源光士郎, 蘭乃はな, 南圭介, 田島芽瑠, サカクラカツミ 出演 武楽「神曲 修羅六道」 コメントも

ミラノ国際演劇祭で観客賞を受賞、日露合作映画で土方歳三役で主演を張るなど、今、注目を 集める世界を股にかけて活躍するサムライ・源光士郎率いる武楽座。
日本の伝統芸能・能楽をベースに活動、昨年11月に観世能楽堂でワールドプレミア、絶賛を博した最新作「神曲 修羅六道」 ダンテ没後700年を記念して製作された本作は、ダンテの神曲をベースに、能楽の要素を取り入れ、ダンテが恋人、ベアトリーチェを求めて修羅道を彷徨い、 日本の能楽の幽玄の世界にたどり着くという物語である。

観世能楽堂での公演に引き続き、宝塚花組トップ娘役・東宝エリザベートのエリザベート役の蘭乃はな、 戦隊シリーズ、映画、テレビに活躍する南圭介、 新たにHKT48の卒業後初の舞台となる田島芽瑠の出演が決定! 重い鎧を身に纏い、男まさりに髪を振り乱して戦う田島芽瑠が 九州の守神として神功皇后を演ずるのはファンならずとも必見! そしてさらに映像とのコラボレーションを先駆け、世界で活躍するサムライ・サカクラカツミの参加も決定。豪華なキャスト達のめくるめく共演、最新型の能楽エンターテインメント、リニューアルされた武楽座 「神曲 修羅六道」!

電子音、モノローグ、イタリア語。ダンテ(南圭介)が一人、手には燭台、蝋燭の灯りを頼りに歩く。彼は最愛の人であるべアトリーチェ(蘭乃はな)を失った。内容はダンテの気持ち、状況。気がつくと暗い森に迷い込んでいた。そこで目にしたもの、不思議な話。森の中で不思議な老人と出会うダンテ。べアトリーチェの幻影を見る。将来を嘱望されていたダンテだったが、道を外れた、それはダンテ自身も気がついている。

出会ったのは、素戔嗚尊(すさのおのみこと)(源光士郎)。ダンテは彼に助けられる。聞けば、ベアトリーチェに頼まれて助けに来たのだと言う。ここで前半の見せ場、大蛇が!!ダンテに襲い掛かる、それを素戔嗚尊は見事に!十拳の剣登場!「古事記」、「日本書紀」に記される日本神話のなかに、繰り返し登場する剣が十拳剣である。

ベアトリーチェに会いたくば死後の世界を通り抜けるように、と素戔嗚尊。ダンテは生きたまま、ベアトリーチェに会うために歩き出す。次に登場したのは神功皇后(田島芽瑠)。日本武尊の第2子・14代仲哀天皇の皇后で、15代応神天皇(おうじんてんのう)の母とされる人物。謎の多い人物ではあるが、聡明で叡智にあふれ、かつ容貌も壮麗と伝えられている。神功皇后だ言われている絵画には、刀剣や弓矢を持った姿がはっきりと描かれている。ここでも鎧を纏い、勇壮な姿で登場。

天女と舞を舞っているところへ月蜘蛛(石山裕雅)が現れて!蜘蛛の糸を(客席に)!重い鎧、これを着用しての演技、田島芽瑠が熱演。そしてダンテに七支刀を授ける。七支刀は奈良県天理市石上神宮の神宝として伝世された全長75cmの鉄剣。身の両面に61文字の金象眼銘が存しているが判読しがたく、文意については異説が多いが、『日本書紀』の神功皇后の条の百済献上の七枝刀に相当するという説もあるが、はっきりしない。これを携えて再びダンテは進む、修羅の門を抜け、次に出会うのは義経(源光士郎)、今、放映されている大河ドラマにも登場するが、それとは趣を異にする。

