1973年5月、渋谷PARCOに誕生したPARCO劇場(当時の名称は西武劇場)は、2023年、開場50周年を迎える。1月5日からの「志の輔らくご in PARCO」を皮切りに、12月までの1年間、「PARCO劇場開場50周年記念シリーズ」として多彩な作品が上演される。
PARCO劇場は、1973年5月23日、渋谷PARCO開業(6月)に先んじて西武劇場という名称で開場。その後1976年にPARCO西武劇場、1985年にPARCO劇場へと改称、また2020年1月には、建替えを経た渋谷PARCO8階に、新生PARCO劇場としてオープンした。
パルコのイメージ・文化戦略の一環としてスタートしたPARCO劇場の大きな特長は、文化事業として劇場が自らプロデュースを行ってきたことです。開場当初は堤清二や増田通二という当時の経営陣自らが魅力あるクリエーターや集団を口説き、作品づくりを始めました。以降はエンタテインメント事業部の劇場制作チームがプロデュース。時代の流れを読みながら、多くの才能と共に1200を超える作品を生み出してきた。新生PARCO劇場は、客席数を旧劇場の458から636席に増やしたが、中劇場ならではの舞台と客席の親密さは失わず、優れた上演作品を提供している。
50周年の本年も、日本演劇界の中心にいる演出家による作品や、新たな才能とトライする企画、海外の気鋭の演出家作など、充実のラインナップ。
まず、1月は吉例「志の輔らくごin PARCO」。1996年PARCO劇場に初お目見えし、2006年からはお正月の1ヶ月公演として定着。以来PARCO劇場の顔ともいえる演目。そしてもう一つ、劇場のレパートリーと言える作品が朗読劇「ラヴ・レターズ」。1990年にスタートしたこの朗読劇の金字塔は、青井陽治から藤田俊太郎に演出をバトンタッチ。1月にはのべ512組~514組目のカップルによる上演。2月はこれまで数多くの作品をPARCO劇場で発表し、観客の絶大な支持を集めてきた三谷幸喜の作・演出による「笑の大学」。日本での上演は25年ぶり、三谷演出では初上演。3月は岩井秀人の代表作をミュージカル化する注目作「おとこたち」。4月の「ラビット・ホール」は藤田俊太郎がピュリツァー賞受賞の傑作戯曲に挑む。そして5月以降はPARCO劇場で数々の優れた作品を生み出してきた現代日本を代表する演出家、森新太郎(5月)、蓬莱竜太(9月)、宮本亞門(10月)、G2(11月)、栗山民也(12月)が続く。また初登場となる文学座の五戸真理枝(6月)、昨年「セールスマンの死」で鮮烈な印象を残したショーン・ホームズ(8月)も英国から来日する。
また、これら作品の上演に加え、お客様の50年間のご愛顧に感謝する様々な企画もご用意しています。3月から実施予定のSNSキャンペーンをはじめ、1年間にわたり、お客様に感謝をお伝えします。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
1月
「志の輔らくご in PARCO 2023」
1月5日(木)~1月31日(火)
正月吉例、選りすぐりの「志の輔らくご」で新年の幕開けを。
出演:立川志の輔
「ラヴ・レターズ」
50周年の幕開けを飾る「ラヴ・レターズ」は、個性豊かな3組が競演!
作:A.R.ガーニー 訳:青井陽治 演出:藤田俊太郎
1月12日(木) 山中崇 & 小林聡美
1月18日(水) 大貫勇輔 & 瀧内公美
1月27日(金) 麿赤兒 & 橋本マナミ
2月
「笑の大学」
2月8日(水)~3月5日(日)
三谷幸喜の代表作を25年ぶりに待望の上演!
作・演出:三谷幸喜
出演:内野聖陽 瀬戸康史
3月
「おとこたち」
3月12日(日)~4月2日(日)
岩井秀人の最高傑作『おとこたち』を、“ミュージカル“でお届け!
脚本・演出:岩井秀人
音楽:前野健太
出演:ユースケ・サンタマリア 藤井隆 吉原光夫
/大原櫻子 川上友里/橋本さとし
梅里アーツ 中川大喜
演奏:pf.佐山こうた b.種石幸也
4月
「ラビット・ホール」
4月9日(日)~25日(火)
ピュリツァー賞受賞戯曲をベストキャスト&藤田俊太郎演出で上演!
