香港×日本共同制作 影絵と魅せる三世代の女性の物語 ミュージカル『300歳の誕生日』開幕

香港×日本×新作ミュージカル『300歳の誕生日』、香港の影絵で魅せる 完全オリジナル・ミュージカル初演。本作は「日本劇作家協会プログラム」で、座・高円寺との提携公演。
香港と日本在住の演劇人が集う唯一の共同制作プラットフォーム 香港スケッチから、話題作『香港スケッチ』を生んだ制作チームによる新作オリジナルミュージカル。15名の豊富な経験を有するミュージカル俳優が出演するほか、昨年第32回香港ドラマアワードで最優勝照明デザイン賞を受賞し、また紙造形作家としても活躍するサンフール・ラウ氏が企画の初期から参加して、影絵と共にストーリーテリングを行う。


メインキャラクターのかざみ(水谷圭見)、パンツルック、ストライプのシャツ、仕事に邁進している女性で、アラフォーにして独身、オフィスでの会話、あるあるな内容。21世紀になったとはいえ、女性が活躍するにはかなりの努力が必要。そんなおり、携帯が鳴る。祖母の美園が危篤とのこと。大急ぎで帰る、かざみの母・多恵(池田有希子)が美園の身の回りのものを整理していた、ぶつぶつ言いながら。

この「ぶつぶつ」の内容で、美園と多恵の関係性がわかる。決して仲のいい親子とは言い難い。世代の違いだろうか、美園は多恵に「大学にはいくな」と言っていた様子。昭和、女性が4年制の大学に行くというのはかなりハードルが高かった時代。そして祖母を尋ねた瞬間にかざみは不思議な光景に出会う。

そこは海の底だった。「私、泳げないの!!!!」と叫ぶが、なぜか大丈夫。そこには人魚たちが…。何が起こったのかよくわからない状況下のなか、この海での奇妙な体験が始まる。


海の底でも小競り合いがあり、また、環境問題も。そこに縦糸のように親子の関係が絡んでいく。多恵と美園、多恵とかざみ、母と娘、実はかなり関係性が難しい。時代によって変貌する社会的役割、娘への過剰な期待、「こうすべき」「こうあるべき」という価値観を押し付けがち。美園は多恵に対して時代錯誤な女性の役割を押し付ける。女性に余計な学問はいらない、だから大学へ行くな、と。孫のかざみは海外でも活躍できるキャリア女性。そのはざまにいるのが多恵。そんな母娘、3世代の”旅路”ともいえる海の中での出来事。そしてこの海、まるで社会の縮図のよう。深海に住む住人との諍い、それぞれにテリトリーがある。海は平和なイメージがあるが、ここでは揉めてばかり。

そして、その果てにあるものは…。もちろん、バッドエンドにはならないが、希望の光が見えるエンディング。手を取り合う親子、本当はわかり合いたい。その道のりは決して楽ではないが、大いに共感できるところ。

ミュージカルナンバーは、なんと27曲!!難しい題材だが、ダンスシーンは明るく楽しいし、親子のナンバーは胸に刺さる。通路を使う演出もあり、小ぶりな座・高円寺1、臨場感もたっぷり。また、照明を駆使した舞台、影絵のシルエット、ファンタジックな雰囲気を醸し出す。歌唱力の高いキャスト揃いで、聞き応えあり。休憩なしのおよそ1時間50分。公演は25日まで、当日券もあるので、フラッと行ってみるのも一興。

香港アーチスト サンフール・ラウ略歴
サンフール・ラウ(劉銘鏗) 舞台照明家として20年以上にわたり香港を代表する数々の革新的・実験的な作品に携わる。昨年香港を代表する香港話劇団の『モスクワ・エクスプレス』で第32回香港ドラマ・アワードの最優秀照明デザイン賞を受賞。また紙造形作家として「3Dの立体的なペーパーアート」「光と影」「オリジナルな美意識」を融合させた「ポップアップブックストーリーシアター」という新ジャンルを生み出し、舞台公演を重ねる。作品は香港のみならず、シンガポール、台湾、マカオで上演されている。

香港スケッチとは
香港と日本在住の演劇人が文化の違いを超えて舞台を共同制作する唯一のプラットフォーム。今まで見たことのないミュージカルを、お客様の心に届けたいと願いながら活動中。演劇による国際文化交流を推進するために、2025年は座・高円寺による​子ども向けのワークショップ「香港からこんにちは~影絵をつなごう!~」、俳優とのワークショップ、創作過程をお客様にも体験していただく『300歳の誕生日・新曲お披露目ライブ』等を実施した。

あらすじ
かざみは、海外で働くアラフォーの独身女性。キャリアを重ねながらも、心の奥には日本に残した母・多恵と祖母・美園の長年の確執が影を落としていた。ある日、美園の危篤の知らせを受けて帰国。祖母を訪ねたその瞬間、不思議な光景に包まれる。目を覚ますと、そこは海の底。人魚たちが統べる世界だった。美園の秘密、多恵の葛藤、かざみ自身が探していたもの。三世代の女性たちの人生が一つの真実に導かれてゆく―― 。

概要
ミュージカル『300歳の誕生日』
公演期間:2026年1月22日(木)~25日(日)
会場:座・高円寺1(東京都杉並区高円寺北2-1-2)
出演者
池田有希子
水谷圭見
伽藍琳
橘未佐子
半澤昇
根本玲奈
竹内晶美
脇卓史
大久保胡桃
飯山湧一郎
齋藤梨紗子
鶴田彩
小林花那
宮原遥
明羽美姫

スタッフ
作・音楽・プロデューサー 緒方桃子
演出 坂口阿紀
音楽監督 小澤時史
美術・舞台監督 岩戸堅一(株式会社アートシーン)
​演出助手 鈴木彩子(イッツフォーリーズ)
ヴァイオリン 赤星鮎美
衣裳 藤村陽子
振付 明羽美姫(イッツフォーリーズ)
音響 水木さやか(株式会社アントラクト)
​照明 芥川久美子(有限会社ライトシップ)
​制作・票券:鈴木晴子、片桐愛
協力 株式会社オールスタッフ/ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ、株式会社オフィス・エイツー、劇団スーパー・エキセントリック・シアター、東宝芸能、ナノスクエア、株式会社HIDEKO事務所、有限会社プランニング・クレア APIA40、ほか
提携 NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺、日本劇作家協会プログラム
採択 かるふぁん
主催 香港スケッチ

公式サイト:https://www.hongkongsketches.com/