『La Passion de L’Amour』はモーリス・ルブラン「アルセーヌ・ルパン」シリーズの一遍「カリオストロ伯爵夫人」を基にした音楽劇。
2013年にシアターサンモールでタイトルもそのまま『カリオストロ伯爵夫人』として初演した作品を、今回、全くの新作として大幅改定を加えてタイトルも新たにしての上演。
作曲は村井邦彦。2013年「カリオストロ伯爵夫人」上演の為の楽曲に加え、今回に新たに2曲、書き下ろし。
19世紀の香りのするメロディーが、時には明るくアップテンポに、時にはロマンティックな響きを連れて、歓びや哀しみ、切ない心情を揺り動かす。上演台本は大幅改定、歌の数々は一部の歌詞を変更して再び甦る。
オーヴァーチュアーの後、ムッシュ・Mが女性に話しかける「カリオストロ伯爵夫人?」「そうよ」「貴女の話を聞かなくてはならない」と。そして歌唱「真実と向き合うために」、伯爵夫人が自分の人生を振り返る、という流れ。よってムッシュ・Mはずっと舞台上で、彼女の人生を観ている。美貌と才智の妖婦カリオストロ伯爵夫人、ここではルパンはまだ、「ルパン」ではなく、青年ラウール。カリオストロ伯爵夫人、ジョゼフィーヌ、どんな男も虜にする魅力、魔性の女でしかも秘宝をめぐって、そこにラウール。恋愛を主軸にしつつ、それでいて彼らの駆け引きも描かれている。
ラウールvsジョゼフィーヌ、であるにも関わらず、ラウールに心惹かれ、ラウールもまた、妖しい魅力のジョゼフィーヌに惹かれていくが、ラウールにはクラリスという恋人がいた。自分とは真逆な可憐なクラリスへの嫉妬、自分にはないものを持っている、若さ、健気さ。その心情を歌にする。ジョゼフィーヌをメインにすえているので、ラウールは時々登場。また、若き日のルパン、ことラウール、気高く、そしてどこか悪魔的なジョゼフィーヌと純真で天使のようなクラリスの両方に惹かれている、浮気っぽい、若気の至りと言われればそれまでだが、どこか人間臭く、のちの怪盗ルパンも、こんな時期があったのだなと思う。クラリスはまさに少女のようで、黒いドレスが、その奥ゆかしさを表現。対するジョゼフィーヌの衣装は白を基調にしたもの。その色の対比もわかりやすい。
6曲目の「愛の彷徨い人」7曲目の「愛と憎しみの交錯」、ここは聴かせる。生演奏、ピアノのみ、生ならではの阿吽の呼吸。ジョゼフィーヌの切なさが心に響く。最後の2曲はこの再演で新たに作曲されたもの。「いつか青い空が」「宿命と共に」。最後の「宿命と共に」はムッシュ・Mの独唱、ここは迫力。公演は18日まで。
STORY
カリオストロ伯爵夫人ことジョセフィーヌ・バルサモ
怪盗ルパンになる前の若き二十歳のラウール・ダンドレジー
ラウールの恋人であり後に妻となるクラリス・デティーグ
そして、ムッシュM
時は物語の何年も後。処は死の世界。
カリオストロ伯爵夫人が、闇の中から現れたムッシュMと向き合って自分の人生を振り返ってゆく。
ラウールへの愛、クラリスへの嫉妬、そして母の娘であったことの宿命・・・・
ムッシュMが何者であるか分かった時、彼女は自分の行くべき道を決断する。
Studio Lifeとは
1985年に故河内喜一郎と倉田淳により結成、2020年35周年を迎えた演劇劇団。1987年から、男優が女性役を演じるという手法をとり、現在は男優35名、女性演出家・倉田淳1名のみで構成されている。その耽美的な世界観と、演出家・倉田淳の独創的な脚色力、美しく繊細な舞台演出が話題を呼び、20代~40代の女性を中心に圧倒的な支持を得ている。
概要
劇団スタジオライフ
『La Passion de L‘Amour』―「カリオストロ伯爵夫人」より―
日程・会場:2022年12月10日(土)~18日(日) 劇場:ウエストエンドスタジオ
原作:モーリス・ルブラン
脚本・演出:倉田淳
作曲:村井邦彦
CAST(一部Wキャスト)
【ジョゼフィーヌ・バルサモ[カリオストロ伯爵夫人]】 青木隆敏(Améthyste)/関戸博一(Saphir)
【ラウール・ダンドレジー[アルセーヌ・ルパン]】松本慎也
【クラリス】神澤直也(イッツフォーリーズ)
【ムッシュM】石飛幸治
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