ミュージカル「Shuffle!〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」学校の図書館に必ずある、誰もが知っている『若草物語』と『三銃士』を題材にしているオリジナルミュージカル、「WELCOME KIDS PROJECT」のラインアップ公演という位置付けで幅広い世代で楽しめる、がコンセプト。歌ありダンスありアクションあり、楽しさ満載の作品となっている。この作品でメインキャラクターであるダルタニアン役の小宮璃央さんとエイミー役の西葉瑞希さんの対談が実現した。
――出演が決まったときの感想は?
小宮:最初に呼んでいただいたときは「自分で大丈夫ですか!?」という驚きと不安がありましたね。今まであまり舞台に出ていなかった人間が、ここで急に主演をやらせていただけるということがすごく重いというか、実力不足で迷惑をかけるのではないかと思ったんです。ですが、それでも、と押してくださったので。やるからには全力でいこうと取り組んでいます。頑張ろうという強い気持ちも。
西葉:私は、作品自体に「どんな感じなんだろう、楽しめるのかな」と思った記憶があります。あと、キャスト陣についても「小宮璃央くんの舞台そういえば観たことないな」と思ったんですね。とはいえ、映像作品の撮影の期間よりも舞台の稽古期間が長いから一緒にいる時間も長いし。どういう感じになっていくんだろうと楽しみに思った記憶があります。
――この作品は2つの作品の主人公が“入れ替わる”というのが面白さのポイントだと思います。その“入れ替わる”設定については?
小宮:正直「なんだこりゃ!」って思いました(笑)。台本を読んでいると「あれ、このセリフ俺が言うんだよね」と混乱することもよくありました。それこそ、何度も読んではどんどん時間をかけて身体になじませていきましたね。
西葉:1つの作品だけど、エイミーとダルタニアンどちらの役もできるというので「やったぁ!」と思っていました。ふだん、舞台でそんなことってなかなかないですし。兼役というケースもありますが、ここまでガッツリ入れ替わってしっかり演じられることってないですし、お話も「やってそうでやってない」。すごくわくわくしています。
――“入れ替わり”を演じるときの難しさは感じている?
小宮:やはり“女性らしさ”ですかね。昨日、稽古中に指摘してもらったんですけど。立ち姿とかガニ股になってしまうことが多いんですよ。でもエイミー役の(西葉)瑞希から「末っ子の女の子だから、もっと脚閉じたほうがいいよ」と所作や見え方なども教わりました。そこから変えていくことが地道でもあるし、難しかったですよね。
西葉:私も、立ち姿や仕草かな。あとは、喋り方ひとつとっても、全然違うんだなって感じて。しっかり喋りすぎてもいけなかったりとか。あとは殺陣の相手が男性になることが多くて。力の差を感じてしまうんです。単純に筋肉が足りていないから(笑)。剣を振るスピードとか全然ついていけない。ダルタニアンってやっぱり戦う人なわけだし、男の人と並んでも遜色ない動きをしないといけないから、毎日身体を痛くして頑張っています。
――稽古については?
小宮:はじまってから1カ月くらい。七分目程度は終わっていると思います。
西葉:稽古場に、カウントダウンのための日めくりがあるんですよ。「劇場入りまであと○日」みたいな(笑)。え!もうこれしかないの!って焦ったよね(笑)。
小宮:(笑)。三銃士の方々の中では、一番年下なんです。なので、皆さん本当にかわいがってくださって。発声から歌い方まで、どれをとっても手取り足取り教えていただいています。本当に恵まれた環境にいて。稽古が終わったあと、それぞれ練習していても、いつの間にかみんなで一緒に練習しているということも多々ありますし。結構、休憩中にもお話しているんですよ。
西葉:こちら若草物語サイドはですね、それぞれ普段のキャラクターと役がすごく合っていて。メグ役の(七木)奏音ちゃんはすごく落ち着いていて助けてくれることも多いし、ジョー役の(生田)輝ちゃんはめちゃくちゃボーイッシュ。ベス役の(髙橋)果鈴ちゃんは控えめな子ではあるんですけど見違えるように歌もダンスもお芝居もしっかり自分を出してきてくれる子です。正直、私がいちばん四姉妹の中で“わがまま”なんです(笑)。稽古場でハッと思いついたことをアドリブしてしまってたり。そういう部分ではみんな役とぴったりですね。三銃士のほうもみなさんそうですね。全然違和感がない。
小宮:みんなすごく役とマッチしているよね。
西葉:あと、超先輩の平川和宏さんと北村岳子さん。演じられているのを見るとすごくかっこよくて。勉強になります。
小宮:うんうん。平川さんはお芝居や声もすごいし、北村さんは歌がすごくうまくて感動しました。
西葉:もう、お二人とも声の厚みが違うんですよ。特に岳子さんの歌声は深みがあって、岳子さんが10だとすると私なんか0.1くらいだなって思います(笑)。かつお二人ともとても優しいという。我々に寄り添ってくださるし、勉強になることしかないです。
――そういえば、公演の日程の中に小学校貸し切りの日がありますね。客席に子どもしかいないというのははじめてでは?
西葉:子どもだけっていうのは、小宮くんははじめてではないんじゃない?
