2月7日(土)より東京・博品館劇場にて開幕するミュージカル『最後の事件』より稽古場レポートが到着。
ミュージカル『最後の事件』は、アーサー・コナン・ドイルが 1893 年に発表した「最後の事件」をモチーフに創作された2人芝居。世界一有名な探偵のひとり「シャーロック・ホームズ」を生み出した作家アーサー・コナン・ドイルの知られざる心の内面と苦悩、そして彼にまつわる隠れた実話をもとに、ミュージカルとして新たに創作された作品。世界的な名探偵を生み出した彼が、なぜ自身のキャラクターと対立することになったのか。成功の裏にあった夢と葛藤の物語が、舞台上で明らかに。
アーサー・コナン・ドイル役、シャーロック・ホームズ役は、それぞれ 3 名の俳優が演じる。アーサー・コナン・ドイル役を加藤和樹、矢崎 広、髙橋 颯、シャーロック・ホームズ役を渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎と、個性豊かな俳優陣が集結。脚本・作詞・演出であるソン・ジェジュンがキャスト個々の強みを活かし、唯一無二の緊張感と濃密な空間を創り出していく。

稽古場レポート
初日まで約 2 週間となった 1 月下旬、全キャスト揃っての稽古が公開された。トリプルキャストによる 9 通りの組み合わせがある本作。今日はどんなアーサー・コナン・ドイルとシャーロック・ホームズとなるのかーー。

いよいよ稽古スタート。まずはドイルがホームズを生み出すシーンから。演じるは、加藤和樹×渡辺大輔。執筆デスクに座ってホームズの人物像を構築していく加藤ドイル。その姿は、今まさに冒険に出ようとしている少年のよう。

一方、ドイルのペンから生まれてきた渡辺ホームズは、どっしりとした落ち着きを見せる。若々しく、そしてワクワクを抑えられない加藤ドイルに対し、名探偵の風格を備え、高慢ともとれる存在感を放つ渡辺ホームズ。何事にも動じない渡辺ホームズに羨望にも似た眼差しを向けながら、その周りを右に左にと動き回る加藤ドイル。

二人が織りなす、このコントラストが面白い。なるほど、加藤×渡辺はこの方向で演じるのかと思いきや、あるやりとりでドイルは創造主としての冷静な一面を見せ、逆にホームズの感情が露わになる瞬間も。ドイルの思考の中に生きるホームズが、もしも現実世界に飛び出してきたらーー。この物語の軸を見事に体現するドイルとホームズがそこにいた。

続いては、ドイルとホームズのタッグによって次々と短編が生み出されていくシーン。演じるは、矢崎 広×太田基裕だ。加藤×渡辺によって披露されたシーンから時間が経過しているとはいえ、矢崎ドイルと太田ホームズを観ていると「親友」という言葉が頭に浮かんでくる。みずみずしさたっぷりの矢崎ドイルに、声で動きで、豊かな表情を見せる太田ホームズ。

このシーンの稽古では、今日一番の笑いが起きた。二人の快進撃を表すがごとく、シャーロック・ホームズシリーズのタイトルが軽快に紹介されていくデュエット曲。この作品タイトルを、矢崎と太田は体で表現したのだ。これがまぁ、ドタバタで面白い。きっと、その場のひらめきで生まれてくるものなのだろう。

矢崎は迷いなく、太田は途中からほうほうの体で。その全てが面白みに溢れており、クリエイティブスタッフ、他キャスト、さらには取材陣からも笑い声が漏れていた。今後、このナンバーの演出がどのように変化していくかはわからないが、期待せずにはいられない。

そんな笑いのシーンから一転、髙橋 颯×糸川耀士郎によって披露されたのは緊迫の場面。この二人、休憩時間中も自席で台本と向き合う姿が強く印象に残っている。ドイルの仕掛けによって追い詰められていくホームズのソロナンバーでは、糸川が稽古後にふともらした「このシーンからはきっつい(笑)」の言葉どおり、ホームズの感情が爆発する。

