尾上菊之助, 中村獅童, 尾上松也 etc. 出演『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』製作発表会レポ

日本の誇る伝統芸能 歌舞伎×超巨大スクリーンによる圧巻の映像、前代未聞の“大長編 歌舞伎”を世界初上演。脚本、八津弘幸、演出は金谷かほりと企画する尾上菊之助。IHIステージアラウンド東京にて来年春にいよいよ上演。

2001年に発売された『ファイナルファンタジーX』。 21年の時を経た今日 “大長編 歌舞伎”で舞台に。大人気ゲーム、「ファイナルファンタジー」シリーズ35周年記念! 豪華歌舞伎俳優が集結。
尾上菊之助はこれまでも「NINAGAWA 十二夜」「マハーバーラタ戦記」「風の谷のナウシカ」など自身の企画、構想などから新しい歌舞伎の舞台を創り出してきたが、この作品は菊之助が更なる高みに挑戦すべく歌舞伎化を熱望しました渾身の新作歌舞伎に。不朽の名作ゲーム『ファイナルファンタジーX』の世界観を、アジア初の没入型エンタテインメント劇場にて世界初上演となる。


IHIステージアラウンド東京は、円形に観客席を配置し、お盆に乗った観客席自体が回転しながら、舞台、映像、音楽などと画期的な方法で融合することで、これまでにない“没入感”を楽しむことができるのも大きな魅力の劇場。『ファイナルファンタジーX』の圧倒的な映像世界に没入し、IHIステージアラウンド東京ならではの臨場感と迫力で、『ファイナルファンタジーX』の世界、ザナルカンドへ。

都内で製作発表会が行われた。
登壇したのは、尾上菊之助、中村獅童、尾上松也、坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗、北瀬佳範(SQUARE ENIX)。


まず、挨拶。尾上菊之助は関係者に謝辞を述べた後、企画を構想したのが2020年、コロナ禍。「なんとかしたい」と思いを語り作品で描かれている「1人はみんなのために、みんなは1人のために」というメッセージ、そして「あきらめない姿勢」に感銘を受けた様子で「強いメッセージを届けられると思った」と語り、「今日、この日を迎えて嬉しい」と語った。SQUARE ENIXの北瀬佳範は、このオファーについて「非常に驚いた」と振り返る。しかし、企画事態については「野心的で面白い」と評価、「一観客として楽しませていただきたい」と最大級の期待を述べた。続いて出演者の言葉、中村獅童は「緊急事態宣言の時にお話をいただいた」と言いつつ、直接電話をもらったことを明かした。尾上松也もやはり、驚いたと言いつつ「精一杯、やらせていただきます。嬉しく光栄」と喜びを。坂東彦三郎は「素晴らしい共演者に負けずに」と抱負を。中村梅枝は「大きなコンテンツでルール役をさせていただき光栄です。旅を支えていけるように」」と語り、中村米吉は「こんなにすごいヒロインの役をやるんだなとゲームをやりながら思いました。お兄さん方に支えて頂きながらもユウナとして舞台の上で旅を進めていければ」と語った。中村橋之助は「力になれるように」と言い、上村吉太朗は、ゲーム誕生年と自身の誕生年が同じことを明かし、「ご縁を感じる作品です」と語った。
また、この企画のきっかけがコロナ禍。多くの舞台が中止に追い込まれた2020年、何事もなければ、歌舞伎の舞台に立つはずなのに、休演。尾上菊之助は「10年以上、ゲームから離れていた」と語り、久しぶりにゲームを楽しんだそう。「キャラクターの視点でやったゲームが『ファイナルファンタジー』でした」と語る。作品の力強いメッセージに惹かれて「企画書作って、ビデオレターも作った」そうで、その熱い想いから始まった企画がいよいよ2023年に具現化するわけだ。それを受けてSQUARE ENIXの北瀬佳範は「ゲームと歌舞伎がどこまで融合するのか想像がつかなかったんですけど、しっかりプレイされて理解された上で熱く語っていただいたので、作品を預けることに不安はなかった」と太鼓判。

