“光の魔術師”アルローが夢幻に誘う詩人ホフマンの 3 つのロマンティックな恋物語
官能的な名曲「ホフマンの舟歌」でおなじみのフランス・オペラ珠玉の傑作。オペレッタ『天国と地獄』で有名なオッフェンバックが作曲したオペラで、詩人ホフマンの恋の遍歴を幻想的に描いていく。主人公ホフマンの「クラインザックの歌」、人形オランピアの華麗なコロラトゥーラが光る「人形の歌~生垣に小鳥たちが」など、洒脱で美しい音楽が満載。
“光の魔術師”フィリップ・アルロー演出では、色鮮やかでスタイリッシュな舞台が次々に展開し、オムニバスのように紡がれる3つの恋物語の夢幻の世界へ。物語には、死、芸術、性への欲求を象徴する女性たちが登場。ホフマンの破滅的な運命が“絶望”という名の黒い糸で紡がれていく。
詩人ホフマンはテノール界の王子カパルボ! 3人のマドンナとミューズに日本屈指の女性歌手陣
『ホフマン物語』は一晩で多彩な歌手の美声に浸ることのできる贅沢なオペラ。タイトルロールのホフマンには、大野和士指揮リヨン歌劇場(来日公演にも出演)以来、英国ロイヤルオペラ、ミンコフスキ指揮ブレーメン音楽祭などの同役で大成功を収めているホフマン歌いレオナルド・カパルボが登場。甘いマスクと美声で欧米のメディアも絶賛する“テノール界の新たな王子”が、恋と幻想に囚われる詩人を。ホフマンを破滅に導く悪魔的存在の4役(リンドルフ、コッペリウス、ミラクル博士、ダペルトゥット)には、世界トップバス・バリトン歌手のエギルス・シリンスが登場。ホフマンが恋するマドンナ3役を務める三者三様のソプラノには、安井陽子、木下美穂子、大隅智佳子と日本を代表するソプラノが出演。ニクラウス/ミューズは、凛々しい舞台姿で大活躍中のメゾ小林由佳が出演。
「ホフマンの舟歌」でお馴染み、フランス・オペラ珠玉の傑作!
19 世紀末、ベル・エポック時代のパリで、『天国と地獄』によりその名を世界に轟かせたオッフェンバック。『ホフマン物語』はオペレッタの創始者オッフェンバックの唯一のオペラにして、未完の遺作。ロッシーニが「シャンゼリゼのモーツァルト」と評したオッフェンバックならではのメロディックで魅力的な音楽にあふれています。「ホフマンの舟歌」はオペラ通でなくともお馴染みの名曲揃い。
ホフマンの孤独な死が生み出す永遠の命
オペラ『ホフマン物語』は、ドイツ・ロマン主義の作家 E.T.A ホフマンの幻想的怪奇小説の3つの物語をモチーフに、ホフマン自身を主人公にした失恋物語。ホフマン独特の”現実と幻想の二重性”がそのままオペラの物語と渾然一体となった、珠玉の傑作。ホフマンをめぐる3人の女性、恋物語を破滅に導く悪魔的な男、芸術の女神ミューズ…。決定版を欠き謎に満ちたこのオペラは、様々な解釈を招いてきた。
“光の魔術師“の異名を持つアルローの演出は、漆黒の舞台空間に、オランピアの黄緑、アントニアのブルー
の照明、ジュリエッタの赤い衣裳に紫の照明と、蛍光色や照明を駆使して鮮やかな色彩を効果的に出現させ、ドラマの妖しい幻想性を浮き彫りに。物語には、死、芸術、性への欲求というアルローのキーワードを象徴する女性たちが次々と登場。ホフマンの破滅的な運命が“絶望”という名の黒い糸で紡がれていき、夢と現実の狭間をさまようホフマンは、恋をした女たちに見守られながら息を引き取る。
あらすじ
【第1幕(プロローグ)】
歌劇場の隣の酒場。歌姫ステッラを待つホフマンは友人のニクラウス達に、三
つの失恋物語を語り始める。
【第2幕】
オランピアは科学者スパランツァーニが作った自動人形。
人形師コッペリウスに売りつけられた不思議な眼鏡をかけると、その人形が生きているように見え、すっかり夢中になったホフマンは愛を告白。ホフマンと狂ったようにワルツを踊ったあげく、オランピアはコッペリウスに壊されてしまう。ホフマンはこの時初めて、彼女が人形だったことを知る。
【第3幕】
楽器職人クレスペルの娘アントニア。名歌手だった母譲りの素養を持っていたが、胸を病み父親から歌うことを禁じられていた。しかし、悪魔のような医者ミラクルが亡き母親の亡霊を呼び寄せ、アントニアが歌うよう誘惑する。歌い続けるアントニアは、ついに死んでしまった。
【第4幕】
ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタ。彼女は魔術師ダペルトゥットからホフマンを誘惑して影を盗
めと命じられていた。賭けですべてを失ったホフマンは魂と命と影をジュリエッタに渡してしまう。恋敵
シュレーミルと決闘して勝利するが、当のジュリエッタは下僕と駆け落ちする。
【第 5 幕(エピローグ)】
酒場。数奇な愛の遍歴を語り終えたホフマンの元に歌姫ステッラが現れるが、
上院議員リンドルフと腕を組んで立ち去る。酔いつぶれたホフマンは詩の女神ミューズの幻影を見る。
概要
日程:2023 年3 月15日(水)18:30/17日(金)14:00/19日(日)14:00/21 日(火・祝)14:00
会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:マルコ・レトーニャ
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
出演
ホフマン:レオナルド・カパルボ
ニクラウス/ミューズ:小林由佳
オランピア:安井陽子
アントニア:木下美穂子
ジュリエッタ:大隅智佳子
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:エギルス・シリンス
他
芸術監督:大野和士
公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/lescontesdhoffmann/
舞台写真:新国立劇場「ホフマン物語」2018年公演より 撮影:寺司正彦