舞台『戦刻ナイトブラッド』結月の運命は?武将たちの行く末は?戦いの果てにあるものは・・・・・・。

『戦刻ナイトブラッド』(センゴクナイトブラッド)は、オトメイト・KADOKAWA・マーベラスの三社共同原作によるスマートフォンアプリケーションゲーム。公式略称は「戦ブラ」。2017年5月29日にマーベラスよりリリース。システム的にはシミュレーションゲームを骨格としている。当初から「戦ブラプロジェクト」と称した他メディア展開も計画されており、ゲームサービス開始から数か月の2017年10月からは連続テレビアニメが放送された。またノベライズ化も果たしている。
ゲームでは、プレイヤー(ゲーム中では「姫巫女」という位置付け)は、神牙世界の「戦刻武将」と呼ばれる男性キャラクターたちと共に、当面は「厄魔」(やくま)と呼ばれる悪霊的存在を討伐していく。各武将には所属する軍があり、プレイヤーはいずれかの軍を選んで、その軍の武将とのストーリーを進める(どの軍を選んでも可。選んだ軍の武将によってストーリーは若干変化する)。ストーリーが進み、他軍の武将とも交流が進むと、自軍の枠を超えた自由な編成が出来る。編成が完了したら出陣し、厄魔との戦闘で勝利を目指す。編成は最大で5人まで、戦刻武将は最終的に28人まで増える。
主人公はプレイヤー自身。異世界・神牙に召喚され「姫神子」と呼ばれる存在の力を持っていたことから、闘いの渦中に巻き込まれていく。結月はテレビアニメ版において独自の人物造形が施された主人公である。

開演5分前のアナウンス、劇場での諸注意は豊臣軍、なかなか掛け合いが楽しいので、早めに席に着くことをオススメ。
幕開きは雑踏の音、ヒロイン・結月(水越朝弓)登場、どこにでもいる普通の女の子、どこからともなく声がする「助けて!あなたの力で!!」それからスマホから光が出現、今までのありふれた風景は消え・・・・・・場面は変わり、武将登場!決めセリフ、最初から激しい殺陣の応酬だ。楽曲が流れる、アニメ版がベースなので、よってアニメ版と同じヒロインが設定されている。しょっぱなの殺陣はテンションが上がる、アップテンポに照明やフォーメーションが変わる、そんな最中にヒロインが・・・・・・眼前で武将が戦っている、驚愕、まさに「ここはどこ?私は・・・・・?」な状態、そしてあれよあれよという間に、ヒロインは織田軍に連れ去られてしまう。

実は展開はかなり異なる。時折登場するイマリ(声:藤原夏海)がなんとも可愛らしい。またヒロインが大事な大事なスマホを失くしてしまうが、武将たちはもちろんスマホを知らないし、見たこともない。彼女のためにスマホを探すエピソード、なんとも可愛い感じであるが、ここはストーリーのキーになる。結局、スマホはどうなったかは・・・・・劇場で!

ストーリー展開もさることながら、それぞれの武将の思惑や感情、行動、どの武将も実直で善人。そして各武将、ヒロイン・結月が気になる様子。そしてヒロインの血には強さと癒しを与える不思議な力が備わっている、という設定、このヒロインをめぐっての織田軍、豊臣軍、上杉軍の動きとそれぞれが持つ感情と事情と、これが入り乱れつつ、これらがクライマックスに向かって『結集』し、盛り上がっていく。そして「厄魔」の強大な力が!ラスト近く、戦いから目が離せない!

赤澤燈の豊臣秀吉は軽妙で野心家という役どころを軽やかな身のこなしで演じる。対する織田信長演じる久保田秀敏は信長らしいカリスマ性を漂わせて臣下たちを統率する。上杉景勝の優しさ、結月とのやり取りはほっこりする。上杉謙信役の前山剛久、景勝に対して厳しいがその奥底は優しさに溢れているし、前田利家役の山本一慶の槍さばき、男気、キップがよく清々しさも感じる。その他、森蘭丸の信長への忠誠心、豪快な柴田勝家など、キャラ設定もわかりやすく、作品を知らなくてもすんなり入っていける。上演時間は約2時間のノンストップの1幕物。また、時折、歌も入り、エンターテイメント性もバッチリ、華やかでくるくると変わる照明に、凝った映像、ゲームっぽさもあり、それでいて映像演出に頼り切ることなく、アナログで見せるところも工夫されている。またアンサンブル陣の活躍、彼らの身体能力も見所だ。
原作がゲームなので、様々な物語が紡げるというのが、こういった作品の利点。続きがあるなら、観たいと思わせてくれる舞台に仕上がった。

