麻路さき&彩輝なお『エリザベート TAKARAZUKA30thスペシャル・ガラ・コンサート』対談

阪急阪神不動産presents『エリザベート TAKARAZUKA30thスペシャル・ガラ・コンサート』が、2026年2月6日~ 東京・東京国際フォーラム ホールCにて、2月28日~ 大阪・梅田芸術劇場メインホールにて、3月23日~ 愛知・御園座にて上演される。1992年のウィーン初演以来、世界各国で上演が続けられているミュージカル『エリザベート』。死を象徴する黄泉の帝王トートとヨーロッパ宮廷随一の美貌を謳われたオーストリア皇后エリザベートとの愛の物語が、美しい旋律で彩られた楽曲で綴られ、日本では、小池修一郎の潤色・演出で、1996年宝塚歌劇団雪組にて初演。以降、星組(1996年)、宙組(1998年)、花組(2002年)、月組(2005年)、雪組(2007年)、月組(2009年)、花組(2014年)、宙組(2016年)、月組(2018年)と、計10バージョンで上演され、宝塚歌劇を代表する大ヒットミュージカルに。1996年星組公演でトートを演じた麻路さきさんと2005年月組で同役を演じた彩輝なおさんの対談が実現。なお、彩輝なおさんは星組時代に新人公演でトートを演じ、麻路さきさんとは星組バージョンの先輩・後輩となる。

ーー宝塚での『エリザベート』初演から30年。今回のスペシャガラコンサートに出演が決まったときの感想をお願いいたします。

麻路:本当に30年経ったんだな、っていう月日の流れを感じたのと同時に、この節目に参加できる、元気でよかった、出演できる状態でよかったというしみじみとした気持ちと、改めて在団中に『エリザベート』を演じられてよかったなと感じますね。あの時出演していなかったらここに参加はできないじゃないですか。現役時代に、あの作品に携わった、その運命、本当に30年経っても感謝の思いが尽きません。上演当時と今は考え方も変わりましたね。

ーー30年前というと、20世紀、もう前世紀ですよね。

麻路:トップになってすぐだったし、それまでも立役的な役が多かったので私にはトート役は合わないなと思っていました。ところが、自分の好きなように好きな表現で演じることを許してもらえて小池先生に感謝しています。まさかそれから30年も続くとはあの頃は思ってもいなかったから、そんな作品に参加できたことが今となってはちょっとびっくりです。この人数、これだけ出演者も増えてて…。

ーー彩輝さんは、今回ご出演が決まったときの感想はいかがですか。

彩輝:本当に30年も経っているんだなっていう…私が退団公演でさせていただいたときには既にもう10年経っていて。それでやっと全5組での上演を終えて一回りしたタイミングだったんですけど、あれから20年。この作品の大きさと魅力がずっとあったからこの30年続いてきた、そんな作品が宝塚にあったって、すごいことだと思います。

ーー雪組初演のときは、その後30年も続くとは誰も考えてなかったのでは?

