吉田修一原作 舞台『パレード』7月上演

2002年初版の吉田修一による小説『パレード』、第15回山本周五郎賞を受賞した作品で、2010年には映画化、第60回ベルリン国際映画祭で、 国際批評家連盟賞を受賞、そして2012年には初めて舞台化。
今回、 演出に新たな試みをちりばめ、 2022年版の新たな作品として2022年7月に上演。
本作の脚本・演出には、 処女作「居酒屋のゆうれい」で北の戯曲賞受賞以降、 「ここでいいです」で佐藤佐吉演劇賞2013優秀脚本賞、 「日本語私辞典」で若手演出家コンクール最優秀賞など数々の受賞歴がある、 現代演劇を得意とした平塚直隆。

物語は5人の若者たちのルームシェアを舞台に、 彼らの共同生活の経過と、そこから生じたひずみの結末が描かれている。
全5章から成る本作は、 良介、 琴美、 未来、 サトル、 直輝の5人それぞれの視点から、 時系列順に物語が語られる。
さらに今回の舞台では、5人の視点に加え、観客の視点を取り入れ、平塚ならではの演出で新たな舞台『パレード』が誕生。

本作では、 インディペンデント系映画配給会社に勤務する伊原直輝役には、仲田博喜 が、 イラストレーター兼雑貨屋の店長・相馬未来役を矢島舞美が、 自称「夜のお仕事」に勤務しているという18歳の男娼・小窪サトル役に曽田陵介。 さらに、 現役大学生・杉本良介役を眞嶋秀斗が、 無職で若手人気俳優の元恋人からの電話を待ち続ける女性・大垣内琴美役は石田千穂。

今回、 原作者の吉田修一、 脚本・演出の平塚直隆、 出演者の仲田博喜、 矢島舞美、 曽田陵介、 眞嶋秀斗、 石田千穂(STU48)からコメントが到着!

作者:吉田修一
「新たなキャストや脚本の元に生まれる「パレード」、 斬新な舞台になるのではないかと大きな期待を寄せています。
観客のみなさんと一緒に、 新生「パレード」を楽しみたいと思っております。
——吉田修一 」

脚本・演出:平塚直隆
「『パレード』は危険な本ですよ。 読み始めると途中でやめられないようになってますから、 次の日の朝が早い夜に開くのはやめた方がいいです。 一番の危険は、 恋愛も笑いもサスペンスもどんでん返しもあって守備範囲高めなのに、 結局どんな話か説明しようとするとすべてがぼんやりしてしまうところです。 考えれば考えるほど、 なんだかすべてが嘘だったように思えてきます。 そこには何も無かったかもしれないし、 それこそが真実かもしれない。 などと「真実」という言葉を使った途端、 嘘臭くなって自分すら信じられなくなります。 実に危険です。 そんな本を初めましての俳優達と舞台化するんですから今から震えが止まりません。 もちろん武者震いです。 」

伊原直輝 役:仲田博喜
「この度、 舞台『パレード』にて直輝 役を演じさせて頂きます、 仲田博喜です。
10年以上前の作品ですが、 これまでにも小説、 映画と色々な場で注目をされてきた作品の舞台化ということで、
今の現代社会にも響くメッセージが作品の中に、 散りばめられていると思います。
作中に起こる様々な事柄の理由を、 お客様それぞれが補完しながら観て頂けたらと思います。
また、 舞台の結末の選択肢に、 お客様が想像力を駆り立てられるような、 そんな舞台にしていきたいです。
観劇後に是非、 原作と照らし合わせていただき、 自分なりの答えを見つけて頂けたらと思います。
「リアルのない箱の中」に「リアル」を生み出し、 舞台だからこそ出来るそんな空間を、 部屋を、 出演者、 スタッフ全員で作っていきたいと思っています。
ご声援の程、 よろしくお願い致します。 」