義経の話を聞いてダンテは感銘を受け、自分との境遇を重ねる。それから静御前(蘭乃はな)にも出会う。義経は修羅道にいるが、静御前は修羅道にはいない。さらに修羅道を進むダンテ、平経正(源光士郎)に出会う、一ノ谷の戦いで討死した人物で琵琶の名手と言われており、平家一門の中でも俊才、歌人として活躍した人物。琵琶に合わせて優雅に舞う平経正。暗闇に紛れて消える平経正、そして琵琶法師が「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし…」、そこで弁慶(石山裕雅)に出会う。彼はいう、あそこに見えるのは平知盛(源光士郎)、清盛の四男、わずか8歳で官位につき従五位下となる。平治の乱で清盛が源義朝を倒して、都の軍事力を掌握。平家一門の人々の官位は急激に上昇、乱直後の永暦元年(1160)2月大国・武蔵守に任じられ、その後、従二位の権(ごん)中納言となり、新中納言と称された。壇ノ浦合戦の平家の陣の大将として、「見るべきものはすべて見た」と言い残して潔く海に身を投じた人物である。弁慶は「修羅道の苦しみや悩みに狂者と成ってしまったのです」とダンテに告げる。ダンテは弁慶、知盛の死に様に涙する。そしていよいよクライマックスへ、さまざまな出会いを体験したダンテ、ベアトリーチェの姿を確認する…だが…このベアトリーチェは…ダンテと舞を舞うが、突然、彼を突き放つベアトリーチェ。「真実を見間違うとは、ダンテよ…」なんと、修羅王の化身!!ダンテの旅の最後の試練。修羅王の配下がダンテに!多勢に無勢、七支刀で果敢に戦うも次第に追い詰められていく。そこへ!神功皇后が!毘沙門天(高橋千)が!舎支(岡部真実)が!ここからがクライマックス、最大の山場。修羅王vs神功皇后たち。だが、修羅王、めっぽう強い。彼は言う「七徳目をまだ会得していない」と。映像、技を繰り広げるとエフェクト!


そして、帝釈天役のサカクラカツミ、修羅王との一騎討ちは、お互いに体を張って!特にサカクラカツミの動きのスピードは特筆すべきものがある。修羅王がダンテに再び襲いかかっていた時!なんとそこへベアトリーチェが!!涙無くしては見られない展開に。ダンテは意を決して修羅王に立ち向かう。


スペクタクルで、しかもクリエイティブな伝統芸能、最新技術、西洋の文化と日本の文化、最後に素戔嗚尊や神功皇后、義経や弁慶、平経正らが集まる。ダンテの旅を通じて見えてくるもの、己を乗り越え、己と対峙し、美しく生きる、「神曲 修羅六道」。また琵琶を弾いていたのは、須田隆久、フラメンコ弾き語りもやるそうだが、琵琶の音色に陰影があり、また、平経正の場面では楽琵琶を使用。琵琶法師でありながら、イタリアの吟遊詩人のようでもある。この琵琶、また聞いてみたいと思う。

『西』も『東』も、『現世』と『あの世』も乗り越え、そこでの出会い、過去を振り返り、未来を想うダンテの姿は現代に生きる者にとっても響くはずだ。

コメント
源光士郎より
能、神楽、武道など伝統文化のてんこ盛り。石見神楽の大蛇もでます。生で観る機会も少ないので、ここは楽しんでいただけると思います。メインキャストも増えています。田島芽瑠さんは神功皇后をどう演じるかがすごい挑戦。演技も能の舞と謡と殺陣、しかも本当の鉄の鎧を着て演じます。そこを練習して、どう表現するかが見どころです。蘭乃はなさんも謡調の台詞回しをしてくださって本来の専門分野ではない古典の表現に挑戦してくださるのが見どころです。サカクラカツミさんは、武道の動きや精神をアートを通して目指している目的が合致している同志です。今回、附け打ち、小鼓や笛など生演奏との共演が見どころです。そしてサカクラさんの帝釈天を追加した意味としては、本来争わなくても良かった争いが永遠に続く不条理を象徴しています。阿修羅は娘を帝釈天に嫁がせたいと思っていたが、急に帝釈天が娘を連れ去り、阿修羅は怒り戦いとなる。連れ去られた娘は帝釈天を好きになり、もたもと望んでいた形になっているのに、順番を間違えたり、相手を許さないことから、戦い続けている。今、世界で問題となっている争いも、本来、戦わなくてもよかったところはあると思います。神話の中には現代に響く、共通点があり、神話を通じて伝えて行きたいです。