作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー 訳:小田島創志
演出:藤田俊太郎
出演:宮澤エマ 成河 土井ケイト 阿部顕嵐/山﨑光(ダブルキャスト)
シルビア・グラブ
5月 森新太郎 演出作品
6月 五戸真理枝 演出作品
8月 ショーン・ホームズ 演出作品
9月 蓬莱竜太 演出作品
10月 宮本亞門 演出作品
11月 G2 演出作品
12月 栗山民也演出「海をゆく者」
PARCO劇場50周年へのコメント
立川志の輔
50周年おめでとうございます。
振り返れば四半世紀、PARCO劇場は、志の輔らくごに無くてはならない空間でした。
渋谷という場所、この劇場に似合う落語を毎回自分なりに模索し、また演劇のスタッフや劇場の神様のお力もお借りして多くの新作落語が生まれました。2023新春1ヶ月はもちろんのこと、これからもそのパワーで上演し続けて参ります。
三谷幸喜
当時まだ西武劇場という名前だったPARCO劇場で、ニール・サイモンの『おかしな二人』を観ました。はじめて舞台が面白く感じ、自分でもやってみたいと思いました。あの日、あの作品を観ていなかったら、いま僕はここにいなかったと思います。舞台作品を作るきっかけを与えてくれたPARCO劇場の50周年に、僕自身大好きな作品の『笑の大学』で参加できることを大変嬉しく思っております。
岩井秀人
昔っから「PARCO」のイメージって、「期待している未来」というか「もっと自由になっている未来」というものだった。なんだか常に、先を行く謎の組織、的な。きっと同じように感じていた人たちは多く、都合何百万人っていう人間の精神を救いまくっていたに違いない。素晴らしすぎることだ。
そんなPARCO50周年の年の公演で僕は、「現代のおとこたちの物語」を古典にしようと思っている。「おとこたるもの」とか「大人なんだから」という、我々を縛る何かを、「とっくに終わってますよ!それ!」ってしていこうと思ってる。笑いながら現在と過去を脱いでいき、新たな時代に出ていく、そんな感じで「かつての自分を救ってくれたPARCO」と、一緒に歩かせてもらおうと思います。「おめでとう」と「ありがとう」を込めて。
藤田俊太郎
PARCO劇場開場50周年、誠におめでとうございます。これまで日本の演劇に残した大きな足跡を思うと畏敬の念を抱かずにはいられません。記念の年に『ラヴ・レターズ』『ラビット・ホール』を演出できる喜びを噛み締めています。素晴らしいカンパニーの仲間と共に今ここでしか創作できない作品、未来に繋がる演劇をつくり、観客の皆様にお届けしたいと思います。2020年以降新生の劇場、その座席が旧PARCO劇場のように再びハート型になっていく姿に熱い想いを馳せながら。
森新太郎
長い年月、よくぞ生き抜いてくださいました。心より感謝申し上げます。私がPARCO劇場デビューを果たせたのは、つい最近のこと。まだまだ全然やり足りておりません。この劇場で上演したい作品、叶えたい演出がいくつも溜まっております。今後ともずっと、私にとって、そして多くの演劇人・演劇ファンにとって“夢を見られる場”であり続けて下さい。そう切に願ってやみません。50周年おめでとうございます。
五戸真理枝
PARCO劇場様、開場50周年おめでとうございます。
50歳は人間で言うと立派な大人ですが、劇場で言うと、若さあふれる青年でしょうか。
いつでも、陽気に観客席に迎え入れていただき、私はその居心地に、喜びと安らぎを感じております。どうぞこの先、100年、200年と、永い時を生きぬいてください。
私が手掛ける作品も、時代を越え、国を越え、世代を越えて、劇場内に豊かなコミュニケーションが生まれる演目にできるよう頑張ります。
ショーン・ホームズ
50周年という記念すべき年に演出家としてPARCO劇場に帰ることができるのを大変光栄に思っています。
私にとって今回がパルコさんとの3回目のコラボレーションになりますが、彼らはまさに演出家がコラボレーションしたいと願う、作品作りに最も協力的で、クリエイティブで、そして大胆なプロデューサーです。
PARCO劇場50周年、おめでとうございます!
It’s a great privilege to be directing again for Parco theatre in this
their 50th anniversary year.
This will be my third collaboration with Parco theatre, the most
supportive, creative and bold producers a director could wish for.
Happy 50th Parco Theater !
蓬莱竜太
PARCO劇場には華やかな匂いがあります。観劇後、何か美味しいものを食べて帰った方がいいのではと、そんな匂いがある劇場です。そういう劇場でお仕事をさせて貰うと少々自慢気な気持ちになってしまう自分が正直います。数々の歴史を刻んだ50年、只事じゃないと思います。これからも観た人、作った人に色々なものを与えてくれる劇場でありますように。
宮本亞門
50周年!心からおめでとうを言わせてください。私がはじめてパルコ劇場に行ったのは高校生。最も先駆的でオシャレでクールな劇場でした。それからアートや挑戦的前衛作品も沢山拝見しました、あのスリリングな興奮は私が作品を創る上での糧になっています。私もいくつかの作品を演出させて頂けたのも、文化の力を信じて作品を大切に送り続けるスタッフ皆さんのお陰です。いよいよ新たな50年のスタートですね!不易流行の精神を貫き、感動と興奮を新たなスタイルで、時代を切り開いていってください。おめでとうございます!
G2
50年! 半世紀! おめでとうございます! 初めてパルコ劇場で演出を務めましたのが1998年なので、お付き合いは25年、歴史のちょうど半分をご一緒させて頂いたことに! パルコ劇場の歴史=日本の演劇界の歴史、と言って過言ではない!と個人的には思うこの劇場で、記念すべき50周年に登板させて頂けるのも光栄の至り。演劇が理屈抜きに面白いメディアであることを引き続き伝えて行きたいですね。
栗山民也
アイルランドをぐるっと回った時、昼間からパブでぼんやり幸せそうにビールを飲む老人たちが、なんと日向の中の妖精たちに見えたのです。
この作品、日本初演から14年。私を含め俳優たちもみんな前期高齢者になって、やっとアイルランドの平和な妖精に近づけるのだと思います。パルコ劇場の祝50周年なのです。私の中ではこの作品、勝手に伝説のようなものなのです。なんとも愛おしく人間の美と醜に満ち溢れた作品『海をゆく者』を、お楽しみに。
公式サイト:https://stage.parco.jp/