国立劇場 7月特別企画公演 鉄道開業150年記念『鉄道唱歌 ~明治の音楽と鉄道~』 鉄道開業150年記念として、 「鉄道」と「旅」をテーマに、 日本の伝統音楽と、 埋もれた明治時代の音楽を振り返りながら、 『鉄道唱歌』の誕生の歴史を紐解く特別企画『鉄道唱歌』を上演。
音楽と芸能を通じて「鉄道と旅」の魅力を照らし出す、 歌でたどる鉄道史。国立劇場でも類を見ない画期的な企画公演。
これであなたも立派な“ウタ鉄”に!〽汽笛一声新橋を、 はや我が汽車は離れたり―
古来、 旅は数々の詩人の心を浮き立たせ、 文芸や歌の名作を生み出してきたが、明治5年(1872年)新橋~横浜間で鉄道が開業してから約30年後の明治33年(1900年)に発売された『鉄道唱歌』は、 親しみやすいメロディーと地名を織り込んだ旅情を誘う歌詞が評判となり、 次々と続編が発表され、 大正初期までの20年余りで、 累計2,000万部を売り上げ。
~鉄道前史~ 明治の寄席で、 江戸時代の“旅”を追体験
鉄道がない時代でも(当然ですが)人々は旅をしてきました。
公演前半の舞台は、 明治時代の寄席―
まず古今亭駒治(ここんていこまじ)が新しく鉄道の魅力を描き出す意欲作『鶯の鳴く街』を口演。
さらに、 東海道の宿場が巧みに読み込まれた『仮名手本忠臣蔵「道行旅路の嫁入」』を女流義太夫で、 さらに俗曲『お江戸日本橋』ほか、 洒落のきいた音曲で旅先の趣を堪能。
簡単には旅に出ることができなかった江戸時代の人々が、 いかに芝居や音楽を通して旅を楽しんでいたか。
鉄道がなかった時代の旅の風情を。
「女義太夫 竹本京子並び京枝」『風俗画報』185号
祝・鉄道開業! 明治東京の街角で幻の鉄道音楽を
明治5年(1872年)新橋~横浜間で鉄道が開業。
新しもの好きの明治の人々は、 早速音楽に鉄道を取り入れていく。
舞台は汽車の汽笛が聞こえてくる、 文明開化真っ盛りの東京の街角、明治初頭の流行り唄、 「梅は咲いたか」の歌詞で有名な『しょんがえ節』に鉄道への期待を寄せて歌った作品と、 「都々逸(どどいつ)」に鉄道を絡めた『開化都々逸(かいかどどいつ)』では、 音曲を通して鉄道開業前後の人々の様子が垣間見られる。
明治半ばに外国の影響を受けた「明清楽(みんしんがく)」が大流行し、 そこから派生した法界節(ほうかいぶし)に汽車旅の情景を歌いこんだ作品が『レールエー節』。
一方、 同じ頃、 政治的な持論を主張する壮士たちが、 東海道本線沿線の地名や史跡を読み込んだ壮士演歌『汽車の旅』を歌った。
『レールエー節』と『汽車の旅』は『鉄道唱歌』前史を語る上で非常に重要な作品、 レコード普及以前の作品ゆえ、初演時と思われる音源が残っていないので、今回の公演では、 この二曲を復活上演。
一世紀以上の時を超えて、 幻の鉄道音楽を聴く貴重なチャンス。
錦絵「東京汐留鉄道舘蒸気車待合之図」鉄道博物館蔵
ついに発売『鉄道唱歌』 第一集~第五集より厳選。
明治33年(1900年)に『鉄道唱歌』第一集「東海道編」が発売。
当時、 東海道本線の列車内に楽隊と合唱隊を乗せて、 『鉄道唱歌』を宣伝。
舞台では、 その模様を復元したステージで、 今なお歌い継がれる名曲の魅力に迫る。
今回は第一集「東海道編」、 第二集「山陽・九州編」、 第三集「奥州・磐城編」、 第四集「北陸編」、 第五集「関西・参宮・南海編」の中から、 風光明媚な詩情溢れる箇所を厳選。 バリエーション豊かな『鉄道唱歌』の世界を。
鉄道ファン納得のお二人が公演をナビゲート
本公演をナビゲートするのは、 鉄道旅行好きで、 TV・ラジオなどマスメディアでも大活躍の俳優六角精児(ろっかくせいじ)と、 新作鉄道落語で人気の落語家古今亭駒治です。
どちらも無類の鉄道好きとしてよく知られています。
鉄道ファンも納得のこのお二人が、 明治時代を再現した舞台を縦横に駆け巡ります。
鉄道開業150年の本年、 鉄道界最大のヒットソング『鉄道唱歌』の誕生までをたどる音楽の旅へ、 汽笛一声出発進行です。
六角精児と古今亭駒治 小劇場ロビーで本公演の打合せ
概要
国立劇場 7月特別企画公演
鉄道開業150年記念
鉄道唱歌 ~明治の音楽と鉄道 ~
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2022/4716.html
日程・会場:2022年7月9日(土)午後3時開演 国立劇場 小劇場
落語:鶯の鳴く街 古今亭駒治
義太夫:仮名手本忠臣蔵 道行旅路の嫁入 浄瑠璃=竹本越孝ほか 三味線=鶴澤寛也ほか
俗曲:お江戸日本橋 ほか 唄・三味線=桧山うめ吉
流行り唄:しょんがえ節 開化都々逸 ほか 唄=水野詩都子/唄・三味線=崎秀五郎
法界節:レールエー節 ほか 唄=水野詩都子/唄・三味線=崎秀五郎/提琴=村澤丈児/尺八=長谷川将山
壮士演歌:汽車の旅 ほか 唄ほか=岡大介/口上=紺野将敬
音楽:鉄道唱歌 第1集 東海道編 第2集 山陽・九州編 第3集 奥州・磐城編 第4集 北陸編 第5集 関西・参宮・南海編 合唱=東京混声合唱団/演奏=ちんどん通信社
ゲスト=六角精児(俳優)
ご案内=古今亭駒治(落語家)
令和4年度日本博主催・共催型プロジェクト
主催=独立行政法人日本芸術文化振興会、 文化庁
協力=東日本旅客鉄道株式会社