南圭介より
登場人物も増え、さらにパワーアップした「神曲 修羅六道」 その中で再び、ダンテとして旅が出来る事、とても感謝しています。 そして、今回にしかできない「美」に至る事。 とても楽しみにしています。

蘭乃はなより
蘭乃はなです。昨年11月の初演を支持してくださいました全てのお客様に感謝申し上げます。魅力ある共演の皆様との絆を感じながら、私自身も更なる高みを目指して参りました。作品のメッセージがお客様に届きますよう祈りを込めて演じます。

田島芽瑠より
刀剣をダンテに授ける重要な神功皇后役をいただきました。
重い鎧を着て舞うシーンや、殺陣もあって、初めての経験で大変ですが、
ワクワクしています。
卒業して初めての舞台、伝統の世界ということもあり精一杯です。がんばります。

演出 奥秀太郎より
もう、見どころは全部ですね。和文化エンターテインメント+先端技術です。特に後半の展開が非常に見どころとなっていて去年より全然パワーアップ、キャストも増えていますし。今、これから“来る”って感じですね、今のうちに観ておいた方がいいです!稽古場の雰囲気も良く、熱のある稽古、モチベーションも高く『面白いものを作るぞ』と。日本も第二次世界大戦後の黒澤明映画がそうだったように自分達が演じる喜び、生き生きしています。サカクラさんはじめ、みなさん頼もしいです。ぜひ、観に来てください。

<演目内容>
ダンテ没後700年(没1321年9月14日)記念作品。 ダンテ「神曲」と能の共通点に着目し、キリスト教的な死後の世界を、武士の死生観に置き換えて、ダンテが活躍したイタリア・ルネサンスと、武楽の活動の「サムライ・ルネサンス」とを重ね合わせ、能楽堂で公演することの意義に重きを置きながら、「サムライ」を軸に、武芸と能などの武士文化を融合した「武楽」ならではの、世界初の視点で発表する演目である。
 「美は魂を目覚めさせ、行動に導く」             ー ダンテ・アリギエーリ
修羅道を旅する詩人ダンテを通して、武楽が主題とする「武の美」の「美しい生き方」や、武士の名誉を重んじる生き方、武士の死生観、武士の美学や行動原理などを共に体験し、目撃者となる。
<ストーリー>
ダンテは、終生理想とした女性ベアトリーチェが若くして他界し、絶望に打ちひしがれ気が付くと暗い森に迷い込んでいた。大蛇に襲われおびえるダンテを素戔嗚尊が救い、武の真髄と和歌の功徳を語り、神船を授け、ベアトリーチェに会いたくば死後の世界を通り抜けるよう命ずる。ダンテは生きたまま彼岸を目指し、神功皇后から宝剣を授かり修羅道に入る。
源義経、平経正、平知盛と相見え、武士の生き方に感じるものがあり変化していく。
そして、ついに修羅道の中心部にて、修羅王と対峙する。

<武道×能 「武楽」(ぶがく) とは>
「武楽」は、「武の美」をテーマに、武士が研鑽した武道と、武士がたしなみとした能などの武士文化を組合せた総合藝術。創始家元 源 光士郎。2020-2021年に誕生15周年を迎える。
GUCCI創業家4代目グッチオ・グッチ氏より「芸術だ」と賞賛される。2019年ミラノ公演・武楽 『信長供養』で参加した国際演劇賞にて、年間を通してオーディエンスが選ぶ最高位賞 “1st Premio Del Pubblico” を受賞。
世界各国で公演するとともに、織田信長公役ソリストとしても活躍の場を広げ、演武・講演・展示や稽古を通して、武道/サムライ/日本伝統文化/現代アートなど多彩な視点で、日本の美と「和を貴ぶ心」を世界に発信している。
武道を含む武士の思想・哲学、教養、装具などの武士文化の芸術的昇華と文化的価値の再評価を目指す【サムライ・ルネサンス】という芸術運動(アート・ムーブメント)でもある。
武楽座は、日本全国の公演、世界各国のジャパンフェスティバル、オープニングセレモニーで演武を奉納・披露。稽古場では、居合や侍の体験が出来る他、江戸時代の甲冑や刀剣、手裏剣、装束、薙刀、扇なども展示。

