1970年代、日本では8mm幅の映画フィルムの小型映画カメラを使って家族のお祝い事などを撮影する、いわゆるホームムービーと流行り、テレビCMでも日常的に宣伝されていたほどだった。ホームムービーは上流家庭では戦前から行われていたが、高度成長期の当時は一般家庭にも広がりブームでもあった。
数年後、家庭にそんな映像メディアが転がっていると、親御さんからすると被写体だった子供たちが中高生になり、映画に興味を持ち始めると、「このカメラで映画を撮ろう!」と思い始めるのが全国で自然発生し、学校の文化祭では、映画研究部やクラスで作った短編映画の上映か多くみられた。スピルバーグやルーカス監督の作品に触発されて特撮映画を作る70年代中頃の高校生たちを描いた映画「Single8」が23年春に劇場公開がされたのも記憶に新しい。
この「Single8」は、映画監督 小中和哉の自伝的作品でもあったが、彼と同様に8mm映画での作品作りで青春時代を過ごした、現在活躍する映画監督たちを中心にインタビューした週刊文春CINEMAオンラインの連載「僕たちは8ミリ映画作家だった」を元に、オンライン版では入り切らなかった話を大幅増補した完全版『僕たちはこうして映画監督になった 8ミリ映画時代を語る』が2月に刊行される。
今日の日本映画を支える監督たちが、自身の「自主映画時代」を振り返る連続インタビュー。日本の映画づくりの一線に立つ映画監督は、8ミリフィルムでの自主映画出身であることが少なくない。彼らはどのようにして映画に出会い、8ミリ映画に触れ、映画監督になったのか。日本映画史の秘話が満載。ほとんどインタビューを受けたことのない庵野秀明監督の貴重な証言も注目。
登場する映画監督は、石井岳龍・金子修介・手塚眞・犬童一心・大林宣彦(夫人と長女のインタビュー)・黒沢清・塚本晋也・河崎実・今関あきよし・庵野秀明・緒方明・安田淳一、そして小中和哉。また特別編として、大学での授業の受講生から多くの映画監督が生まれた蓮實重彦。自主映画は制作しなかったが同時代に映画監督を目指した是枝裕和監督のインタビューも掲載されている。
この書籍の刊行記念トークイベントが開催される。登壇は、石井岳龍、犬童一心、塚本晋也の監督たち。彼らの8mm映画作品も上映される。司会は著者である小中和哉監督。開催は東京•渋谷のユーロライブにて5月1日となる。

イベント概要
会期会場:2026年5月1日(金) 18:30 ユーロライブ(東京•渋谷)
上映作品(デジタル上映)
『高校大パニック』(1977年/20分)監督:石井聰亙(現・石井岳龍)
『気分を変えて?』(1978年/30分)監督・制作・脚本:犬童一心
『電柱小僧の冒険』(1988年/47分)監督・制作・脚本・撮影:塚本晋也
トークイベント出演:石井岳龍 犬童一心 塚本晋也 司会:小中和哉
料金:前売1800円/当日2000円 (税込) Peatix:4月30日16:00まで発売
イベント情報:https://books.bunshun.jp/articles/-/10726

掲載の主な内容
・石井岳龍(『狂い咲きサンダーロード』など)
_自主製作でつくった『高校大パニック』を日活がリメイクすることになり、共同監督として呼ばれたが……
・金子修介(平成ガメラシリーズ、『ゴールド・ボーイ』など)
_大学に入って出会った押井守さんと部室で映画監督の悪口三昧
・犬童一心(『ジョゼと虎と魚たち』など)
_キャンディーズ解散を映画にした理由
・黒沢清(『CURE キュア』『スパイの妻』など)
_立教で受けた蓮實重彦さんの授業の衝撃、日活が納品を拒否した『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の顛末
・塚本晋也(『鉄男』『野火』など)
_30万円で作り始めた『鉄男』秘話
・庵野秀明(『エヴァンゲリオン』シリーズ、『シン・ゴジラ』など)
_『ラブ&ポップ』『式日』で目指したこと、アニメと実写の違いを語る
・安田淳一(『侍タイムスリッパー』など)
_狙って大ヒット『侍タイムスリッパー』の軌跡
・是枝裕和(『万引き家族』『怪物』など)
_自主映画を経ずに映画監督になるまで
著者・小中和哉 メッセージ
「デビュー作にはその監督の特質が色濃く表れている」とよく言われるが、それ以前に作られた自主映画には、その監督の本質がむき出しになっている。また、初めて商業映画を撮った時に直面した葛藤や苦労を聞いていくと、「映画監督とは何か」が見えてくる。
今回登場していただいた監督たちが考える「映画の面白さ」、「映画監督があるべき姿」はみんな違う。共通しているのは、映画に取りつかれ、映画作りに一生を捧げていること。
映画の作り方は自由だし、映画の魅力は様々だ。話を聞いて僕が感じたワクワク感を共有してもらえたら嬉しいです。
プロフィール:小中和哉(こなか・かずや)
1963年三重県生まれ。映画監督。小学生の頃から8ミリカメラを回し始め、数多くの自主映画を撮る。成蹊高校映画研究部、立教大学SPPなどでの自主映画製作を経て、86年『星空のむこうの国』で商業映画デビュー。97年『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』でウルトラシリーズ初監督。以降、監督・特技監督として映画・テレビシリーズ両方でウルトラシリーズに深く関わる。特撮、アニメーション、ドキュメンタリー、TVドラマ、劇映画で幅広く活動中。主な監督作品に、『四月怪談』(1988)、『なぞの転校生』(1998)、『ULTRAMAN』(2004)、『東京少女』(2008)、『赤々煉恋』 (2013)、『Single8』 (2023)、『劇場版シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』(2023)など。
書誌
発 行:文藝春秋
書 名:『僕たちはこうして映画監督になった 8ミリ映画時代を語る』
著 者:小中和哉
判 型:A5判並製カバー装 / 376ページ
発売日:2026年2月6日
定 価:2,970円(税込)


