中村勘九郎主演!演劇界を牽引する俳優たちと初タッグ!
宝塚歌劇団で心に残る数々の名作を手掛けてきた上田久美子による書下ろし戯曲
「麒麟がくる」「精霊の守り人」を手掛けた一色隆司のスペクタクルリーディング、五感を揺さぶる朗読劇。
2022年6月8日より東京建物 Brillia HALLにて、スペクタクルリーディング『バイオーム』が上演される。
公演に先立ち、制作発表会見が行われた。登壇したのは、上田久美子(作)、 一色隆司(演出)、出演の中村勘九郎、花總まり、古川雄大、野添義弘、安藤聖、成河、麻実れい。
まずは挨拶。
上田久美子「宝塚以外では初めてです。自由に書いています。今の社会や世界から自分が受け取ったものを、即興的に形にすることに挑戦しました。植物の世界と人間の世界が2つの層になっていて、ちょっと…よく言えば不思議、悪く言えば変な作品になっているかもしれません(笑)。大胆なことに…一色さん、キャストの皆さんのお力で素敵な作品になることを期待しています」とコメント。
一色隆司は「上田先生からとてつもない台本をいただいて、初めは『どうしよう!』と思ったのですが、テーマがしっかりしている、奥深く、スケール感のある作品になるのではと思います」と語る。
中村勘九郎「上田さん、一色さん、ご一緒できるのは幸せ。読ませて頂いて完成形はわかりませんが、稽古していい作品に」
花總まり「ワクワクしていますが、緊張もしています」
古川雄大「スペクタクルリーディング、新しい挑戦。楽しみ。素晴らしい作品、キャスト、刺激になります」
野添義弘「どういう作品になるかわかりませんが、今までに見たことのないもの、皆さんと一緒で幸せ。一緒に体験したい」
安藤聖「皆さんとご一緒できて光栄です」
成河「スペクタクルリーディングってなんだろうと皆さん思ってるんですけど、誰も分からないです(笑)上田先生の書かれた生々しい物語はとても現代的で、登場人物全員が被害者でありますが、加害者でもあります。それをスペクタクルに…」
麻実れい「「どちらも初めていただくお役、頑張りたいと思います。 皆さんとご一緒に楽しく。これだけのメンバーが集まればいろいろなアイディアが出てくる…素敵な作品に仕上げていきたいです」
MCよりスペクタクルリーディングとは?を聞かれて一色隆司は「朗読って本を読み聞かせするイメージだと思うのですが、『バイオーム』の場合は、台本を開くと作品世界がどんどん広がって行く、そこから飛び出していく、気が付いたらその世界に入ってしまっている、そんな台本。そんな世界観がスペクタルかなと。気が付いたら劇場の空気が変わっている、ひとつの原子のような、構成要素のひとつなんだなと思える浮遊感を感じていただけるような。普通の演劇では感じられない、“スペクタクルリーディング”と名付けました」
また上田久美子は「どのカテゴリーにも当てはまらない、人間ドラマやメロドラマとか、そういうものに当てはまらないような。書いているうちにそうなっていって。新しい舞台の形式に合わせて」とコメント。
改めて役どころを聞かれて。
中村勘九郎は「人間と植物がやりたかったなあって思います(笑)。本を読んでいても、とても楽しいですし、そしてルイとケイは8歳の男の子と女の子。四十の私が演じる、不安しかない(笑)。遠い昔に置いてきてしまった純粋な心を思い出しながら演じたい。クロマツはかっこいいですね」と言い、花總まりは「今の段階では、人間と植物の2役、自分の役割をきちんと把握していきたい」
