「ブラッククローバー the Stage」が開幕した。23日の昼・夜2公演では生配信も行われる。なお、公演会場では本編DVDの予約販売も実施中。
『ブラッククローバー』(Black Clover)は、田畠裕基原作の日本の漫画作品、略称は「ブラクロ」。2022年1月時点でシリーズの世界累計発行部数は1700万部を突破。
物語で描かれる世界観が説明され、それからオープニング、これがスピーディーで、サクッと『ブラッククローバー』の概略が掴める。アスタ(植田圭輔)とユノ:武子直輝は同じ日に教会に捨てられていた者同士。熱血なアスタとクールに見えるユノ、しかもアスタは魔法が使えない、ユノは魔力が高く自由自在に風を操る「風魔法」の使い手。真逆な2人がこの物語のメインキャラクターだ。アスタは真っ直ぐ、教会でシスターにどストレートに求婚するもフラレる。それを見ていたユノ、シスターは彼に言う「もう少し、アスターと仲良くできないの?」と。アスターは魔法が使えないものの、それを”トレーニング”でカバーすべく腹筋したり。
15歳になった2人、持ち主の魔力を高める”魔導書(グリモワール)”を与えられた二人は、魔法帝直属の魔道士軍団である魔法騎士団の入団試験を受ける。ユノは『金の夜明け』に、アスタはまた入団試験でもどこの団からも手が上がらず、入団不合格になったが、団長のヤミ・スケヒロ(桜庭大翔)に気に入られ、晴れて『黒の暴牛』の一員となった。
まさに「諦めない心」がなせる技。そこで個性的な仲間に出会う。ノエル・シルヴァ(小宮有紗)、育ちの良いお嬢様、だが、劣等感を抱えており、表面上はツンツン。ラック・ボルティア(三井淳平)は平民出身だが、強い魔力を持つ、いつも笑顔、小柄で童顔だが、かなり好戦的。ヤミ・スケヒロ(桜庭大翔)は『黒の暴牛』の団長。筋肉質の大柄、ヘビースモーカー。魔法が使えないのに魔法帝を目指すアスターを気に入り、迎え入れる、漢な男だ。
対するユノが所属する『金の夜明け』、おっとりとしたミモザ・ヴァーミリオン(加藤夕夏)、真面目でエリート意識高いクラウス・リュネット(菊池修司)がいる。アスターとユノはともに「魔法帝」になる第一歩を踏み出す、というのが大体の流れだ。
切磋琢磨し合い、戦う。そこから生まれる友情や絆、そして各キャラクターの成長、気付き。新たな『魔宮(ダンジョン)』が発見され、『黒の暴牛』のアスタ、ノエル、ラック、そして『金色の夜明け』の3名が探索に向かうことに。しかし魔宮は敵国であるダイヤモンド王国との国境近くに存在し、ロータス・フーモルト(萬谷法英)、そして「ダイヤモンド王国の秘密兵器」と呼ばれる魔導戦士マルス(高崎翔太)もまたダンジョンの宝物殿を目指していた。
彼らに立ちはだかる強者、手強いおじさん、「奈落のロータス」の異名を持つロータス・フーモルトに冷徹に見える、やたら強いマルス(高崎翔太)、ラスト近くのバトルは見応えあり。
映像演出、そして布を使った表現、アンサンブル陣の身高い体能力を駆使したアクロバティックな動き、フォーメーションで魔法を表現、こういったところは舞台らしさ。刺さるセリフも多く、「ひとりになんかさせるか!」「俺には仲間がいる」など元気が出る言葉が多い。アニメや原作を知っていれば、ストーリー展開もわかってしまうが、キャストの熱量がハンパなく、観ていて熱くなれる。休憩なしで一気に見せる。東京公演は18日まで。そのあとは神奈川公演、こちらは22〜24日まで。
ゲネプロの前に簡単な会見があった。登壇したのはアスタ役の植田圭輔、ユノ役の武子直輝、ノエル・シルヴァ役の小宮有紗、ヤミ・スケヒロ役の桜庭大翔、マルス役の高崎翔太。
まずは挨拶、それから質疑応答。
劇中の注目ポイントを聞かれた植田は「魔法が全ての世界の中で生身の人間たちがどう舞台上で表現するのかという所ですね。いい意味でお客様の期待を越えつつ、いい意味で裏切りながら、人間が演じるということの意味を出せる様に作り上げていますのでご注目頂けたら」とコメント。桜庭は鍛えあげた自身の筋肉が注目ポイントと語りつつ、キャスト達のビジュアルの完成度の高さに触れ「フィギュアが動いているような完成度!キャラクターがそのまま出てきたような作品になっています!」と興奮気味に語った。
アスタの大剣を使ったアクションや、映像を駆使した魔法表現なども魅力の本作の稽古の様子について聞かれると、植田は自身が他のメンバーより遅れて稽古に合流したことを明かし、「僕の殺陣を入れている日に黒の暴牛メンバーが(自分の)稽古が終わるのを2時間位待ってくれていたんです。とキャスト同士の中の良さが伝わるエピソードを披露。更にアスタが使う大剣については「最初は重すぎて正直振れなかったですが、稽古を通して徐々にアクション出来るようになりました!」と話し、アスタの剣については武子も「マジで剣重すぎるので、終わった後に展示して皆さんに持って頂きたいです。すごいぞこれは!ってなると思うので!」と客席に呼びかけた。