抑制の中にある昂り。いうなれば、“青い炎”だ。続くデュエットでは、髙橋ドイルと糸川ホームズが激しくぶつかり合う。極限とも思える険しさでホームズと対峙する髙橋ドイルからは、ある種の葛藤も見てとれる。これは意志か、固執か。果たして、二人が迎える結末とはーー。

こうした稽古の間にクリエイティブ卓に視線を向けると、音楽監督の岩崎 廉、歌唱指導の吉田純也の姿が。非常に複雑な構造になっている楽曲の数々(詳しくは、パンフレットに掲載される岩崎のメッセージをご覧いただきたい)。二人の音楽家が今作のミュージカルナンバーをどのように導いていくのか、こちらも期待が高まる。

稽古後、取材陣からはこんな声が聞こえてきた。「どの組み合わせで観たらいいのか……」。筆者も心の中で大きく同意した。ここまで記してきたレポートは、一つの組み合わせによる、限定的なシーンの断片にすぎない。同じ組み合わせーーたとえば加藤ドイルと渡辺ホームズの人物像は、シーンが進むごとに変わっていくだろう。もちろん他の組み合わせもしかり。さらに、組み合わせが変わることでの変化も、同一コンビが公演を重ねることで生じる変化もあり得るだろう。
さまざまな年代・経歴のキャストがそれぞれのアプローチで役を構築し、真っ向からぶつかり合うミュージカル『最後の事件』。ぜひ、全ての組み合わせによる“対決”を目撃いただきたい。
あらすじ
患者が訪れない病院の医師であり、読者に見放された作家、アーサー・コナン・ドイルは人生を変えるため探偵小説を書き始める。その小説の主人公の名はシャーロック・ホームズ。ホームズは完璧なプロファイリング能力を備え、探偵として必要な全てを兼ね備えた最高の探偵である。
作家と小説の中の登場人物でありながら、ドイルとホームズは最高のパートナーとなり、探偵短編小説を完成させていく。小説内の様々な事件を華麗に解決していくホームズに、人々は熱狂していった。ドイルはホームズが主人公の探偵短編小説で成功している中、長年夢に見てきた歴史長編小説を書きたいと願うが、出版社からは「ホームズが登場しない小説は必要ない」という拒絶ばかりを受ける。
ドイルは自身の夢を叶えるため、ホームズとの運命を変える重大な決断を下す。
小説と現実が入り混じる中、果たして二人の結末はどうなるのか—

概要
ミュージカル『最後の事件』
東京
2026年2月7日(土)~3月8日(日) 銀座 博品館劇場
大阪
2026年3月13日(金)~3月16日(月) サンケイホールブリーゼ
スタッフ:
脚本・作詞・演出:ソン・ジェジュン
作曲:ホン・ジョンイ
翻訳・訳詞・演出補:福田響志
音楽監督:岩崎 廉
振付:松田尚子
美術:伊藤雅子
照明:杉田諒士
音響:佐藤日出夫
衣裳:小西 翔
ヘアメイク:水﨑優里
歌唱指導:吉田純也
アクション:冨田昌則
稽古ピアノ:treetop (栗山梢、豊住舞、久保奈津実 )
通訳:シンユ
演出助手:坂本聖子
舞台監督:仲里 良
キャスト:
アーサー・コナン・ドイル:加藤和樹、矢崎 広、髙橋 颯
シャーロック・ホームズ:渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎
髙橋 颯 「髙」ははしごだかになります。
演奏:treetop (栗山梢、豊住舞、久保奈津実)
版権協力:NEO
制作協力:キム・テイ、ASOViVA
企画:シーエイティプロデュース
製作:ぴあ、シーエイティプロデュース
公式 HP: https://finalproblem.jp/
公式 X:@ finalproblemjp
稽古場撮影:西村淳