麻路:最初に観たときの衝撃を今でも覚えていますね。

ーー彩輝さんが最初にエリザベートに携わったのは、新人公演のトート役でしたね。

彩輝:そうなんです。

ーー当時、観ました。

彩輝:わ!ありがとうございます。新人公演は1日しかないから貴重ですよね。本公演は30日ありますけど。

ーー星組の当時の観客動員数が1996年の大劇場では13万5000人、翌年の東京公演では12万5000人と、かなり多いですよね。当時を振り返っていかがですか。

麻路:星組での上演がまだ決まっていないときに、私のトップお披露目公演『国境のない地図』を銘打った阪急交通社のツアーにファンの方たちとベルリンへ行きました。そのとき、ちょうどウィーンにも寄ることができて、このミュージカルはすでに評判になっていましたから、雪組で上演するらしいっていうタイミングで観ているんですよ。そのとき観たオリジナルではエリザベートが主役、宝塚的に言えば女役が主演の作品と感じましたから、これを宝塚でやるのは大変だなって思うところから始まって。それが宝塚バージョンになったら、オリジナル版よりもトートの歌や場面がたくさん増える演出になっていて、小池先生、やるなーなんて思っていたら、星組で再演と。作品が良いのと演じるのとは違うから、私にしてみると「それはやめて!」でした(笑)。良い作品って余計にプレッシャーじゃないですか。やっぱり初演のイメージを崩せないし、特にこれは本当に歌のミュージカルですからね。もう”歌!歌!歌!”それがなぜ私のところに来るの?って、この作品に自分が関わることに、最初は否定的だったんですよ。でもやり始めたら、トートって本当に面白い。実在した人物ではないのでどうにでも作れるからこそ面白い。とてもやりがいがありましたね。本当にたくさんのお客様に観ていただいた。やっぱり宝塚はどちらかというと、作品よりもカンパニーとして出演者や宝塚としてお客様を呼んでいる印象が強いですが、やっぱり評判の良い作品のときはとりわけお客様の入りも良い。ただ、反対に大勢の人が期待して観ているので、その期待を崩しちゃいけないっていうそのプレッシャーもあります。あの頃は、本当はもっと楽しく公演したいのに、毎日毎日ドキドキっていうのかな、どう評価されるんだろうと思いながら過ごす日々が、正直ちょっとつらかったところもありますね。自分の勝手なプレッシャーですが、絶対比較されることはわかっていたので。だから星組公演の時は違う方向で作ろうって、最初から思って作りました。

ーー彩輝さんは新人公演でトート、しかも新人公演は一回しかないというプレッシャーもあったと思いますが、新人公演でトート演じた時の感想や思い出を。

彩輝:一発で何か結果を出そうとか、気持ちとか、そこまで至っていなかったと思います。もちろんそれで評価されるというのはありますけど、とにかく必死でしたし、宝塚人生必死だったので(笑)。この公演の前にも麻路さんの役を新人公演で演じさせていただいて、そのときは星組に変わってすぐだったんですけど、それも出ずっぱり。セリフの量も、主役の比重があまりにも大きくて。そのときも、麻路さんにくっついて回って、とても丁寧に教えてくださいましたし、寄り添ってもくださいました。そして、この大役を演じさせていただくことになり、もう本当に穴が開くほどマリコさんをずっと見て、一生懸命自分なりに解釈して。特に芝居の部分、私自身もお芝居は大切だと思っていましたし、マリコさんが作り上げるところからお話もしてくださって。のちに、この『エリザベート』が私自身の退団公演にもなりました。いろいろな思いもあり、本公演で再び演じるというプレッシャーもある。これが私にとって男役の集大成でいいのか……。たとえば1本立ての公演ではなくて、いわゆる宝塚の男役を楽しめるような”THE・宝塚男役”みたいな方がいいのかとか、いろいろ考えた時期もありましたけど、最終的には小池先生の説得で(笑)でもそれがやはり運命というんでしょうか、導いていただいたんだと思いますね。こうして長く続く大作に出会えたというのは、本当にすごくそう思います。それを繋いできてくださった方々がいて、もうこれが『ベルばら』に匹敵するほどの宝塚の名作になっていると思います。

ーー『エリザベート』にすごく縁があるわけですね。

彩輝:そうですね(笑)。2005年月組公演では私の相手役が男役ながらエリザベートを演じた瀬奈じゅんさんだったんですけど、瀬奈さんもその後トートを演じることになり本当にいろんなバージョンがあります。……そしてなんと!なんと!なんと!何十年ぶりの月影さんと新人公演以来のタッグを組むという。私にとって初めてトートを演じた新人公演の相手役が月影瞳さんのエリザベートだったので、その緊張感がきっと2人ともどこかにあるはずなので。あのとき2人で頑張ってきた、それが今、どのように感じることができるのか。それがプラスされていたら、すごく味のある、今の年代に合った面白いものが生まれそうみたいなわくわく感はあります。

ーーここまで長く続くのもすごいことですが、宝塚ファンの方は”箱推し”の方も多いですよね。それに加えて”作品推し”もあり、『エリザベート』をこのあと続けていく方々は相当なプレッシャーだったのかなとも……。

彩輝:一つ一つとても魅力的に作ってくださいましたから。この役でも、もちろん新人公演でもさせていただいたけれども、憧れはあるけど、果たしてこれは自分が今、やっていいものなのか?という思いもあったり。どこかせめぎ合いというのでしょうか。それでも絶対に成し遂げる。今の自分の最大限と思ったときに、その魅力がみんなどんどん次に繋がって、広がっていくのだと思います。

