フランスの劇作家 モリエールの喜劇「スカパンの悪巧み」を、串田和美が独自の解釈と脚色で作り上げた伝説の名作『スカパン』。
1994 年、串田和美が主宰の「オンシアター自由劇場」として当時、芸術監督を務めていたシアターコクーン にて初演。翌95年には本国フランス・アヴィニョン演劇祭で上演。芸術監督(当時※現・総監督)を務めるま つもと市民芸術館では 2004年の柿落とし記念公演、
13年には同館10周年記念プログラムの大きな柱とし て再演。さらに`15年には、シビウ国際演劇祭に正式招聘され、凱旋公演では、松本市内3ヶ所、屋外でも 上演するなど、串田和美が節目毎に上演してきたライフワークとも言える人気作品。原作はモリエールの晩年の傑作『スカパンの悪巧み』。古典フランス喜劇を、現代の我々が実感を持てる作 品に脚色し直し、誕生した『スカパン』。 今回の公演でも、串田自身がスカパンを演じる。
またオクターヴの父親アルガント役に国内外さまざまな演出家の作品で独特な存在感が光る大森博史、そ してレアンドルの父親ジェロント役に、ドラマ、映画、舞台とジャンルを超え、コミカルな役からシリアスな役ま で巧みに演じるオールラウンドプレーヤーにして、実力派俳優として幅広い世代から支持され続ける小日向文世が決定。かつて串田が主宰していた「オンシアター自由劇場」で 鎬 を削りあい、初演時にも出演した3人が再び共演する。
物語
舞台は港町ナポリ、スカパンは、口がうまくて世渡り上手。仲間のシルヴェストルは器用な彼がちょっとうらや ましい。彼らはそれぞれオクターヴとレアンドルの従僕。年頃の二人は揃って恋に夢中だ。イアサントと勝手 に籍まで入れたオクターヴ。何も知らない父親が、突然、結婚話を持ってきた。資産家の父親に逆らったら、 何の取り柄もないオクターヴは間違いなく一文無し。……どうしよう?同じ頃、レアンドルは大好きなゼルビネッ トをジプシーから取り返すため膨大な金が必要に。しかも残された時間はあと 2 時間。 ……どうしよう?たす けて!スカパン!「それじゃあその金はね、あんたらの親父さんからいただくことにしましょう」どうやら秘策が あるらしい。スカパンは、いったいどんな手を使うのか?そして愛し合う恋人たちの恋の行方はいかに?
串田和美 コメント
まだ僕が俳優学校に通っていた 19 歳か 20 歳の頃、フランスのコメディ・フランセー ズによる来日公演『スカパンの悪だくみ』を観た思い出は、今でも記憶に残っています。 それから数十年後、自分なりのスカパン像をつくり上げて演じたのが 1994 年のシアタ ーコクーン。モリエールの芝居には、喜劇と言い切れない不思議な憂鬱感が漂ってい て、そこを面白がることで現代性を発見できたような手応えがありました。その後、フラ ンスのアヴィニョンやルーマニアのシビウ、水戸芸術館など国内外で上演を重ね、芸術 監督を務めるまつもと市民芸術館のオープニングでもこの作品を選びました。
このライフワークとも言える作品に、今回、オンシアター自由劇場で一緒に芝居をつく っていた大森博史さんと小日向文世さんが参加してくれます。お互い「演劇勘、鈍ってな いだろうな?」とピリッとした緊張感もあるでしょうし、同時になんとも言葉に言い表せな い、どこかが通じているような感覚もある。しかも小日向さんの息子である星一くん、僕 の息子十二夜も出演し、二世代が揃うユニークな座組みになりました。この一座で、 FESTA 松本を皮切りに、水戸芸術館、北九州芸術劇場、KAAT 神奈川芸術劇場をまわ ります。
スカパンはいつも一生懸命で、人を面白がらせたり、「しょうがないな」と言いつつ若者 たちのために一肌脱ぐ人間。正義感とも違う「そうせざるを得ない性分」なんでしょう。こ の生き様は何度演じても飽きないですし、また演じられることに、大きな喜びを感じています。
概要
公演名:『スカパン』
原作:モリエール『スカパンの悪巧み』
潤色・演出・美術:串田和美
出演:
串田和美 大森博史 武居卓 小日向星一 串田十二夜 皆本麻帆 湯川ひな 細川貴司 下地 尚子 /小日向文世
日程
10月1日(土)~10日(月祝) まつもと市民芸術館 小ホール 他
10月15日~16日 水戸芸術館
10月23日 北九州芸術劇場 中劇場
10月26日~30日 KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>
企画制作:まつもと市民芸術館
問合:TEL:0263-33-3800
まつもと市民芸術館公式 HP:https://www.mpac.jp/event/37973/