小宮:シアターGロッソで、ヒーローとしてショーをやっていたときはたくさんの子どもたちがいましたけれど。やっぱり泣いちゃう子とかいるんですよね。音とか演出で。でも僕としては、貸し切り公演を観た経験はありまして…小学校4年生くらいだったんですが、少しずつ自立していって周りのことも見られる年齢になってから。とはいえ小学生にとっては、90分じっとしているのってなかなかできないですよね。集中力も切れちゃうし。そこをどうやって飽きさせないか、みんなの心に残るかどうかは僕らの力にかかっているのかも。僕も小学4年のころに観た作品は今でも思い出せるし、楽しかったので。そういうことをやっていらっしゃった方がずっと前にもいらっしゃったということ、またそれと同じことを僕らができるということに、表現する立場になれたんだなと感慨深いものがあります。
西葉:夏に、WELCOME KIDS PROJECTの別の作品に出演していたんですが、普段舞台に立っていて、あんなに子どもだらけの客席ってなかなかないですよ。いちおう、あんまり喋っちゃいけませんよって言われているんですが「あー!これ知ってる!」とかついつい言葉が出ちゃう子とかいて(笑)。でも、それって私としては心地よかったりします。私たちがしていることがちゃんと伝わっているという証拠ですから。ただ、大人が一生懸命考えた渾身のボケが一切通じないときは、ちょっと恥ずかしいというか穴があったら入りたいというか(笑)。大人と子どもではやはり、笑いのポイントが違ったりするので蓋を開けてみないとわからないし、こちら側もスベろうが、勇気を持って伝えていくことが必要なのかなって(笑)。とはいえ、この作品は“子どもも観られる”作品ですが“純然たる子供向け”としては作られていないんです。
――いわゆる“お子様ランチ”的な作品ではないと。
西葉:ですね。子どもにもわかる内容ではあるんですけど。とにかく観終わったあと「あー、おもしろかった!」って帰り道に言ってもらえればうれしいかな。
――では、最後にメッセージを。
小宮:みなさん一度は触れたことがあるであろう『若草物語』と『三銃士』という童話が元になっていますが。それが混ざってしまう、物語の垣根を超えてしまうなんて誰も考えたことのないストーリーです。実際に演じている僕たちも混乱するときもあるんですが(笑)。本当にすごくわくわくできる作品ですし、殺陣、お芝居、歌、どれもがカッコいいですし、みんなが力を合わせてすごくわくわくするようなストーリーを90分に凝縮して上演するので! ぜひ観に来てください!
西葉:とにかく私たち、特に『若草物語』と『三銃士』の8人は一切、休憩をしていないんです。始まったら終わるまでずっと出ているというくらい、目まぐるしい作品。すなわちどこを観ても楽しい作品になっていますので「眠いなぁ」なんて時間はございません(笑)。普遍的なテーマを伝える作品ですけど、私たちが必死に汗かいて走り回って、悩んで葛藤して勇気を出して、という姿を生で観て、エネルギーを感じてもらえればいいなと。最近ココロが疲れている人にもピッタリの作品ですし、ちょっとでも「いい日だったな」と思っていただけるはずです。
――ありがとうございました。公演を楽しみにしています。
「WELCOME KIDS PROJECT」とは
たくさんの子ども達に演劇に触れて一生の思い出となるようなモノに出会ってもらいたい! という思いのもと、次世代の演劇界を盛り上げるべくネルケプランニングが発足した新プロジェクト。
本公演はお子様のご観劇も大歓迎です。 ダンスあり、歌あり、アクションあり。 世代を問わず楽しめるハイクオリティなミュージカル作品をお届けします。
作品紹介
とある小さな図書館。雨。雷。 ふとしたハプニングで、名作童話の紙芝居がバラバラに! 『三銃士』と『若草物語』、二つの物語がまぜこぜになって、 登場人物たちは、物語の垣根を越えて入れ替わってしまった―!!
最後の1枚まで
最後の一言まで
物語を紡いでいく
物語を全うする それが紙芝居の登場人物たちの… 使命!
Story must go on! さて、物語は…どうなってしまうのだろう?
誰もが触れたことのある名作を題材とした、 華やかでにぎやかで、ちょっとダークな?!オリジナルミュージカル。
概要
ミュージカル「Shuffle!〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」
日程・劇場:2022年11月11日(金)〜11月20日(日) 天王洲 銀河劇場
脚本・作詞:浅井さやか(One on One)
演出:児玉明子
キャスト
ダルタニアン 小宮璃央
エイミー 西葉瑞希
メグ 七木奏音
ジョー 生田 輝
ベス 髙橋果鈴
アトス 泰江和明
ポルトス 岩城直弥
アラミス 坪倉康晴
ミレディ 石井美絵子
ロシュフォール 秋沢健太朗
リシュリュー枢機卿 郷本直也
マーチ夫人/司書1 北村岳子
トレヴィル隊長/司書2 平川和宏
五十嵐 遼 金澤慎治 亀井照三 木村和磨 黒条奏斗 古賀雄大 茶谷優太 望月 凜
主催 ネルケプランニング・S-SIZE
公演問合:https://www.nelke.co.jp/about/contact1.php
公式サイト:https://www.nelke.co.jp/stage/shuffle2022/
©ネルケプランニング/S-SIZE
取材:高浩美
構成協力:佐藤たかし
稽古場写真撮影:髙橋利行