なお、ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは豊臣秀吉 役の赤澤燈、織田信長 役の久保田秀敏、上杉謙信 役の前山剛久、前田利家役の山本一慶、上杉景勝 役の荒牧慶彦。
赤澤燈は「荒牧(慶彦)と(山本)一慶がゲーム、アプリの声をやってるのは知っていたのと、プライベートではよく遊んでいたので、この2人と(舞台が)できるのは嬉しい」と語り、織田信長役の久保田秀敏も「ここにいるみんなは他の作品でもご一緒しているのと、また、織田信長という役をいただけて嬉しい」とコメント。豊臣秀吉も織田信長、どちらも戦国時代の名だたる武将だ。前田剛久は「放送しているアニメもみていました」と語る。山本一慶は「アプリ、アニメと声をやらせていただきまして、そこで壁がありましたが、一つ一つ乗り越えて、芝居の方も同役で、アプリ、ゲームを踏まえて!」とコメント。声をあてるのと舞台上で役を演じることの違い、ここは役者として思案のしどころ。荒牧慶彦は「初めての声のお仕事」と言い、舞台に関しては「信頼の置ける仲間が集まった、楽しんでいただけると嬉しい」と語る。演じるキャラクターについては山本一慶は「前田利家はちょっと抜けてるところもある」と評したが、戦場へは誰よりも先に飛び込んでいく。長い槍を華麗にさばいて役創りの成果を見せた。荒牧慶彦は「笑顔を見せないキャラクター」と語る。声だけで演じるのはなかなか大変な感じだが舞台上だと「感情のない人になってしまう」と役の難しさを吐露する。寡黙で真面目な役どころだが、結月に対して少しずつ心を開いていくところは見所ポイント。そしてアプリ、ゲームに引き続き同役を演じる山本一慶と荒牧慶彦は「ゲーム、アニメに携わってきたからこそ」と語り、さらに「舞台は人間が演じることによってどう魅力的になるのか、ゲームやアニメでは見られない新たな魅力を」という。ゲーム、アニメを体験しているファンなら、ここは要チェックポイント。久保田秀敏は「威厳のある役で信長として引っ張っていく・・・・・・ゲームやアニメは平面、キャラクターはどういう思いをしているのか・・・・・・奥にある繊細な描写を!」2次元と3次元、大きな違い、3次元になれば、心の機微を舞台らしい表現で見せなければならない。見所に関して赤澤燈は「場当たりをやってみて・・・・・照明がめちゃめちゃ!ド派手!印象的!」と語ったが、めまぐるしく変わる照明は世界観をより立体的に演出、ここのスタッフワークは是非!久保田秀敏は「誰が主役というわけではなく、みんなが主役」というが、全てのキャラクターに見所があり、各キャラクターの性格や立ち位置が明快。前田剛久は「舞台転換、映像が綺麗」と語るが、満月などは煌々と光り、雰囲気をぐっと盛り上げる。山本一慶は「衣装もきらびやかで〜(しかも)思いっきり戦っています!」とコメント。殺陣やダンスはやはりヴューポイント。荒牧慶彦は「女の子のキャラを通しての各々のキャラクターの魅力を」と語る。ヒロインである結月というキャラクターはテレビアニメ版においての独自の主人公でゲームには存在しない。ヒロインから見たそれぞれのキャラクターはどう映っているのか、そんなところにも注意して観ると面白さや奥深さが倍増する。最後にPR、「すべての人に楽しんでいただけるもの」(荒牧慶彦)、「ゲーム、アニメ、舞台、(同役を演じる)この経験は初めてなので、全力で!」(山本一慶)、「誰が観てもわかり易い、イケメン、いっぱいいます(笑)お気に入りのイケメンを見つけて下さい!」(前田剛久)、「舞台化というのは簡単ではない、舞台上で生きる!」(久保田秀敏)、「ここにいる4人も信頼できるし、チームワークもいいし、全身全霊で作っていけると思います!観てくださる方が笑顔で!」(赤澤燈)と締めて会見は終了した。

【概要】
舞台『戦刻ナイトブラッド』
原作: 『戦刻ナイトブラッド』(オトメイト×KADOKAWA×マーベラス)
演出:小野真一
脚本:登米裕一
日程:8月16日(木)~26日(日)
劇場:天王洲 銀河劇場
出演:
豊臣秀吉 役:赤澤燈
結月役:水越朝弓
竹中半兵衛 役:定本楓馬
黒田官兵衛 役:TAKA

織田信長 役:久保田秀敏
明智光秀 役:松本ひなた
森蘭丸 役:横田龍儀
丹羽長秀 役:萩尾圭志
柴田勝家 役:岸本卓也

上杉謙信 役:前山剛久
直江兼続 役:陳内将

前田利家 役:山本一慶
上杉景勝 役:荒牧慶彦
<アンサンブル>安藤佳祐 泉紫太朗 一之瀬嘉仁 篠崎淳志 寺田遥平 松本直也
<声の出演>石田三成 役:佐々木喜英 イマリ 役:藤原夏海

<2019年1月9日 Blu-ray&DVD発売決定!>

Blu-ray:9800円+税

DVD:8800円+税

<ニコニコ生放送で有料最速ディレイ放送決定!>

配信日時:2018年8月26日(日)22:00〜

チケット販売期間:9月17日(月・祝)23:59まで

タイムシフト視聴期間:9月18日(火)23:59まで

放送場所:ドワンゴ

舞台版公式サイト URL: http://stage.senbura.jp/
舞台公式ツイッター:@senbura_stage

©2017 Marvelous Inc. / KADOKAWA / IDEA FACTORY
©2018 Marvelous Inc.・KADOKAWA・IDEA FACTORY/『戦ブラ』舞台化プロジェクト

文:Hiromi Koh