相馬未来 役:矢島舞美
「相馬未来役の矢島舞美です。
近年、 インターネットで顔や本名、 素性すら知らない人とでも『友達』や『恋人』になれてしまうのが珍しくない時代になってきました。 少し異常な感じはするものの、 その違和感さえもが当たり前な世の中になっていると思います。 何故、 そんな世の中になったのか、 この作品に触れると見えてくるような気がします。 若者がそれぞれに抱えている自分の中の淀んだ部分、 そこに踏み込まない距離感への居心地の良さと虚しさ。
みんな居ないようで、 みんな居るような。
孤独なのか、 温かいのか、 訳が分からなくなってくる感覚。 繊細で絶妙で際どくて…そんな複雑な人間模様を皆さまにお届けできたら!と思います。 」

小窪サトル 役:曽田陵介
「舞台『パレード』でサトル役を演じさせていただきます。 曽田陵介です。
台本をいただいたときに、 シェアハウスの中で繰り広げられる先が読めないストーリーにワクワクしながら読ませていただきました。
僕の演じるサトルという役はシェアハウスの安定を覆す異分子のような役柄なので今までの自分に無かった感情、 引き出しが見つかるような気がして、 今から演じさせて頂けるのがすごく楽しみです。 そして今回は上演形式がセンターステージという事でまた新しい挑戦的な舞台になると思います。 観に来てくださる方も楽しんでいただけるよう丁寧に作品と向き合っていきますので、 ぜひご来場下さい!」

杉本良介 役:眞嶋秀斗
「杉本良介役を演じさせていただきます、 眞嶋秀斗です。
高校生の時に映画『パレード』を観て、 大人の共同生活の様子にひやひや、 ひりひりしたのを覚えています。
出演が決まって原作を読むと、 その時とはまた違った感じがありました。
良介と同じ大学3年の時、
自分も大教室の後ろで黒板をぼんやり眺めていたなと、 当時の空気感を思い出したりしながら良介が過ごす時間を追いかけました。
それぞれの視点から語られていくこの物語が、 舞台上でどう展開されるのかとても楽しみです。
センターステージでの上演。 どこから観ても『パレード』の世界にのめり込むことができるような、 立体的な作品、 役づくりをしていきたいと思っています。 」

大垣内琴美 役:石田千穂(STU48)
「大垣内琴美役の石田千穂です。
普段はSTU48という瀬戸内を拠点としたアイドルグループで活動しています。
まだ演技経験が少ないなかでの挑戦ということもあり、 楽しみですがとても緊張しています。
私が演じる琴ちゃんは、 同じ広島県出身で台本を読んでいても共感できる場面が多々あり、 お家でのんびりしている時の姿が自分と少し似ているように感じました。
逆に、 琴ちゃんの初対面の人とすぐに打ち解けられる性格が、 人見知りをしてしまう性格の私と違って凄いなと思いました。 リスペクトの気持ちを持って演じていきたいです!
素敵な共演者の方たちから本番までの期間たくさんのことを学び吸収させていただき、 劇場にお越しいただいたお客様に舞台『パレード』を存分に楽しんでいただけるよう一生懸命頑張ります!
どうぞよろしくお願いします。 」

あらすじ
都内の2LDKに暮らす男女4人の若者たち。

「うわべだけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。

それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、 “本当の自分”を装うことで
優しく、 怠惰に続く共同生活。

そこに男娼をするサトルが加わり、 徐々に小さな波紋が広がり始め……。

概要
舞台『パレード』
日程・会場:2022年7月16日(土)~24日(日)新国立劇場 小劇場
原作:吉田修一『パレード』(幻冬舎文庫)
脚本・演出:平塚直隆

出演:
仲田博喜   矢島舞美   曽田陵介  眞嶋秀斗  石田千穂(STU48)

〈語り〉石川 藍

公式サイト: https://PARADE2022.com/
公式Twitter:@parade2022stage( https://twitter.com/parade2022stage