21世紀が到来して20年、文楽の伝統のある日本で生まれたミュージカル。
劇団四季オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』だ。
そして、16年ぶりの四季オリジナル一般ミュージカルとして2020年10月に東京で開幕した本作。
東京初演に続き、福岡、東京再演、京都と上演を重ね、いよいよ5月14日より全国ツアー公演が開幕する。
原作は、英国の作家デボラ・インストールが2015年に出版した同名小説(日本では2016年小学館文庫刊、松原葉子訳)。英国のみならず、アメリカや日本、各国でロングセラーとなり、出版翌年にはベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選出された。特に日本では、続編が本国に先駆けて発表されるほどの人気を博し、2022年8月には映画「TANG タング」の公開も予定。
本作の創作に携わったのは、劇団外のクリエイター。台本・ 作詞は、劇団「てがみ座」を主宰する長田育恵、演出は、「雷ストレンジャーズ」主宰の小山ゆうな、作曲・編曲は河野伸、音楽監督を劇団OBの清水恵介、装置デザインに土岐研一。
タングは、俳優が操るパペットによって表現。パペ ットデザイン・ディレクションは、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』のパペ ット創作でも四季と協業したトビー・オリエ。振付は劇団内の演出部に所属している松島勇気。振付としては、2017年『ソング&ダンス65』(複数名共作)、 2021 年『劇団四季The Bridge~歌の架け橋~』(複数名共作)、『はじまりの樹の神話~こそあどの森の物語~』など。
物語はアンドロイドが人間に代わって家事や仕事を行う近未来が舞台。両親を亡くし無気力に日々を過ごす主人公・ベンのもとに、壊れかけのロボット・タングが現れる。ベンはタングを直すために旅に出かけることに。その過程で生まれた絆とそれぞれの成長が描かれている。
四季初のオリジナルミュージカルは、創立11年目の1964年に発表したファミリーミュージカル『はだかの王様』(作:寺山修司 演出:浅利慶太)。2018年、「新たなオリジナル代表作」を生み出すべく、劇団内に専門のセクションを新設するなど、創作体制を改組。2019年にファミリーミ ュージカル『カモメに飛ぶことを教えた猫』を発表。翌2020年に『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を、2021年にはファミリーミュージカル『はじまりの樹の神話 ~こそあどの森の物語~』を上演、今年4月には、新作の一般オリジナルミュージカル『バケモノの子』が開幕した。
今回の全国ツアー公演で、ぜひ、子供たちにこの作品で、生まれて初めてのミュージカルを体験をおすすめしたい。ご家族一緒に観劇して、家族の大切な思い出として、そして、ミュージカルが大好きになる瞬間をとして_とても良いステージとなるだろう。
5月13日に、14日からの相模女子大学グリーンホールでの公演を前に行われたゲネプロ終了後、取材会が催された。
登壇は、田邊真也(ベン役)、生形理菜(タング役)、渡邊寛中(タング役)。
田邊真也は1996年研究所入所し、『クレイジー・フォー・ユー』ボビー、『コーラ スライン』ザック、『マンマ・ミーア!』サム・カーマイケル、 『キャッツ』ラム・タム・タガー、『アイーダ』ラダメス、『美女と 野獣』ビースト、『恋におちたシェイクスピア』クリストファー・マ ーロウ、『リトルマーメイド』セバスチャンなど、重要な役どころを演じている。
生形理菜は2011年研究所入所し、『間奏曲』ジルベルト、『桃次郎の冒険』アンズ、『ウェストサイド物語』 ロザリア、『赤毛のアン』ジョシー・パイ、『王子とこじき』トム、 『魔法をすてたマジョリン』マジョリンなどを演じている。
渡邊寛中は幼い頃から地元のミュージカル劇団で活動を行い、2015年オーディション合格。『エルコスの祈り』、『リトルマーメイド』フランダー役などで出演。
田邊真也(ベン役)
今の制限のある社会の中で、稽古がはじまった時からマスク着用でした。本来なら、相手の表情を汲み取りながらキャツチボールしながら稽古をするのが普通なのですが、マスクなので表情が読み取りづらい。直前になって公演が中止になる話を耳にしながら、必死になって、身を守りながら、最後の最後のPCR検査でみんなが陰性だとわかり泣き崩れた。舞台に立って演じられる喜び、全てに感謝して。
