《インタビュー》 「REON JACK3」柚希礼音

宝塚歌劇団在籍中も、そして退団後も様々なことに挑戦し続けて進化し続けている柚希礼音。ファン待望の「REON JACK3」が秋に開幕する。どんな内容になるのか、公演にかける思いや企画、また来年は芸歴20周年!チャレンジしたいことなどを存分に語ってもらった。

「REON JACK」はファンの皆様がすごく喜んでくださるし、私自身、とっても大好きなコンサート。いっぱい挑戦しながらも、心や気持ちが通いあう温かい空間になればいいなと思っています。

――3をやるに当たって改めて現在は?

柚希:宝塚現役時代からコンサートをやらせていただいているのですが、そのときからやってみたいと思っていたことが2で全て叶ってしまって燃え尽き症候群に・・・・・・もう次は浮かばないな、しばらくは無理だなと思ったんです。しかし、様々なミュージカル、また女優として色々と挑戦しているうちに、やっぱりコンサートをやりたいなと・・・・・。それには、2の時に出演していただいた素晴らしいダンサーの皆さんと、また一緒にやれたらという思い、そしてさらに今回は、もっと多くの場面に出ていただきたいなと・・・・・つまり2の進化型、これはすごいものになるのでは?というアイディアが浮かんできまして、今、どういうことをしようか、話し合いを重ねて考えている最中です。2では例えば、タンゴ、バレエ、ってコーナーで分けて出ていただいたんですが、自分の持ち曲も色々とあるので、そこで素晴らしい皆さんとどういうコラボレーションができるかな?って考えながら構成を考え中です。

――2を踏まえてより進化するのが3ですね。

柚希:はい。2はかなり後半まで私がトークをほぼせず、お見せする形だったんです。でも、今回はお客様と心と心のキャッチボール、気持ちが通いあう空間も欲しいなと思っています。「REON JACK」はファンの皆様がすごく喜んでくださるし、私自身、とっても大好きなコンサート。いっぱい挑戦しながらも、心や気持ちが通いあう温かい空間になればいいなと思っています。

――前回の2から3の間に新たなファンも増えたと思いますが、3のコンサートは新たなファンも楽しめるものに・・・・。

柚希:そうですね。3から観ていただいても!それだけでもいいものにしたいと思っています。いろいろなミュージカルで役として挑戦することをやってきまして、また宝塚を卒業して女優としても一歩一歩歩んでいるところを皆様が応援して下さり、そんな中で思いっきりいろんな柚希礼音を表現できたらなと。

日々、ずっと踊り続けている方々と対等に踊るためには、かなりの『ダンサー身体』になろうと思っているんです。

――今まで地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15「ZEROTOPIA」、「マタ・ハリ」などのお芝居に出ている自分とコンサートに出ている自分、違うとは思いますが、共通するところ、シンクロするところってございますか?

柚希:役を作る上でも自分自身を使うことは使うんですが、役を追求していく作業と比べると、コンサートは自分自身と向き合うことがすごく多くって場面や衣装やセットや振付で何を踊りたいとか・・・・・自分が今、何がしたいのかをすごく考える時間が多くなります。つまり、コンサートは、やるたびに今の自分はどういうことをしたくて何を伝えたいのだろうということに向き合うことが多くなる、そこが大きく違うと思います。役の場合は、その役が何が言いたいのかを演出の方々と話します。コンサートは本当に自分自身から発するものなので、今回もいろんなことにこだわって思いのつまったものになればいいなと。

――前回も共演の方々やスタッフさんとの息もピッタリで。

柚希:はい。SHUN先生は宝塚の時から振り付けをしてくださって、「REON JACK」の1の時は振付、2の時は演出もしてくださっているので、SHUN先生は『別枠』な感じです。なので、私自身のこともよくわかって下さり、なおかつがどんどん変化していくことも・・・・・・さらにお客様の心情もよくわかって下さっている。今、どういうものをお客様が求めているかということもきちんと見て下さるので、とてもありがたいですし、挑戦するところもありつつ、『なんか、こういうものも観たかった!』っていうところも考えてくださるとても心強いSHUN先生がいらっしゃるので!地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15「ZEROTOPIA」からは丹羽麻由美ちゃんと砂塚健斗くんの2人、出て欲しいと思ってお願いしました。これだけスペシャルな方々が出て下さるので、やりたいことはいっぱいあります。「メリー・ポピンズ」で大活躍された大貫勇輔さんにまた出ていただけることは本当にありがたいなと。前回は2人でしっかり踊るというものがなかったので、今度は2人で思いっきり踊る、『これがしたいな』っていうのが浮かんできているので、今から詰めています。それと「REON JACK1」からずっと出てくださっているクリスティアン・ロペスさん、ムーディーなタンゴを踊ることが多かったんですが。今回はムーディーなタンゴではなく、ちょっと違った感じが出来たらいいなと。あとは世界レベルのダンスをなさるYOSHIEさんと今回はどうしようかなと思っているんですが、自分自身もいろんなダンスを踊ってみたいので、再び挑戦したいなって思っています。

今回のCDは4曲とも全然違うテーマ性にしたことによって皆様により楽しんでいただけるんじゃないかな?と思っています。

――CDも9月にリリースされますね。

柚希:1曲目は作曲が本間さん、作詞がポルノグラフィティの新藤晴一さんの曲!こんなすごいタッグを私のために、ね!いいのでしょうか!ダンサブルなナンバーで、恋について歌うとてもかっこいい曲ですね。

――大人の恋愛ですか?