<前回公演インタビュー記事>

ダンテ没後700年!ルネサンス×武芸×能 武楽『神曲 修羅六道』 演出 奥秀太郎 インタビュー

概要
タイトル:武楽「神曲 修羅六道」
日時:2022年5月1日(日) 開演 18:30
会場:東京芸術劇場プレイハウス

出演:
素戔嗚尊・源義経・平経正・平知盛・修羅王:源 光士郎 (武楽 創始家元)
ダンテ・アリギエーリ:南 圭介
ベアトリーチェ・静御前:蘭乃 はな
帝釈天:サカクラカツミ
神功皇后:田島 芽瑠
武蔵坊弁慶(月蜘蛛):石山 裕雅(無形文化財「武州里神楽」石山社中 十世宗家家元)
琵琶法師:須田 隆久 (絃月流 創始)
毘沙門天・天人:高橋 千 (武楽師)
神姫舎脂・天人:岡部 真実 (武楽師)
大蛇:小加本 行広・石井 海 (石見神楽東京社中)
エアリアル:藤巻 立樹/登川 美樹
小鼓・能管・謡・鳴物:今井 尋也
羅刹:小幡 良祐
夜叉:ジュリアーノ 熊代/櫻原 智美・真上 紗也加・松井 美瑳乃(市瀬組)

スタッフ
製作総指揮・作・脚本:源 光士郎 (武楽 創始家元)
演出:奥 秀太郎
地謡(録音):
シテ方観世流
武田 友志/武田 文志/佐川 勝貴
囃子方(録音):
笛方  一噌流 藤田 貴寛
小鼓方 大倉流 田邊 恭資
大鼓方 葛野流 亀井 洋佑
太鼓方 観世流 小寺 真佐人
音楽:YAMIKURAE (Matteo Polato & Jacopo Bortolussi)
イタリア語朗読:ロレンツォ・バスティーダ(ダンテ協会 詩人)
琵琶語り作曲:須田 隆久(絃月流 創始)
脚本協力:藤 藏
武楽振付:源 光士郎
神楽振付:石山 裕雅(無形文化財「武州里神楽」石山社中 十世宗家家元)
殺陣指導:市瀬 秀和
舞台監督:川口 眞人
音響:田上 篤志(atSound)
照明:大波多 秀起
映像:福地 健太郎(明治大学総合数理学部 先端メディアサイエンス学科教授)
面・装束:武楽座/石山社中
衣装:松竹衣装/武楽座/AMP WORKS/Myokuf
着付け:松竹衣装/武楽座/石山社中/佐藤貴子
ヘアメイク:小林幸子
かつら:細野かつら
題字:富永 泰弘
宣伝美術:Dragon Fly/Makoto Kagawa(STUDIO-N)/辻田 留菜
メインビジュアル写真:坂本 貴光
制作:赤澤 由起子/外山 泰典
広報:千田 浩司/本間 里砂
制作協力:駕川 慎/合同会社花軍
企画協力:小林 弘明/井谷 直/遠藤 胤也/三治 和孝/原 純一/野々宮 宏樹/鈴木 薫子
協力:アルティスタジャポネーゼ
後援:イタリア大使館
主催:TBS
製作:武楽座
武楽-BUGAKU- | Samurai Art

公式WEB: https://bugaku.net
公式Twitter: @KoshiroMinamoto https://twitter.com/KoshiroMinamoto
公式Facebook:https://www.facebook.com/BUGAKU
問合:03-4361-7778 info@bugaku.com

写真:主催提供、編集部 菖蒲剛智