勅使川原三郎新作ドローイングダンス『失われた線を求めて』

勅使川原三郎が内的世界を描き出す新シリーズ、ついに始動!シアターX の空間でこそ実現しうる、新たな表現へ。

これまで、絵画、文学、音楽、映画など、多岐にわたるさまざまなアーティストやその作品を題材に取り上げてきた勅使川原三郎が、その深淵なる目標への決定的な通過点として、「私」と 向き合う新たなシリーズをスタートさせる。
「絵画とダンス」と設定されたこのシリーズは、一個人のアーティストである「私」の内的世界がいかにして世界に向かって広がっていくかということを、勅使川原三郎という特殊な身体性、そのダンスと絵画を通して現前に形にすべく模索していく新たな試み。
シアターX での公演がスタートした2013年以来、勅使川原がテーマに掲げてきたのは「言葉と音楽をテーマにした創作」。ドローイングダンス『失われた線を求めて』は、これらの作品の創作の場となったシアターXでの上演を前提としている。

勅使川原三郎より
シアターX での新シリーズ「絵とダンス」について
私の創造性が今までの多種多様な経験の集約としてあるのが私が描く絵であり、
その中心にあるものはダンス的身体性なのです。
要約すれば私のダンスは絵であり、私の絵はダンスです。
それは世界と関わる私であり、私の中にある世界です。
言い換えれば私が絵の中にある世界観であり、ダンスが表す世界観なのです。
それは私個人に限らず、世界と個人とか結びつき、重なり合う、
人間にとって重要なテーマだと考えます。

『失われた線を求めて』創作ノート
ドローイングは私の日常。動きを生み出し、探し求めるために線を引く。 面を広げ影を彫り光を輝かせる。発生した動きは常に明るさと暗さに 翻弄され溶け合い、私は喜びと謎に包まれる。身体が自然界から生命
エネルギーを得るように、私は紙の平面に生命エネルギーを注ぎ込み 、 動きをどこまでも追いつづけ、いつまでも遊び、我を失い我を探し求める。 ダンスとドローイングの関係は謎のままだが、無時間平面を凝視し、
見知らぬ過去や中断された未来の中に、失われた線を私は求め続ける。

佐東利穂子より
『失われた線を求めて』上演にあたって
勅使川原三郎氏の絵と対面すると、いつも知らない場所へ連れて行かれます。 描かれている紙の奥にはもっと広い世界が待っていて、 その中へと誘いこまれていくかのようです。 幼い頃、チューリップの中を覗き込んだり、石の模様をじっと見ているとその中に吸い込まれて いくように感じた、そんな感覚を思い出します。 暖かく、懐かしく、憧れの、少し怖い、見知らぬところ。 知らないところに迷い込むのは、ダンスをするときにもいつも感じることです。 当たり前の場所が当たり前の場所ではなくなっていき、時間の流れも変わっていきます。 そこにドローイングという未知の要素が加わるとどうなるのか、 そんな世界に足を踏み入れるのを今から楽しみにしています。

 

公演概要
ドローイングダンス「失われた線を求めて」
構成・振付・演出・美術・照明・衣装:勅使川原三郎 アーティスティック・コラボレーター:佐東利穂子
出演:勅使川原三郎 佐東利穂子、
日時・会場:2022年10月7日〜10月9日  東京・両国 シアターXカイ
問合せ:KARAS(カラス) ticket@st-karas.com TEL:03-5858-8189(11時 -18 時)
企画制作:KARAS 主催:有限会社カラス
特別提携:シアターXカイ
助成:文化庁舞台芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)  独立行政法人日本芸術文化振興会