柚希:はい。すごく豪華なタッグを楽しみにしていただきたいなと思っています。2曲目は本間さん作曲、森雪之丞さん作詞のタッグで応援ソングみたいなのがいいなと思いまして、でも『頑張れ、頑張れ!』みたいなのではなく、自分に置き換えて、明日も明るく生きるぞ!みたいに思っていただけるようなほっこりとした応援ソングみたいになればいいなと思っています。3曲目はWEAVERの杉本雄治さん作曲、宇宙まおさん作詞で、まおさんの書いている詞は本当に可愛らしい、心が温まる歌詞を書かれているんだなと・・・・・・そして杉本さんは「ZEROTOPIA」で歌っていても、メロディーが本当に素敵だなと思っていましたし、お願いすることができてとても嬉しいです。友達ソングを作ってもらいたくて、「友達でよかったな」と思えるような・・・・・。

――ご自身の・・・・・・。

柚希:はい。高校時代からの親友がいまして、その子をちょっと思い描きながら、「こういうことを書いてくださいと」お願いしまして・・・・・・とても思い入れのある曲ですね。4曲目も杉本さんの曲で実は自分自身の作詞なんですけど、宝塚を退団して一度作詞したことがありまして、そのあとは・・・・・来年が芸歴20周年であることを考えて、テーマがちょっと大きくなってしまい、何度も書き直したりして大苦戦!私の思いのつまった曲をお届けいたします!今回のCDは4曲とも全然違うテーマ性にしたことによって皆様により楽しんでいただけるんじゃないかな?と思っています。コンサートでも、もちろん!

――ダンサー・柚希礼音としては?

柚希:ミュージカルとかをやっていると、コンサートの時ほど踊ることってなかなかないので、自分としてはレッスンに行ったりしていますが、ダンサーの身体をつくり直さねば!と。日々、ずっと踊り続けている方々と対等に踊るためには、かなりの『ダンサー身体』になろうと思っているんです。やはり、ミュージカル系ではそこまで踊る場面がないので・・・・・・宝塚の時はお芝居とショーがあったので、常に踊っていたんですけど、退団して踊る機会が減ってしまったので「REON JACK」でいっぱい踊ることで、観て下さる方にとっても自分自身にとっても満足感のある、充実感のあるものになればいいなと。

来年は20周年、『こういうことをしてみたい』って思うことをやってみたり、あとは自分自身にとって『これは無理かもしれない』っていうことに挑戦してみます。

――リフトされることは?

柚希:申し訳なさでいっぱいです、リフトされるのは。男役をやっていたことにより、『重いからごめん』って遠慮している方が重いっていうことがわかっているので、「すいません、でもやりまーーす!」っていう(笑)、勢いで!男役時代でも、クリスティアン・ロペスさんがするようなリフトはしたことがないので、今回もすごく、大いに!やりたいと思っています。

――そういえば、来年は芸歴20周年になりますね。

柚希:来年は宝塚の初舞台から数えて芸歴20周年ですが、途中で女優1年生に戻ったみたいで、あんまり『20周年感』がないんです。しかし、節目の年を来年迎えるにあたって、こうして続けてくることができたのは、応援して下さる皆様が本当に温かく、どんな時も見守って下さるお陰だなと、改めて思います。来年はファンの皆様に日頃の感謝を込めて何か、面白いことに挑戦しようかと。『こういうことをしてみたい』って思うことをやってみたり、あとは自分自身にとって『これはちょっと無理かもしれない』っていうことにあえて挑戦してみますので、楽しみにしていただけたらなと思います。次につなげていけるような1年になればいいなと。

今、柚希礼音としてどういうことをしたいか考えるのが楽しいですね。

――2と3の間が1年半ありますが、この1年半を振り返って。

柚希:2が終わって「ビリー・エリオット」から、さらに退団後(自分は)変わったなって・・・・・・「ビリー・エリオット」の時に『こうじゃないといけないってことはないな』って実感しました・・・・・・作品のテーマもそうだったんですが、自分自身も今まで演じてきた役柄とは違う役に挑戦したことによってたくさんのことを学び、何か吹っ切れた感が。そして「マタ・ハリ」でますます殻が破れました。宝塚の二番手時代に「スカーレット・ピンパーネル」のショーヴランに出会った時のような出会い方で、自分自身にとって「マタ・ハリ」という役はとても怖いものであり、お客様の前でこれをすることによってどう思われるかな?っていう自分がいたんです。でも思い切り、“しっかりと”苦戦し、そして挑んだ結果にお客様はちゃんとついてきてくださるんだなと。怖がらずに挑戦した「マタ・ハリ」・・・・・・そのあとの「ZEROTOPIA」でまた全然違う・・・・・・本当に、これら3作品で、いろんな素敵な方々に守られたり、あるいは過去に色々背負った女性等を演じてたくさん勉強してきました。それらを経ての「REON JACK3」なので、ちょっとだけ1歩踏み出した自分・・・・・・今、柚希礼音としてどういうことをしたいか考えるのが楽しいですね。