それから質疑応答。


MCから「オファーを受けた感想と衣装を着た感想を」という質問、中村獅童は「オファーを頂いたときはびっくりしました。菊之助さんと共演させていただくこと自体が10年ぶりくらい。プライベートであまり会う機会もなかったんですが、熱い気持ちで直接オファーをくださってうれかったですね。(衣装を着て)テンション上がりました。新しいものを菊之助さんとつくれるということが楽しみです」と語り、

同じくびっくりしたと尾上松也。「衣装の袖を通して高揚感がリアルに。楽しかった」と衣装を着ただけでこちらもテンションアップ。

坂東彦三郎も「誘われたこと自体が嬉しい」と喜びを。また、中村梅枝は『ファイナルファンタジーX』をリアルタイムでプレイしてたと語り「ゲームファンとしてお力添えしたい」と語った。

中村米吉も直接電話をもらったことを明かし「新しいものを創る姿勢、楽しみです」

(原作衣装は)上半身の露出度高めだが、そこは歌舞伎。「さすがにそこは工夫をさせていただいて、もっと歌舞伎らしく、もっと豊かな舞台衣装が出来上がりました。写真を(坂東)彦三郎兄さんに見せたところ胸が小さいというお叱りも受けましたので、改良をさせていただきました(笑)。まずはビジュアルの再現度、少しでも近づけるよう頑張りたい」と語った。

中村橋之助はこのゲームの大ファン。衣装を着た時のことについては「『いいよ。いいよ、ワッカだよ』って言って下さったので」と嬉しそうに。上村吉太朗は「リュックも(原作は)すごい露出してて『できるかな』と。ホットパンツで金髪で」と衣装についてちょっと具体的な発言が。

キャラクタービジュアルの発表は後日だが、登壇者の「ちょい見せ」的発言はかなりそそられる(笑)。
それから今回、歌舞伎化されるゲームシーンを、ドラマチックな場面をチョイスして映像で。ラブシーンもあり、ここをどう歌舞伎にしていくのか、と言うことについて尾上菊之助は「ティーダとユウナの恋、ビジュアルが綺麗、(劇場には)8メートルの巨大スクリーンがありますので。また水を使わないで表現できるのか…。映像を使いつつ、伝統的な日本舞踊を。最先端の技術を使いつつ、日本舞踊や歌舞伎ならではの立ち回りを。そして登場人物各々の葛藤を乗り超えて旅をするところを」と演出構想について言及。また、現代に通じる親子との関係も描かれており「普遍的なもの」とコメント。
そしてこの新作歌舞伎、通し狂言なので、上演時間がハンパない!「足と腰、お尻に優しい設定(のシート)にしないと」と尾上菊之助。背面と座面の高弾性ウレタンフォームクッションを劇場内の全席シートに設置。またホテルでの特別プランも(https://theatertainment.jp/japanese-play/110135/
劇場周辺にはキッチンカーも。特別フードやドリンクも用意される予定。
さまざまな素敵な企画に中村獅童が「ここ(ホテル)から通いたくなる(笑)」とコメント。
観客はゲームは好きだけど歌舞伎は観たことがない「歌舞伎初心者」と新作はチェックせねばという「歌舞伎上級者」が混在するであろうことについて尾上菊之助は「初心者の方から、いつもご覧になられている方が一同に介する劇場を作ることが意義であり面白さです。そこで世代を超えて交流していただきたい。古典歌舞伎だと昔の言葉を使いますし。そこがいいところでもあり、奥行きでもありますが、新作歌舞伎は平易な言葉を使うので、歌舞伎初心者の方も見やすく、演技自体は上級者の方も満足していただけるような演技を加えていきたい。また、通し狂言なので自然とストーリーに入っていける作りになっています。ホームページやチラシで予めあらすじを読んでいただけるとよりわかります」と観劇のポイントについても言及した。
また準備していることは?の問いかけに尾上菊之助は「体力作り、どうしようかと」とコメント。
映像でラブシーンも登場したが、そこを歌舞伎ではどう表現するのか?の問いかけがあり、尾上菊之助は「キスシーンのような表現の仕方が歌舞伎にはあり、心を形にするのが“型”。先人たちが作り上げてきた型の表現を盛り込みつつ、ティーダとユウナの感情で新しい型を生み出すところまで持っていければ」と新作歌舞伎ならではの「NEW」を意識。ここは自ずと見どころになるであろう。
会見は1時間近くに及んだが、それだけ熱い思いがある、ということ。『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』をアジア初の360度客席が回転するIHIステージアラウンド東京にて公演。最先端技術と伝統芸の融合、初日はきっと新しい景色が見えるに違いない。公演は3月4日より。

