2023年7月4日(火)、東京大学駒場キャンパスにて「読む音楽〜ピアソラとタンゴの世界〜」を開催。
主催は東京大学教養学部附属教養教育高度化機構社会連携部門。
東大生×藝大生で作り上げる、朗読×演奏の空間
「読む音楽〜ピアソラとタンゴの世界〜」は、タンゴ、そしてピアソラを愛する東大生・藝大生がタッグを組み、朗読劇と演奏によってその世界を読み解く、新たな切り口のイベントです。タンゴのもつ情念に満ちた世界観を、元来の「踊る」・「聞く」とはまた違った、「読む」という行為を通して感じていただけます。
小説家中山可穂さんによる、哀愁に満ちた美しい物語と、プロとして第一線で活躍する藝大生たちによる演奏をお楽しみください。
1.若い世代にタンゴやピアソラの魅力を伝えたい
現在の日本ではタンゴやピアソラへの世間的な関心は決して高くありません。確かに戦後のブーム以来の根強いファン層は決して消えてはいないとはいえ、特に若い世代の関心がこのまま離れていってしまえば、将来は先細りになってしまうかもしれません。とはいえピアソラ演奏に欠かせないバンドネオンは「悪魔の楽器」と呼ばれるほど演奏難易度が高く、日本国内の演奏者も多くはないため、そうした人々が演奏会に足を運ぶ機会は中々ないのも現状です。そうしたピアソラやタンゴに興味を持ってこなかった若者層をターゲットに、小説という切り口によってその魅力を伝えていくことがこの企画演奏会の狙いです。ピアソラの楽曲を元にした短編をテーマに、朗読会も同時に開催する演奏会とすることによって、初心者でもタンゴの世界に親しみやすくなると考えています。そうして、タンゴ愛好家の方にも、そうでない方にも、タンゴの情念に満ちた雰囲気や、中々触れて来られなかった実演に触れていただきたいと思います。また、このイベントは、「若年層のタンゴ界への取り込み」を目指しているという点でご賛同いただき、日本アルゼンチンタンゴ連盟にご後援をいただいています。
2.2021年・2022年と続いたピアソライヤー
2021年はタンゴの名匠・ピアソラの生誕100周年、続く2022年は没後30年に当たる年であり、数多くの関連イベントが開催されていました。この波に続いて、2023年の7月4日ピアソラの命日にこのイベントを開催し、ピアソラ熱をさらに盛り上げたいと考えています。
3.タンゴを「読む」という目新しさ
タンゴは舞曲であり、楽しみ方には「踊る」・「演奏する」というものが主でしょう。しかし、今回のイベントでは、タンゴの演奏に加えて、タンゴをテーマとした物語を「朗読する」ことで、その魅力を深掘りしていきます。この朗読劇で使用する短編集、ご自身も熱狂的なタンゴ愛好家である中山可穂さんの手がけた『サイゴン・タンゴ・カフェ』は、「ドブレAの悲しみ」などピアソラの数々の名曲から着想を得て作られた短編集です。今回のイベントでは三人の演者による会話式の朗読劇によって、言葉の持つ力を借りて、タンゴ発祥の地であるポカ地区の空気感、さらにはタンゴが持つ官能的で情熱的な世界観を感じ取ることができると思います。
4.大学という環境の特殊性
書店とホールが同じ空間にあり、様々な関心・技能を持った人々が集まる大学という環境だからこそ、「本を読む」と「演奏を聞く」という行為を両立したこの企画を実行することができると考えています。また、若い世代が多く集まる大学という場所だからこそ、新たな若年層の開拓もしやすいと考えています。
5,東京大学・東京藝術大学の交流の機会として
この企画の運営メンバーは東大生と藝大生によって構成されていて、出演者も東大生・藝大生により構成されています。この二つの大学は東京都の国立大学であるという共通点を持つにもかかわらず、交流する機会がそれほど多くなく、今回このようなイベントを開くことにより、今後交流の機会がより広がるきっかけになると考えています。
開催概要
イベント名称:「読む音楽〜ピアソラとタンゴの世界〜」
開催日時:2023年7月4日(木)18:40開場19:00開演
開催場所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール
参加費:無料
6月1日より予約フォーム受付開始
https://x.gd/IBbwq
企画:主題科目全学自由研究ゼミナール「企画を創る〜実践から学ぶ教養としてのアートマネジメント〜」
運営:互日向子・高野愛実・水島愛佳・長谷川志樹
主催:東京大学教養学部附属教養教育高度化機構社会連携部門
朗読劇:中山可穂『サイゴン・タンゴ・カフェ』よりドブレAの悲しみ
曲目:リベルタンゴ、ドプレA の悲しみ、オブリビオン、ブエノスアイレスの冬他
出演者 鈴木崇朗(バンドネオン)
山口絢(ヴァイオリン)
石田千飛世(ピアノ)
長坂美玖(コントラバス)
Webページ:https://x.gd/OKF58
Twitter:https://twitter.com/yomu_ongaku/status/1664225330440327169?s=46&t=ikBLJSaUKT8wA9JnEehoiw
出演者プロフィール
鈴木 崇朗
札幌出身。バンドネオンを小松亮太氏に師事。小松亮太&オルケスタティピカのメンバーとして南米ツアーに参加。単身アルゼンチンに留学し、オスバルド・ モンテス氏、フリオ・パネ氏、ネストル・マルコーニ氏に師事。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)等、ドラマ、アニメの劇中曲の演奏に参加。自身のグループ鈴木崇朗cuartetoを主宰する。現在国内外でのコンサート、レコーディング等で活躍中。東京藝術大学音楽学部楽理科3年。
山口絢
2歳よりヴァイオリンを始める。第27回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール第1位、11回全日本芸術コンクール第2位(最高位)。第24回日本クラシック音楽コンクール第5位。
第69回、70回全日本学生音楽コンクール東京大会入選。「題名のない音楽会」「竜とそばかすの姫」をはじめとするテレビ収録、劇伴収録に参加。
ARKシンフォニエッタメンバー。これまでに澤和樹、山崎貴子、尾池亜美、ジェラール・プーレ各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学音楽学部卒業。
石田千飛世
千葉県出身。4歳よりピアノを、15歳より作曲を学ぶ。
千葉県立薬園台高等学校、東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、現在同大学修士課程作曲専攻1年次在学中。現在、作曲を鈴木純明氏、ピアノを居福健太郎氏に師事。
学内にて2021年、2022年に続けて長谷川良夫賞を、学部卒業時に同声会賞を受賞。2021年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。ピアノでは多数のコンクールで上位入賞経験がある他、オペラ伴奏や歌曲、室内楽にも取り組んでいる。
長坂美玖
愛知県立明和高等学校音楽科を経て東京藝術大学卒業。現在同大学修士課程二年在学中。
第 4 回泉の森コントラバスコンクール第 1 位
第11回秋吉台音楽コンクール弦楽器部門 奨励賞
第1回P-NEXTコントラバスコンクール グランプリ 豊田市長賞
2021、2022 年度宗次エンジェル基金/公益社団法人日本演奏連盟新進演 奏家国内奨学金制度(給付型)奨学生