麻実れいは「たまたまですが、家の近くの自然教育園で樹齢200年の松が倒れていて、そのときに書かれてたんですけど、この松ぼっくりから芽が出て、それを今育てている状態…それを読んだときに非常に感動しました…私は自然が大好きで。クロマツと対照的な家政婦、クロマツは穏やかで家政婦は緊張感を感じながら演じていきたい」と。古川雄大は「野口は謎めいた人物と思います。一重の薔薇は“マダム風”の口調というヒントを頂いてまして、がんばって習得したいと思います(笑)」野添義弘は「ルイの祖父は一見冷酷な人物。クロマツの盆栽は、愉快な。人間と植物が対照的です。違いを見せていきたい」とコメント。成河は「僕の役は学という婿養子とセコイアです。学の方は、勘九郎さんとは親子で、花總さんとは夫婦、ハードルが高い役。政治家一族に婿養子としてやってきた。非常に優秀。努力してその家に入ってきた人物、ストレスや葛藤を抱えていて、かなり生々しい。セコイアは西洋種の木です。植物ですが、何を見守ってきたのか、考えるのが楽しみ」と語る。
いずれにしても、かなり斬新、新しい朗読劇になる予感。一人二役、それも「人間」と「植物」だったり。
中村勘九郎は「説教臭くなく、何か持ち帰っていただけると思います」と語る。また、花總まりは「膨大な台詞の量ですが、ものすごいドラマが込められています」麻実れいは「難しいなと思いましたが、非常に噛みごたえがあって、『どうなるんだろう』と期待感が膨らみます。とてもいいホンだと思います」としみじみ。「上田さんの…直球で!途轍もないエネルギーを感じます」と成河。野添義弘は「映像だと…でも舞台だと『どうするの?』と。多分、見ていくと道筋、メッセージが見えてくるのでは?持って帰れるものがすごくあると思います」安藤聖は「絵本を読んでいる感覚がありました。そのうちに『ファンタジーか?悲劇か?いろんな要素があります、楽しく読みました!」と語る。
また、これからの稽古について中村勘九郎は「楽しいですよ(歌舞伎は男性だけなので)」と笑わせつつも、普段の歌舞伎の稽古とは趣を異にする。「歌舞伎の稽古は4、5日。今回は出会いですね。皆さんとじっくりと話し合いながら一つの作品を作っていく楽しみもあります」と語った。
配役
代々続く政治家一族の一人息子ルイとルイの家で働く家政婦ふきの孫娘ケイの2役に、主演の中村勘九郎。
精神的に不安定な部分がある一族の一人娘でありルイの母親の怜子、そしてクロマツの芽の2役を演じるのは花總まり。
家政婦ふきの一人息子で、父を継いで一家の庭師をしている野口とイングリッシュローズの2役を演じるのは古川雄大。
一族の家長で、現在は引退して老獪に学をサポートしている元大臣克人とクロマツの盆栽の2役を演じるのは野添義弘。
ルイの母、怜子の傾倒する花療法士ともえと竜胆の二役を演じるのは安藤聖。
一族の婿養子で、元官僚の学と若い大木セコイアに2役を演じるのは成河。
ルイの一家に古くから仕える家政婦ふきと、樹齢二百年近い大きな黒松の2役を演じるのは麻実れい
あらすじ
その家の男の子はいつも夜の庭に抜け出し、大きなクロマツの下で待っていた。フクロウの声を聴くために…。 男の子ルイの父に家族を顧みるいとまはなく、心のバランスを欠いた母は怪しげなセラピーに逃避して、息子 の問題行動の奥深くにある何かには気づかない。政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父、いわくありげ な老家政婦、その息子の庭師。力を持つことに腐心する人間たちの様々な思惑がうずまく庭で、古いクロマツ の樹下に、ルイは聴く。悩み続ける人間たちの恐ろしい声と、それを見下ろす木々や鳥の、もう一つの話し声 を…。
概要
スペクタクルリーディング『バイオーム』
日時:2022年6月8日(水)~ 12日(日)@東京建物Brillia HALL
作:上田久美子
演出:一色隆司
出演:中村勘九郎/花總まり 古川雄大/野添義弘 安藤聖/成河/麻実れい
公式HP:https://www.umegei.com/biome/
撮影:金丸雅代