舞台『末原拓馬奇譚庫-其之弐-』が好評上演中だ。オムニバス形式で次々と物語が繰り出される。
壁面いっぱいに描かれた絵、舞台上の紗幕にカラフルなスポット、劇場の雰囲気を盛り上げる。
出だし、映像演出が幻想的、末原拓馬が登場し、その映像に手を当てると、文字がふわふわと。それから始まる。

最初の物語は老人の話、これを末原拓馬が一人で矢継ぎ早に様々な人物になって演じる。その変わり身の速さで『掴みはOK』と言ったところだろう。
末原拓馬とともに物語を紡いでいくのは猪野広樹、宇野結也、坪倉康晴、そして長年創作を共にしてきた藤井としもり。物語の内容もさることながら、彼らの芝居が「好演」には違いないのだが、「怪演」の方がしっくりくる(笑)。芝居巧者の面々が繰り出す数々の「名場面」、客席から時折笑いも起こる。



奇譚庫と銘打っているだけあって、ユニーク、そしてラストで驚かせる展開。「其之壱」の時もそうだったが、教訓めいたものや勧善懲悪なもの、綺麗事は一切ない。


ファンタジックでありながら、その根底にあるものはリアルで現実的なものを感じる。共感したり、あるいはその結末に「?」を感じるかもしれないが、それはそれで良いという考えの元に創作した物語、独特の世界観、そこが面白い。例えば『悪口屋』、悪を懲らしめるべく毒を吐く、もう毒を以て毒を制するの精神、その毒舌に意外な裏があり…というもの。



物語のタイトルも、一風変わったものばかり。また、小ぶりの劇場なので没入感もあり、客席通路も使う。劇場全体が奇譚庫の世界、ラストは「闘鶏乱舞」、タイトルが、あの人気タイトルを茶化しているのがこの奇譚庫らしい。

出演者全員が舞台上で鶏になって(笑)。闘っているのだが、どこか楽しそうで観てるこちらも口角が上がってしまう。上演時間は1時間50分ほど。笑ったり、ちょっと「え?!」となったり、少しもの悲しかったり、月並みな言い方だが、悲喜交々。いろんな感情と思いが交錯する世界、公演は23日まで。
<末原拓馬×藤井としもり対談>
公演概要
舞台『末原拓馬奇譚庫-其之弐-』
日程・会場:2025年12月17日(水)〜12月23日(火) Hall Mixa(Mixalive TOKYO B2階)
https://hall.mixalivetokyo.com/
脚本・演出:末原拓馬(おぼんろ)
出演:猪野広樹、宇野結也、末原拓馬(おぼんろ)、坪倉康晴、藤井としもり (※五十音順)
特設サイト:https://hall.mixalivetokyo.com/information/takuma_kitanko2/


