージカル。
4面を客席に囲まれたセンターステージで二人の俳優が創り出す“究極の密室劇”。
公演まで1ヶ月を切り、連日稽古。昨日、14日、稽古場取材会が行われた。



最初に場面披露。稽古場の床に貼られているテープ、実際の舞台のスペース、実はかなり狭い。中央にテーブル。二場の再会のシーン、花屋で働く白椿蒼(屋比久知奈)の元に母親殺しの刑期を終えた白椿紅(唯月ふうか)がやってくる。


二人の想いが音に乗せて語り始める。実際の稽古場、観客席との距離が相当近い、もうすぐそこで繰り広げられる濃密な芝居、二人の存在がリアルな感覚で迫る。

濃密な空間だからこそ体感できる。演奏は生、グランドミュージカルとは真逆の醍醐味。





それから披露されたのは四場、母親殺しの真相がここで明かされる、まさかのどんでん返し、「そうきたか的」な展開。ちなみにどんでん返しは4回あるとのこと。かなりドキドキな展開であることは間違いない。


場面披露の後は簡単な取材会、登壇したのは屋比久知奈、唯月ふうか、演出の元吉庸泰。
屋比久知奈「2人きりの舞台が初めてで。完全なオリジナルで新しいものを作っていく、私の生き方も含め、私の進め方も含めて、どうなるのかなっていう不安が最初あったんですけどでも本当に初めから今、現在進行形でずっと共通しているのが、あまりこうしなければいけないとか、ていうところを、本当にさん初め皆さん、みんなが決めすぎないようにっていうところを意識しているのが、すごくありがたいなと。これまで経験してきた作品だと決まっていることが多い作品も多かったので、そこは何か自分のそのときの気持ちを大事にしていいんだよって言ってもらえる。あまり否定がない。『なんか、いいねそれも』、今新しいものをみんなで作ってるんだなっていうのを感じながら日々稽古できています。楽しさがようやく感じられるようになってきたなって。残り1ヶ月まだまだ追求していきたいなって思っています」

唯月ふうか「作っては壊して作っては壊してを今、繰り返しやらせてもらっていまして、すごく選択肢をたくさん与えてくださる。カンパニーだなと思っております。その中で紅という役と自分の共通点を見つけたりとか、今までの自分の引き出しにない新しい自分に出会ったり。その正直、どうやってその新しい感情と向き合っていったらいいのか戸惑うときもあるんですけども、その戸惑いも皆さんが『大丈夫だよって今のままでいいんだよ』ってすぐ肯定してくれる。そのカンパニーがすごく私は大好きで居心地が良くって。今までの私が経験してきたお稽古よりも、とても濃い時間を過ごしているなと思っております。まだまだわからない部分だったりとか、もっともっと追求していく部分がたくさんあるんですけれども、新作ということで、お客様が見てくださってそれがどういう反応になるのかを今は楽しみに、それをすごくポジティブに捉えて、楽しみにしてもらえたらと思いながら今は稽古を進めている状態です」

元吉庸泰「本当に展開がすごく早くて、平素より私は演出をするときは、お客様が最後の共演者だっていうことを本当に大事にしたいと思って作っております。今回本当にスペシャルなことに4面の客席でお客様の距離が非常に近い。こんなに近いのって経験あります?ないですよね?ないですよね?しかも囲まれてるんです。そういうような環境でやっておりますので見どころは二人の感情の動き、スタッフのテクニカル、音楽、何よりもお客様が体験するこの演劇空間は、すごく体験しどころです。どこから見ても新しい発見があると思いますし、物語の新しい多面性がどんどんどんどん見つかるようなそんな演劇になっております。ご観劇というところよりももっと体験していくみたいな感じで、僕らもお客さんと一緒に世界を作っていけたらなと思いますのでそのあたりを楽しみにしていただけたらと思います」
また、改めて見どころについての質問、
元吉庸泰「見る方向とか、見る角度によって見える人が違うというんでしょうか、近いからこそ、集中するっていうか。自分の目で、そこは近さを楽しんでもらえるのかなっていうのもありますね」

唯月ふうか「ヒグチアイさんの楽曲が本当今回とても素晴らしくて、ヒグチアイさんの美しい世界観とこの作品がとてもマッチしています先ほど何曲か披露させていただいたんですけども、その楽曲だけでも本当に聞きごたえのある曲がこのお芝居とこういうふうに繋がってるんだとか、ここが伏線なってるんだみたいな。奥の深さがどんどんどんどん!2回3回見るたびに深まっていく作品だと思っているので、その楽曲とこの作品の親和性、そういう部分も本当に見どころだなと思うので、ぜひ好きな楽曲とか好きなシーンとかあったら教えてもらいたいなって思ってます」
屋比久知奈「経験したことのない緊張、全面本当に囲まれるっていうとどうなるのかなって。正直まだわからないことがあるんですけど、その緊張感もうまくこの作品の中で使えるものだなっていうのは感じています。お客様のエネルギーもしっかりと感じ、360度囲まれてることを楽しめるといいなと思っております」
360度客席、逃げ場なしの舞台、「(舞台上で)鼻水拭いたり」と唯月ふうかが言えば、屋比久知奈は「唾を飲む隙もない」とコメント。没入感もあるこの舞台、稽古は11月からやっているそう。また、2人が出会ったのは今から6年前だそう。元々の信頼関係がある2人だからこその阿吽の呼吸も感じる。また、出身地、屋比久知奈は沖縄、唯月ふうかは北海道、初めて会った時から性格も似てると思ったそう。