劇団四季に入って20数年経って、、、 僕らが感じたのは、人のつながり、人が恋しいという気持ちが強く、、、。
今作品は、タイトな劇場で、密な空間でやるもんだと思っていたんですが、
アンサンブルという役が無くて、個々に輝いている。大きな劇場でも満たすことができるんだなと感じて、劇場を味方につけたなと感じました。
この作品から出る大きな愛を感じました。
歌は、いろんなジャンルな歌が入っているなというのが第一印象です。テーマ曲は口ずさめる曲です。
デモテープを聞いた時にいい曲、でも単純ではないんです。一番、二番、言葉のイントネーションを大事にしているので…劇団四季は、音葉の語感が途切れないように、大切にしているので、作曲の河野伸さん、台本作詞の長田育恵さんの言葉を大切にして、楽譜を見ると難しかったんですが、歌って見ると、なるほどな、伝わるな、考えて作られている作品。
ダンスは振付の松島勇気くんの才能が存分に生かされた魅力的なダンス。基礎力ができていないと踊れない、これを踊れるダンサーを揃えるのは大変ですね。
引きこもりから旅をするベン、タングをなおすという理由で旅をする成長する旅、今回の旅、共の一期一会を大事にしながら、全力で作ったものを提供してを拍手をいただく、感謝できる。一期一会を大切にしたいと思います。
劇団四季は生きる喜びを伝えることが大前提、ミュージカルはそれをエンターテイメントとして届けることができます。
生形理菜(タング役)
ポスターのキャッチコピー「きみと、人生再起動。」、が大好きなんです。舞台に立って作品に向き合えることが幸せ、日常の幸せを感じる物語、大変な毎日だけど、ちょっとだけいいことがあるよと伝わる作品に。
タングは足の長さが決まっていて、スピードは出せません。毎回の全国公演は様々な大きさのステージ、だんだん、密度が濃くなって、広い空間に愛が満たされていくのかなと。どんなに広くっても愛に満たされれは足が短くっても(笑)。ちなみに身長は118センチ、体重は非公開です(笑)。ベンとタングが世界中を旅する物語なので、全国ツアーも幸せになれると思いますね。旅する話ですので、例えば秋葉原ならヲタクダンスとか、その場所に合ったダンスですね。映画やテレビでは伝えられない生の空間を共有しているのが舞台の魅力。元気になれるミュージカルです。お値段を裏切らないものを全力でやるので体感して頂けたら!
渡邊寛中(タング役)
僕自身、この作品を通して感じたことですが、緊急事態宣言の時、全ての時間が止まったような感じがしていて、家から出られず、孤独感も感じました。この作品で、自分自身が、一歩を踏み出せ、人との関わりの大切さを感じました。
タングの目を通してみた、純粋さ、ピュアさ。街のキラキラネオン、雨の降るキラキラ、綺麗にピュアに見えていることを発見しました。こんなにいっぱい、幸せがあるんだな、成長させていただいた作品。
今、客席がどう見えているのか? 考えていて。全国のこどもたちが、生まれて初めて体験するミュージカルが『ロボット・イン・ザ・ガーデン』だというのは、一生の思い出にあると思う。ぜひ、ご家族とご一緒に同じ時間を過ごしてほしい。
僕も『ライオンキング』を観てミュージカル俳優になりたいと思って入りました。こんな世界があるんだと衝撃を覚えました。
また、タングの”操作”についての質問が出た。「話し合うのがすごく大事、タングが笑う、怒る、これをどう表現するのかというところから話合いました」と渡邊寛中。生形理菜も「ロボットだけが生きているように表現するにはどちらかが主張するのではなく、二人で。一人で操作するとエゴが出るかも。二人の間に存在するタングは面白いですね」と語った。
公演概要
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』
5月14日より神奈川県相模原市より全国を回る。
劇団四季HP内ツアーMAP:https://www.shiki.jp/applause/robot/special/map/
劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』HP:https://www.shiki.jp/applause/robot/