新国立劇場演劇研修所 公演 朗読劇『ひめゆり』上演

演劇研修所では、毎年夏に過去の歴史に向き合う機会として広島と沖縄をテーマにした朗読劇を上演。
今年 2023年8 月にお届けする朗読劇『ひめゆり』は、実際にひめゆり学徒隊に従軍した方々の手記を、 道場禎一氏と演劇研修所副所長を務める西川信廣氏が構成し、瀬戸口郁氏が朗読劇の形に脚本化した、太 平洋戦争末期沖縄戦ドキュメンタリー・ドラマ。多数の犠牲者を出した沖縄戦の悲劇を決して忘れて はならない、二度とこの惨禍を繰り返してはならない、平和の尊さを叫ばなければという力強いメッセー ジが込められた本作を、2016年の初演以来、演劇研修所では大切に上演し続けている。
「ひめゆり学園」という呼称で親しまれた第一高等女学校と沖縄県女子師範学校は、沖縄本島ほか宮古諸 島や八重島諸島など、周辺地域一帯の女学生にとって憧れの学校でした。教職を志し、厳しい入学試験を 突破した十代の女子生徒たちが、のどかで平和な学園生活から一変、戦争の悲劇に巻き込まれ、戦況が深まるにつれて女学生たちは、学業に勤しむことができず、排水溝整備といった勤労動員、戦 傷者の看護のため陸軍病院へと動員される。砲弾が飛び交う中での水くみや食料調達、重病患者の運 搬の描写は実に生々しく、いかに戦争が恐ろしく不幸をもたらすものかと追体験させられていく。


作品中で繰り返される「命(ヌチ)ドゥ宝(タカラ)」とは、沖縄の言葉で「命こそもっとも大切だ」と いう意味。多くの犠牲者を出した沖縄戦の悲劇を決して忘れてはならない、二度とこの惨禍を繰り返 してはならない、平和の尊さを叫ばなければという力強いメッセージを込めた朗読劇。 人類共通の願いである恒久平和が脅かされ、民間人を含めて多くの方々が犠牲となっている今、この世界 で起きていることに目を背けず、平和への願いをこめて、今こそご覧いただきたい本作を、 新国立劇場演劇研修所第 17 期生と修了生出演者が上演。

物語
南国の太陽が輝く相思樹(ソウシジュ)並木の道。
那覇と首里の間、安里駅近くに
沖縄師範学校女子部
沖縄県立第一高等女学校
―通称「ひめゆり学園」と呼ばれる女学校があった。 女生徒たちは誇り高く、勉学に運動に活気に満ちた学園生活を送っていた。
しかし―昭和20年3月。太平洋戦争の大波は沖縄に押し寄せ、女生徒たちに従軍命令が下される。 「ひめゆり学徒隊」として戦場に送り出された彼女たちは日本の勝利を信じ、野戦病院で献身的な 看護活動に励むが、やがて沖縄は「鉄の暴風」吹き荒れる苛烈な戦場と化していき……

概要
新国立劇場演劇研修所第17期生公演 朗読劇『ひめゆり』
日程・会場:2023年8月10日(木)〜13日(日) 新国立劇場 小劇場
脚本:瀬戸口郁
「私のひめゆり戦記」(宮良ルリ著)「ひめゆりの塔 学徒隊長の手記」(西平英夫著)「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」(仲宗根政善著)より
構成: 道場禎一
構成・演出: 西川信廣(新国立劇場 演劇研修所副所長)
出演: 新国立劇場演劇研修所 第17期生
飯田桃子 小林未来 佐々木優樹 田崎奏太 立川義幸 根岸美利 樋口圭佑
河波哲平(第 13 期修了) 松村こりさ(第 13 期修了) 渡邊清楓(第 14 期修了) 伊海実紗(第 16 期修了) 宮津侑生(第 16 期修了) 米山千陽(第 16 期修了)
演劇研修所長: 宮田慶子
主催・制作: 新国立劇場

公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/play/himeyuri_2023/

舞台撮影:宮川舞子(2022年公演より(第16期生ほか出演))

宣伝美術:荒巻まりの(第8期修了)