最後に公演PR。
屋比久知奈「私達にとってもですし、演劇としても、すごく新しいことに挑戦をしているなっていうのは感じています。どう受け取っていただけるのかなっていうのはすごくポジティブにドキドキしてるしポジティブに楽しみなので何かたくさんの人に、見ていただいていろんな言葉、いろんな感想もらえたらいいなっていうのが、純粋に今感じていることで、だからこそ私達もその近さとか、見られてる角度、すごく見どころだと思うし、私達も頑張りどころだと思います。いかにリアルに嘘をつかずに舞台上にいられるかそれを見てもらえるか。生身の人間がやる意味を感じてもらえたらすごくいいなと。いい形でこの作品が出来上がっていくのかなと思うので、そこは気合を入れて、残り1ヶ月頑張って稽古していきたいですし、また本番やっていきながらも、よりより良いところに行けるようにキープできるように頑張りたいと思いますのでぜひ何度でも足を運んでいただけたら嬉しいです」
唯月ふうか「新しい試みがたくさん詰まった作品になっております。ぜひいろんな角度から私達の生きざまを見守っていただいて、私達も本当に魂込めて全力でぶつけていきたいと思うので、皆さんも全力で受け取ってもらえたらなと思っております。それぞれの視点で見てもらえるともっと!もっと!楽しんでいただけると思うのでぜひこのお花屋さんで待っております」

また、囲みでは稽古披露は「緊張した」という屋比久知奈、唯月ふうか。屋比久知奈はさらに「その緊張感にいい意味でちょっとずついられそうな時間が増えてきたというんでしょうか、それこそ初めてやったときはもう、10秒ぐらいでもうはけたかったけれども、もうちょっと頑張れそうな。安心感っていうものが、ちょっと出てきたのかなっていうのは今日やって、その緊張感も含めて何か使えるかもしれないっていう希望が見えて…来たかな?」また、唯月ふうかは「久知奈ちゃんのいてくれる存在感とかで、和らいでいくのがすごいすごいわかるので、今日はとにかく飛び込んでみようと思って、皆さんにお披露目しようと思ってその気持ちで意気込んだので、どう見えているかわかりませんが、今はとにかく終わってほっとしてます」
また演出の元吉庸泰は「本番も生演奏です。演劇体験っていうものがどんどんどんどん…映像で見ればいいやとか、例えばAI的な問題も今あってどんどんその体験をしていく目の前のお芝居を見ることが少しずつやっぱり希薄になってきているなと。大きな劇場でミュージカルを見ても、最前列なのにオペラグラスみたいな…『何を見てはるの?』って思うことがあって。もうそんな隙は与えないぞと、ここで生の俳優や生の人間がそれこそさっきのコメントじゃないですけど、そこでお芝居を繰り広げるっていうことを生の人間が見る、感じるっていうことにどれだけの体温が生まれるのかっていうのを本当に大事にする作品をとにかく作りたいっていうのがあって。この2人ならば、絶対それは素晴らしいものになると。僕自身がよく本当に師匠から言われてて、大事にしていることなんですけれども、その目の前の人、生身の人間の人生を変えられるのは演劇だけだと。テレビでは絶対に無理、映像でも無理、本当に目の前に座っている人の人生を変えられるのが、お芝居ならば、その可能性を模索していきたいっていうのが今回の演出全体に込められた意志のようなものであるというのをちょっとお伝えさせていただければです」と語る。
また、屋比久知奈は「無意識に、劇場のときの呼吸というんでしょうか、歌とか。視線とか、体の方とかが、もしかしたらすごく意識的に変えてるわけではないんですけど、違うのかなっていうのがあって。この稽古場で最初来て思ったことは舞台って真っ暗になるから、結構集中しやすいし、割と没頭しやすいんですけど、ここに立ったときに、それがすごく難しい。人が近くにいることで人を感じる。うん。大劇場でも、もちろん人のエネルギーは感じるんですけど…すごく独特の空気感があるけれども溶け込むの方が近いのかな?人を感じるからこそ、私もやってる身として嘘つきたくないし、つけないなと」そして、唯月ふうかは「リアルすぎてはいけない…その塩梅がすごく難しいなって今回思って。出すのは引くよりも簡単とは違うけど…引き取りってマイナスするのってすごい難しいことだなと思って、その塩梅が今も苦戦してる最中なんですけどそのバランスを外に放出するうちに溶け込むというか、そのバランスがやっぱりもっともっと小さい、この空間で考えなくちゃいけないことなんだなっていうのは1つ学びました」とコメント。
また舞台のスペースがかなり狭いことについて元吉庸泰は「何もしなくても埋まる(笑)。その空間に人が1人立っているだけで、何をするんだろう、何をすんでどういう人なんだろうっていうことをすごく感じると思う。幸せな作劇をさせていただいているなと」とコメント。また、大きい劇場と違って”番号”にとらわれないことが上がった。キャスト2人から「余白をたくさん残していただいてるのはすごくやりやすい」とのこと。つまり、毎日違うことになる。また、「近くで見るのはスペシャルなこと」とも。元吉庸泰は「劇場まで演劇を体験しに来ていただければ何かすごくいいものを持って帰っていただけると思います」とコメント。
何はともあれ、1月8日より開幕、川崎のSUPERNOVA KAWASAKIにて。

概要
ミュージカル『白爪草』
会期会場:2026年1月8日(木)~1月22日(木) SUPERNOVA KAWASAKI
主催・企画制作:ホリプロ
キャスト:屋比久知奈、唯月ふうか ※五十音順
※五十音順
声の出演:安蘭けい
スタッフ:
原案:映画「白爪草」
音楽・歌詞:ヒグチアイ
脚本・歌詞原案:福田響志
演出:元吉庸泰
主催・企画制作:ホリプロ