【自分だからこの役の魅力を引き出せたと思う部分は?】という質問では高崎が「今回植田さんと戦う役なのですが、初共演の時も敵役だったんです。あれから10何年経ってまたこうした役を演じるということで、植田さんとのこれまでの信頼関係の中でお芝居やアクションが出来ています。」とコメント。小宮は「黒の暴牛メンバーをはじめ、キャストの皆さんがとても優しく暖かく接してくださるんです。その関係性があるからこそ、劇中でノエルが仲間になっていくシーンでより役に入り込めますし、活かせているなと思います」と語った。桜庭は再び筋肉アピールを入れつつ、「キャラクター毎に鍛える筋肉を変えていまして、ヤミはとにかく腕が太いんです。人間は利き手があるので、僕で言うと右手の方が太いんですが、今回衣装の都合上右手が完全に隠れてしまうんです。なのでヤミを演じている期間は左を鍛えて左右同じくらいの太さにしています!」とストイックなエピソードを明かし、共演者たちを驚かせた。
武子はこれまでの自身のキャリアに触れつつ「ユノは一見クールな中に情熱を感じさせるキャラクターですが、僕はこれまで熱いキャラクターの役を演じることが多かったので、その経験がただクールなだけじゃないユノを演じる上で武器になっているかなと思います」と話し、植田は「フォルムですかね(笑)」と笑いを取りつつ、「僕が惹かれる役は一本筋が通っているというか、決めたことを何があっても曲げないキャラクターなんです。アスタはそこに自分だけじゃなく、周りの人のことも考えられていたり、友との約束があったり、こんなにカッコイイ役は無いなと思っています。この役を自分以外が演じているのが想像出来ないという感覚が、僕がアスタをやる魅力なのかなと思います」と力強く語った。
【自分以外で注目の欲しいキャラクターは?】という質問には高崎が事務所の後輩であるマグナ役の毎熊宏介を挙げ、「漢!という感じで熱量が高いので注目して欲しいです!」とコメント。小宮はミモザを演じる加藤夕夏を選び、「稽古中にプリクラを撮ったりして仲良くなったので、その関係性が出ていたらいいなと思っています!」と語った。
植田は先輩でありながら大らかな雰囲気で見守ってくれるという理由でロータス役の萬谷法英を挙げ、武子はクラウス役の菊池修司について「普通にクラウスという役を演じるとお堅い感じになると思うんですが、彼が演じることで可愛さが出ますし、何より座組の最大のムードメーカーなので注目です!」とコメント。桜庭は「二面性のある結構難しいキャラクターだと思うんですが、狂気の面を出している時は特に見入ってしまいますね。台詞の無い場面もこだわっているので、そちらも観て欲しいです」とラック役の三井淳平について語った。
最後に公演を楽しみにしているファンに向け植田は「こんな素敵な仲間たちに会えるとは思っていませんでした。本当に良いチームワークを保ってここまでこれたと思っています。そうした関係性は舞台上に出ますし、何かあった時もきっと支え合えるし、良いシーンをより良くしていける自信があります。より多くの人にこの作品をお届けできたらと思います」とコメントし、囲み取材は終了となった。
概要
「ブラッククローバー the Stage」
日程・会場:
東京
2023年9月14月(木)~18日(月・祝)シアター1010
神奈川
2023年9月22日(金)~24日(日)KAAT 神奈川芸術劇場
原作:『ブラッククローバー』田畠裕基(集英社ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:伊勢直弘
キャスト:
アスタ:植田圭輔
ユノ:武子直輝
ノエル・シルヴァ:小宮有紗
マグナ・スウィング:毎熊宏介
ラック・ボルティア:三井淳平
ヤミ・スケヒロ:桜庭大翔
ミモザ・ヴァーミリオン:加藤夕夏
クラウス・リュネット:菊池修司
ロータス・フーモルト:萬谷法英
マルス:高崎翔太
殺陣:新田健太(JAE)
舞台監督:川畑信介(obbligato)
美術:濱田真輝
照明:村山寛和(マーキュリー)
音響:田中亮大(Paddy Field)
映像:ワタナベカズキ
衣裳:八重樫伸登
ヘアメイク:松前詠美子
特殊造形:林屋陽二
演出助手:入江浩平
宣伝写真:TOBI(LT Graph)
宣伝美術:大柳玲於(LT Graph)
ロゴデザイン:栗原高明
WEB製作:岡本宏輔
制作:倉重千登世、有賀美幸
主催:「ブラッククローバー the Stage」製作委員会
(エイベックスピクチャーズ/HIKE/キョードーファクトリー/テレビ東京/ぴえろ)
公式サイト:https://bclover-stage.com
公式Twitter: @bclover_st(https://twitter.com/bclover_st)
©田畠裕基/集英社・ブラッククローバーthe Stage製作委員会