舞台「象」稽古快調!る・ひまわりYouTubeにて演出家・小林且弥のドキュメント映像も

舞台宣伝の先駆け「る・ひまわり」。
2012年からは、小劇団公演の戯曲や、若手の劇団主催者や作家、演出家を迎え、プロデュース公演としてリメイク上演してきた。
今回タッグを組むのは、今回舞台初演出となる俳優の小林且弥。4月6日より公演が始まる。

舞台公演とは、その時々の「今」が描かれるべきもので、それこそが「生」で上演することの意味。
今回、初演出となる小林且弥
そして渡された戯曲がこの舞台「象」。廃業を余儀なくされた「サーカス団」の最後の日を描いた会話劇。
この物語の主人公の松山(安西慎太郎)は、幼少期に父親から虐待を受け、その度に「笑う」ことを強要され精神的な支配を受けてきた青年。
サーカス団解散最後の日。檻に取り残された象の「アドナイ」をどうするのか団員たちが多数決を取り始めますが、松山は「アドナイ」をどうするのか、自分で決めることが出来ない。松山が決めることが出来ないならばと、団員たちが決めたアドナイの処遇は?というのがこの物語の流れ。
舞台は小林且弥氏がこだわった360°お客様に囲まれたセンターステージ。
敢えて俳優たちに逃げ場のない空間を用意、臨場感たっぷりな演出となる。
脚本は、脚本家の齋藤が上げてきた5本のプロットの中から、小林自身が選び、何度も意見を交わしながら仕上げた台本。どこからともなくあらわれて更地にテントを張り、そして跡形もなく消え去る“サーカス“という特殊な存在のように、何事かを為すような物語にはせず、ただ観終わった後に、忘れられないどこか鮮明で強い印象を残す、独特な世界観。舞台美術、音楽もシンプル、そこで描かれる”リアル”に集中できるように工夫されている。
稽古も佳境に入った4月某日。寒の戻りで肌寒く感じるが、初日を控え、静かな熱量が充満した稽古場。

スマホの猫の画像を撫で撫で。思わず笑いが。

サーカスの団員たちは、これからのことについて皆、不安を感じている。そんな彼らの側から見れば他愛のない会話。
午後、工藤まり(鎌滝恵利)と志茂悦子(伊藤修子)の会話の稽古、悦子は再就職は決まってない。サーカス団の中では古参。まりは事務員兼アシスタントの若手。凸凹な二人の会話、悦子はまりにスマホである画面を見せる。それは可愛がっているペットの猫の画像。まりが悦子にペットの名前を聞かれるシーン、悦子はすぐに言わず、”クイズ”にする。答えられないまり。猫の名前は「シャロン」、猫撫で声で「かわいいでちゅね~、シャロン」と言い、スマホを撫でる、演出家や他の共演者から笑いが起きる。物語の設定はちょっと重いが、こういった会話は可笑しく、それでいて日常的に”ある、ある”、共感を得やすい会話シーン。

それが終わり、その次のシーン、苫坂光(眞嶋秀斗)と悦子の会話、苫坂はちょっとクールな感じの青年。苫坂はスマホをいじっている。そこへ悦子がくる。二人のやりとり、「潰れて良かったんですよ、ノアは」と苫坂と吐き捨てるように。それでも悦子は話しかける。ここの細かい呼吸の間、細かいやりとり。会話劇ならではの緻密な作業だ。粛々と稽古は進む。「実在感」を求める演出にこだわり、細々と指示をする演出家。

この後は苫坂が激昂する。背中は根本賢役の伊藤裕一。

それから松山悠太(安西慎太郎)登場。「仕事、どうする?」と同僚に聞かれて「団長が仕事探してくれるって」と松山は答える。自分から積極的に動くタイプではない。

自分から何か行動を取るタイプではない松山悠太(安西慎太郎)。

場面の稽古が終わり、パントマイムの稽古。ないのにあるように演じるのだが、かなりの練習と技術が必要になってくる。鏡を見ながらの稽古、松山悠太役の安西慎太郎、手には棒を持っているが、『動かない棒』、その動きを稽古。

「演出家 小林且弥 舞台『象』ドキュメント」

る・ひまわりYouTubeにて4/2(土)~順次公開:
https://www.youtube.com/user/himawariseisakubu

・Chapter1「演出家としての実感」(企画スタート直後に)
・Chapter2「俳優と演出家」(明治座での情報解禁)
・Chapter3「「観客との接地点」(劇場下見、公演準備作業)
・Chapter4「演出のはじまり」(稽古開始)
・Chapter5「舵取り」(稽古中)
・Chapter6「(タイトル未定)」(開幕直前)

キャラクター
○松山悠太・・・・安西慎太郎
幼少期に父親から虐待を受けて育ち、その度に「笑え」と強要され続け精神的に支配されてきた主人公、クラウン見習い。

○苫坂光(26)・・・・・眞嶋秀斗
最年少の実力者、空中アクロバット担当。

○工藤まり・・・・・鎌滝恵利
サーカス団の事務員兼アシスタント

○根本賢・・・・・伊藤裕一
主人公松山(安西)の指導係で上下関係に煩いクラウン

○志茂悦子(47)・・・・伊藤修子
このサーカス団を愛し、このサーカス団の一番の古株、曲芸バイクでサーカス団を支える。
猫(シャロン)を飼っている。

○アンドリュー 本名:安藤友也・・・・木ノ本嶺浩
見栄っ張りでスター気質の綱渡り担当「安藤(アンドリュー)」

○八子辺肇(52)・・・・大堀こういち
このサーカス団の団長八子辺肇。

あらすじ
「びっくりサーカス・ノア」の団員たちが集まっている。
コロナ渦でサーカス団が解散となり、その後処理をしている団員たち。今日が団員が集まる最後の日。団員たちは、これから先をどう暮らしていくかについてそれぞれ語っている。
と、業者に引き取られる予定のサーカス団所有の「象」のアドナイが、まだ敷地内にいることに気が付く。どうやらオーナーがお金を持って逃げ出したらしく、アドナイの引き取り手が無いらしい。
アドナイの処遇をどうするかについて相談を始める団員たちだが…

概要
日程・会場: 2022年4月6日(水)~4月17日(日) KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ
脚本:齋藤孝
演出:小林且弥
出演:安西慎太郎、眞嶋秀斗、鎌滝恵利、伊藤裕一、伊藤修子、木ノ本嶺浩、大堀こういち
主催:る・ひまわり

公式HP https://le-himawari.co.jp/galleries/view/00132/00611