麻路:(公演チラシの出演者メンバーの写真を指して)この真ん中ぐらいのメンバーまでは宝塚に入ってからエリザベートに出会って。それ以下の下級生は入団前に宝塚バージョンのエリザベートをもう既に観ているってことですもんね。宝塚にもし入ったら『エリザベート出たいな』って思っていたかも。例えば、私は入団前に『ベルサイユのばら』では一世代目の鳳蘭さんたちがやっていた時代を知っていますし、チケットも取れずとにかくテレビでしか見れないけれど、それでもありがたいと思っていたような頃。そして『風と共に去りぬ』で初めて劇場で観て。のちに自分が入団してその時の、『ベルサイユのばら』も『風と共に去りぬ』のバトラーも演じさせていただく事になるとは。そのときはもうびっくりしました。あの頃自分が「宝塚、入りたい!」と思って観ていた作品だったから、その感動は特別なものだったんですよね。ただただ「やれちゃった嬉しさ」みたいな、衣装を着ただけでキャーみたいな(笑)。まだ責任感もあまりない下級生の頃だったのでそういう感じだったんですよね。

ーー今風の言い方だと「中の人」の気持ちですね。

麻路:『エリザベート』が始まった頃、まだ宝塚に入ってない子たちにとっては、宝塚入ってトートやりたい!みたいな(笑)。でも『エリザベート』が雪組初上演の時に私はすでに星組トップだったので。

彩輝:確かに。その感覚は違うかもしれないですね。

ーータカラヅカ・スカイ・ステージの影響もあるかと。

麻路・彩輝:そうですね。

ーー今回のコンサートはどの回も選べないくらいのバリエーション。組み合わせが懐かしいのもあれば、新しいのもあり。今回のコンサートへのワクワク感もあると思います。

麻路:トートは架空の人物、だから演者によって全員キャラが違う。エリザベートは歴史上の人物とはいえ、それも演じる人によって全然違う。自分自身は星組の白城あやかちゃんのエリザベートでやってきたんですけど、他の人と組むとやっぱり反応が違って面白いな、と思ったんです。演じる人によって『こういう表現をしたいんだ、こういうふうな感情でトートに向かい合ってくるんだ』みたいな違いがあるから、これはスペシャル・ガラ・コンサートの醍醐味ですよね。

ーー組み合わせが斬新だったり。

麻路:誰とどのナンバーを歌うのか、発表されるまでわからない……それによって変わるものもあります。

彩輝:きっと変わりますね。

麻路:何がきてもOKな感じです。

ーー最後に読者へのメッセージを。

麻路:組み合わせがたくさんあって見るのが大変だと思いますが、『エリザベート』30周年、これだけ愛される作品だから、これからも続くでしょうし、『ベルばら』も一昨年で50周年でした。本当にどれを見てもすごく見応えあるから、当時自分が観ていた、その時代の人がまた出てくるってすごく楽しみですよね。最近チケット代が高いから全公演とは言わないですけど(笑)、なるべくたくさん見ていただけたら、それぞれのいろんな面白いところが見られていいかなって思います。お客様あっての舞台なので、ぜひ応援していただきたいです。

彩輝:この作品を愛してくださってありがとうございますと、まずお客様にお伝えしたいです。30年も続いてるので、ぜひ会いに来ていただきたいですし、楽しんでいただきたいです。私達もこの作品に対しては時空を超えて、懐かしさも情熱もあります。お客様もそれだけ同じ時間を過ごしてきていらっしゃると思いますので、楽しみ方、感じ方も違うかもしれませんが、とにかく一緒に体感して、お楽しみいただけるコンサートだと思います。ぜひご覧ください。

ーーありがとうございます。公演を楽しみにしています。

概要
阪急阪神不動産presents
『エリザベート TAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
構成・演出・訳詞:小池修一郎
演出:中村一徳
日程・会場
東京:2026年2月6日(金)~2月20日(金) 東京国際フォーラム ホールC
大阪:2026年2月28日(土)~3月15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
愛知:2026年3月23日(月)~3月25日(水) 御園座
協力:宝塚歌劇団
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
愛知公演 主催:御園座/中日新聞社
公演HP:https://www.umegei.com/elisabethgala30/