『未開の議場2023』上演 テーマは「分断と連携」

本作は、架空の国・トメニア共和国からの出稼ぎ労働者が多く住む、架空の町・萩島町のイベントをめぐる、商店街青年部の話し合いの様子を描いた一幕会議劇。
2014年にカムヰヤッセン第10回公演として上演されてから、区民と作る演劇・北区民版や、コロナ禍でのオンライン版等、形を変え何度も再演を重ねてきた本作を、今回は、特定のプロデューサーや単独の主催者を置くことなく、出演俳優自ら主導して、プロデュースし、上演。

昨今の演劇界では、ハラスメント問題に注目が集まっている。他業界に比べて、演劇界はハラスメントが生まれやすい環境だと言われているが、それは、芸術という個人の感性に重点が置かれがちな傾向を持つ業界であるという点に加え、外部から遮断された稽古場では、演出家が、座組の中でヒエラルキーの高い位置に君臨し、作品や創作環境における決定権を独占してしまいがちだからである。今回『未開の議場 2023』では、俳優全員が作品制作の決定権を持つプロデューサーの職を担うことで、従来の中央集権的ではない演劇の作り方を模索していくとのこと。

俳優たちは、それぞれ別の劇団や団体に所属しており、活動ペースが異なることに加え、映像や商業演劇を活動の主軸に置いている俳優、ワークショップ講師を務める俳優等、その活動範囲もまた様々。ワークライフバランスに関しても同様であり、一例として、作品の役の中で「議長」の役割を担う、宍泥美は、昨秋出産をし、子育てと両立させながら、公演の企画会議においても議長を務めている。

本作のテーマは「分断と連携」。在日外国人が多く住む架空の街を舞台に、多文化共生を主題として扱っていく。民族や人種、異文化や国籍の壁は超えられると軽々に宣言するのではなく、自分と他者との間に存在する差異を認め、尊重することを共生への第一歩として捉え、作品全体を包括するコンセプトとして、「ここに、線がある。」を掲げる。また、このテーマとコンセプトを元に、アクセシビリティの向上にも取組んでいく。(耳が聴こえない方に向けた、全ステージ日本語と英語の字幕タブレットの貸し出し、目が見えない方に向けた、上演前の舞台説明と役者紹介、その他、駅からの送迎や、車いす席の確保等。)

演出協力・須貝英より
今回ご縁があって萩島商店街青年部の仲間にしていただくことになりました。僕も俳優をやっているので、この企画にマッチしているのかなあと思ってみたりしています。
 大石さんから引き継ぐ形になりますが、「演出協力」としていただいたのは俳優主導の企画の中で、対等な創作になることを見越してという意図もあって。そうなったらいいなと期しています。
 この時代だからこそのこの企画、是非劇場に足をお運びいただければ幸いです。

あらすじ
トメニア人労働者が多く住む地方都市、幸笠県亀井郡萩島町。
商店街の青年部が主催して「萩島フェスタ」なるお祭りの実行委員会の会議がはじまる。基本的には進行の確認と、拍手の承認くらいで終わるはずだった。が、銭湯の女主人が口にしたタトゥーの入ったトメニア人の入湯拒否が訴訟にまで発展した話題から、各々の委員が抱えるトメニア人との問題が噴出し、会議は思わぬ方向へと走り出すのだった。14人のキャストで送る、一幕会議劇。

概要
公演名:『未開の議場2023』
日程・会場:10月31日〜11月5日 北とぴあ・ペガサスホール

作:北川大輔(カムヰヤッセン)
演出協力:須貝英

出演者:
安藤理樹(PLAT-formance)、石井舞、大塚由祈子(アマヤドリ)、鍛治本大樹(演劇集団キャラメルボックス)、木村聡太、小林春世(演劇集団キャラメルボックス)、コロブチカ、宍泥美(マチルダアパルトマン)、ハマカワフミエ、原啓太、藤田雄気、宮原奨伍(大人の麦茶)、山本沙羅(演劇集団キャラメルボックス)、渡邉とかげ(クロムモリブデン)

公式HP:https://mikainogijo2023.studio.site/home

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