菅井友香主演 つかこうへい復活祭 2023「新・幕末純情伝」稽古快調

菅井友香主演でつかこうへい原作『新・幕末純情伝』が紀伊國屋ホールにて上演される。

『幕末純情伝』は、幕末の京都を舞台に、新撰組の沖田総司が実は女だったという、つかこうへいの ユニークな着想のもと、1989年8月PARCO 劇場にて幕を上げた。 それ以降『熱海殺人事件』『飛龍伝』 と並ぶつか氏の代表的な作品として愛され、これまで幾度となく上演され続けている。
この『新・幕末純情伝』には女性は一人だけしか登場しない。つかこうへい独特の論法「女、恋に狂わば時代を覆す」というテーマが壮大な物語を突き動かしてゆく。

主演の菅井友香は3年前『飛龍伝 2020』のヒロイン神林美智子役で熱演、振り切った演技で高い評価を得た。
つかこうへい作品の二大ヒロインと言われる沖田総司と神林美智子を両方を演じたことがあるのは、 長い歴史の中で広末涼子と桐谷美玲の二人だけである。菅井友香は三人目の歴史的ヒロインとなる。
今回、菅井友香を支えるべくフレッシュな共演者が顔を揃えた。
NHK 朝ドラ『エール』で鮮烈な印象を残し、『新・信長公記』では今川義元役を演じた松大航也、 つかこうへい十三回忌特別公演『初級革命講座飛龍伝』で主演を務めた高橋龍輝、モデルとして世界で活躍し、今回初の舞台に挑戦する晃平、『仮面ライダーリバイス』オルテカ役で注目を集めた関隼汰、 2022 年度関西演劇祭でベストアクター賞を受賞した北野秀気など、多彩な分野から紀伊國屋ホール に集結し、幕末メンバーを一新する。 そして、北区つかこうへい劇団の重鎮、吉田智則が歴史をつなぐ。
演出は岡村俊一、9代目の松井玲奈以来7年ぶりに指揮をとる。

寒く、雨の降るこの日、公開稽古が行われた。公開されたのは池田屋事件を中心とした、沖田総司と坂本龍馬が出会う名場面、そして沖田総司が吐血するシーン。

颯爽と登場。

始まった途端に激しい殺陣、時代は幕末、新撰組に勢いがあった頃、だが、このあと時代は激しく変わっていくのは観客は先刻承知。怒号が飛び交い、激しく動くが、その合間にちょっとした笑えるシーンも挟み込む。観劇したことのあるファンなら、そういったシーンはお約束。池田屋事件、とくれば坂本龍馬、これは「幕末純情伝」、まず沖田総司が女性だったこともフィクションだが、出会ってからの坂本龍馬と沖田総司の関係も壮大なフィクション。

坂本龍馬、登場。

沖田総司、吐血した後、その血を…。

<オフィシャル稽古場写真>

独特の台詞回し、動きは完璧に入っている様子、初日への順調な仕上がりを見せた。
稽古終了後、会見が行われた。登壇したのは菅井友香、松大航也、高橋龍輝ら、キャストの面々。まずは主要キャストから挨拶、意気込みなど語った。

明るい座組み。

菅井友香(沖田総司役)「『飛龍伝』以来、今回は殺陣が加わって、心も体も熱く…精一杯頑張ります」
松大航也(坂本龍馬役)「歴史ある舞台、素敵な方々と…前のシリーズに負けないように」
高橋龍輝(土方歳三役)「『飛龍伝』以来、2回目の参加、光栄です」
殺陣、実は今回殺陣初挑戦の菅井友香、公開稽古では初めてとは思えない刀さばき、初日は1月28日なので、本番にはもっと仕上がっていることだろう。だが、本人は「刀が自分の手になじむまでは難しかった」と語る。抜刀、納刀など所作があるので、これは難しいが、稽古の成果を披露。殺陣はただ型を覚えて刀を振るうだけではなく、「日本人の心」が秘められた奥深い世界、〝魅せるための武術〟なのである。ここは見どころとなるはず。また菅井友香は卒業してから初めての作品、今までは同じ仲間に囲まれ、しかも皆、当然のことながら女性のみ、今回はその逆で紅一点。「見える景色は全然違います…みなさん優しくて、何も言わずに練習に付き合ってくださったり、『体痛くない?』とか聞いてくださったり、助けられています。ありがたい環境だな、と…」と感謝の言葉を。このカンパニーの重鎮・吉田智則は「菅井さんが引き立つように」と語る。菅井は「つかさんの作品ならではの熱さ、エネルギーに圧倒されています…作品のメッセージに気づかされることも多く、なんてすてきな作品なんだろうなと…少しでも今を生きる方々にメッセージを届けられるように頑張りたい」と語った。

ちなみにこの作品、『幕末純情伝』は、つかこうへい作の長編時代小説。『幕末純情伝―龍馬を斬った女―』(ばくまつじゅんじょうでん りょうまをきったおんな)と題し『野性時代』(角川書店)1988年7月号にて発表、同年9月21日に角川書店より刊行。幕末の騒乱期を舞台に、沖田総司は女性だったとの設定のもと、沖田と土方歳三・坂本龍馬との三角関係を描いている。つか自身により戯曲化され1989年8月に刊行・初演された。

ものがたり
徳川260年の泰平の世が、今まさに崩壊せんとしている文久3年。
武士になりたい一身で、京都への道を急ぐ一群の男達がいる。 近藤勇率いる、新撰組。
その隊士の中に「女」がいた。沖田総司。 小さい頃から男として育てられ、ただひたすら剣の修行を強いられてきた孤独な女――。
風雲急を告げる、時は幕末。
勤皇、佐幕が入り乱れる動乱の京の街で、 総司は愛する土方歳三のため、 一人、また一人と勤皇の志士たちを斬り続ける。 そして、そんな総司の前に、一人の男が立ちふさがった。
その男こそ、日本に新しい時代をもたらす男。土佐の龍、坂本龍馬――。
裏切りと憎悪渦巻く暗黒の時代、 総司と土方、そして竜馬の胸を焦がす、熱い恋の行方とは?
そして、勝海舟、桂小五郎・・・ 幕末の若き志士たちが夢見た、 新しい時代の夜明けとは?

国とは、女のことぜよ。
日本とは、おまんの美しさのことぜよ。
明日とは、男と女が見つめ合う、
熱い眼差しのことぜよ。
国とは、男と女が愛おしく思い合う
意思のことぜよ。
その強い意思があるかぎり、
国は滅びん!

概要
つかこうへい復活祭 2023「新・幕末純情伝」
作:つかこうへい
演出:岡村俊一
出演:
菅井友香
松大航也
高橋龍輝
晃平
関隼汰
北野秀気
濱田和馬
須藤公一 武田義晴
河本祐貴
大津夕陽
大津朝陽
伊東陽光
古田龍
江浦優大
吉田智則
日程・会場:
東京:2023年1月28日(土)~2月12日(日)  東京・紀伊國屋ホール
神戸:2023年2月17日(金)~19日(日)  神戸・AiiA 2.5 Theater Kobe
問合: 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
提携:紀伊國屋書店(東京公演)
運営協力:サンライズプロモーション大阪(神戸公演)
制作:つかこうへい事務所
主催:アール・ユー・ピー

公式サイト:http://www.rup.co.jp/