事実は小説より奇なり、タイトルの『BARON』は犬の名前、黒いラブラドール犬。家族同然のバロンに起こった本当のお話。ある日、具合が悪くなったバロン、もちろん、獣医のところに連れていくも…。
20年ほど前に1つの裁判が終結した。それは、業界に蔓延していた悪質な医療詐欺を認める画期的な判決として世に大きく報道をされたが原告家族の顔は晴れない。例え勝訴を得たとはいえ失われた家族の命は戻らず、共に過ごしてきた幸せな日々がもう戻ることはない。
今でこそインターネットが発達をし、片手にスマートフォンを持つ人々は簡単に情報を得ることが出来る。しかし、当時は多くの功罪を残すことになる某掲示板とその後いくつかのヒット書籍発刊へと繋がった日記的アプリケーション、そして今のSNSに繋がるコミュニティサイトが動き始めた頃、今では当たり 前のセカンドオピニオンなども極少数の中で使われる文言だった。
そんな中で、彼らはどのように出会いそして別れを迎えることになったのか。ある家族の愛と悲しみと 戦いの物語。
バロン事件とは
ペットに対する医療詐欺事件として争われた『バロン事件』 去勢手術を受けたラブラドールがその翌年にセルトリ細胞種(睾丸の癌)を発症し、死亡したことに対するこの裁判は当時の獣医師界に蔓延していた闇を暴き出す結果となり4年の法廷闘争を経て2007年ペット裁判としては異例の100万円を超える賠償判決と共にセンセーショナルに報道された。
あらすじ
谷口たかしは50を少し越えたばかりの経営者、経営者とは言っても会社は休業状態。40才を迎えバブルの足音が聞こえる好景気の中で一念発起と会社を起こした、サラリーマン生活との二足の草鞋で昼夜 を問わずに働いてやっと軌道に乗ったのも束の間、息が出来ないほどの胸の苦しみを感じて気づいた時に は病院のベットの上だった。ビニールに囲まれた集中治療室を経て何とか一命を取り留めるが、それこそ 仕事どころではない、先ずは日常生活を何とか送れるように懸命のリハビリを続けるが、大学生になった 長女は変わらぬ優等生だが、次女はそんな姿になった自分を馬鹿にし、長男は家族が寝静まる夜になると 遊びに出るようになってしまった。
そんな前途多難なたかしを支えるのは献身的に看病をしつつ、バラバラになりそうな家族を必死に繋ぎとめる妻みなこと、朝夕のリハビリのお供として新しい家族になった黒いラブラドール犬、バロンだった。
概要
『舞台【BARON】』
日程・会場:2023年12月23日 (土) ~ 12月28日(木) サンモールスタジオ
作:七葉玲
演出:鳳恵弥
出演:
鳳恵弥、土田卓、亀吉、久保沙由李
西雲アキラ、新葉尚、猿木清郷、佐藤祐亮
片岡断行、高橋千尋、森元夏美、ランディ井上
神河怜奈、一之瀬岳、若宮恭平、乙花美里
西尾莉奈、尾島穂香
問い合わせ:https://x.com/stage_ATZ