⓹前後編のあらすじ
■前編 (開場11:30 開演12:00)
大いなる脅威『シン』に人々がおびえて暮らす、死の螺旋にとらわれた世界スピラ。そんなスピラへと迷いこんだ少年ティーダ。そこで可憐で気丈な召喚士ユウナと出会う。ユウナの目的はただ一つ。『シン』を倒すこと。そのための『究極召喚を手に入れること』であった。
ユウナの決意に胸をうたれるティーダは同じくユウナを援護する仲間たちと共に旅にでる。
水球競技ブリッツボールでの熱戦や、父の盟友アーロンとの再会により、一行は「真実」に近づくこととなる。
だがそこに立ちはだかるグアド族の族長・シーモア。「死の安息こそスピラの願い」というゆがんだ考えを抱いている男である。
その原因ともなった彼の幼き頃の悲哀に満ちた物語とは果たして……。

■後編 (開場17:00 開演17:30)
グアド族の族長・シーモアの策略はティーダたちをますます追い込んでいく。
狡猾なシーモアは、ユウナを誘拐し、彼女を利用するために政略結婚を企てる。それに抗った一同は反逆者の汚名を着せられ、旅の中断を余儀なくされる。絶望し泣き崩れるユウナを見て、ティーダはなんとしても彼女を守りぬこうと決心。出会った頃から互いに惹かれあっていた二人は秘めた恋心に身を委ねるのであった。
一同は決意を新たに、再び『シン』を倒す究極召喚を手に入れるために立ち上がる。
だがそこに待ち受けていたのは衝撃の出来事……『シンの正体』『究極召喚と引き換えになってしまうユウナの命』
そして『ティーダの存在の真実』……
彼らはそれを乗り越え、自分たちの物語をつむごうとする。

概要
『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』
チケット一般発売日:11月19日(土)10:00
日程:2023年3月4日(土)~4月12日(水)
※休演日:3月8日(水)、15日(水)、22日(水)、29日(水)、4月5日(水)
前編11:30開場 12:00開演
後編17:00開場 17:30開演
劇場:IHIステージアラウンド東京(豊洲)
出演:尾上菊之助 中村獅童 尾上松也
中村梅枝 中村萬太郎 中村米吉 中村橋之助 上村吉太朗 中村芝のぶ
坂東彦三郎 中村錦之助 坂東彌十郎 中村歌六 ほか
※中村歌六、中村錦之助は後編のみの出演となります。

主催:『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』製作委員会
(TBS/ディスクガレージ/ローソンエンタテインメント/博報堂DYメディアパートナーズ/楽天チケット/TopCoat)
後援:TBSラジオ/BS-TBS
原作・協力:スクウェア・エニックス
制作協力:松竹 協賛:再春館製薬所
製作:TBS
IHI Stage Around Tokyo is produced by TBS Television, Inc., Imagine Nation B.V., and The John Gore Organization, Inc.
公式HP:https://ff10-kabuki.com