――挑戦という言葉が出ましたが、改めて「REON JACK3」とは?

柚希:すごく挑戦だらけになると思うんですけど、肩肘張った辛い挑戦ではなく、楽しい挑戦、それでいて周りにいらっしゃる愛溢れるお客様との通い合いを感じることができたらと思います。

――宝塚時代から「REON」シリーズをされていて、ライブコンサート形式のものを積み重ねていって経験値もダントツ高いと思うんですが。

柚希:宝塚時代、『男役・柚希礼音』を作っている時に、とにかくかっこよくいたいと思っていまして、「REONコンサート」をした時にかっこいいだけではなく、自分自身のちょっとかっこ悪いところもちょっと恥ずかしいところも出してみたら?ということになって、「ファンの皆様がかっこ悪くって嫌になっちゃうかもしれない」って思いながらも、勇気を持って初日を・・・・・・そこから第2の柚希礼音が始まったような気がします。それまで常にかっこよくないといけないと思っていたんですが、今まで隠してきた部分、そうじゃないところを見せることによって自分もすごく楽になりました。ファンの皆様ももう一歩踏み込んで応援してくださり、いろんな自分を引き出すことによって役を演じている柚希礼音とは全然違う自分をコンサートで見せることができました。また、退団後も、女性としてどのようなコンサート・・・・・・と悩んだところから考えて、やっぱり「REON JACK」でしか見られない柚希礼音、自分プロデュースっていうんでしょうか・・・・・・おそらく「REON JACK3」の次は考えられないくらい、このメンバーでやるのは絶対に最後になるので・・・・・また燃え尽き症候群になるでしょうか。次のことは見えていないですね。宝塚現役の時もコンサートは3回、「REON JACK3」も一応、節目ですね。これからどうしましょう・・・・・でもコンサートというものはやりたいような感じもします。でも、今は3に燃え尽きようと(笑)。

これからも一歩一歩やっていきたいですね。

――これからは?

柚希:宝塚にいる時は一歩前のことだけを考えて生きてきましたし、宝塚の男役以外で舞台に立つことも考えられなかった。本当にやりきったと思って宝塚をやめたんです。ところが「これはやってみたい」と思っていたことが1つ1つ目の前に現れてきたので、今も一歩一歩、挑戦しています。これからも一歩一歩やっていきたいですね。

――ファンの方々へのメッセージを。

柚希:はい。「REON JACK3」ができるのは、やはり1、2をたくさんの方が見て応援してくださっている、そのおかげだと思っています。3が発表になった時に皆様の喜びとかを感じると本当にありがたいなと思っています。様々な作品に挑戦して、女優として1歩1歩、歩んで、皆様が応援してくださる中、「REON JACK」でしか見れない、「『REON JACK』でこういうのが見たい」というお声もいっぱいいただいています。すべてを叶えられるわけではないのですが、私にとってもファンの皆様にとっても、幸せな空間になればいいなと思っていますので、楽しみにしていてください!

【公演概要】

柚希礼音ソロコンサート「REON JACK3」

2018年10月19日〜10月21日

東京国際フォーラム ホールC

2018年11月8日〜11月11日

梅田芸術劇場メインホール

音楽プロデューサー:本間昭光

ステージング:大村俊介(SHUN)

出演:柚希礼音、大貫勇輔、大村俊介(SHUN)、YOSHIE、クリスティアン・ロペス他。

公式サイト:http://www.reonjack3.com

 

【柚希礼音ミニアルバム『R ing』概要】
価格:¥4,800+税

発売・販売元:株式会社アミューズ

収録曲 M1.アラート 作詞:新藤晴一 作曲:本間昭光

M2.幸せの見つけ方  作詞:森雪之丞 作曲:本間昭光

M3.Blue forever  作詞:宇宙まお 作曲:杉本雄治 (WEAVER)

M4.道 作詞:柚希礼音 吉田詩織 作曲:杉本雄治 (WEAVER)

※リリースイベントについて 東京・渋谷(お渡し会)、大阪・心斎橋(お渡し会)、にて実施。詳細は下記。

渋谷:http://www.hmv.co.jp/store/event/34487/

心斎橋:http://www.hmv.co.jp/store/event/34488/

文:Hiromi Koh

柚希礼音撮影:金丸雅代