19世紀末の長崎を舞台に、アメリカ海軍士官の夫を一途に待ち続けた蝶々さんの物語「蝶々夫人」。プッチーニの甘美な音楽に彩られ、120年にわたり世界中で愛されるドラマティックな悲劇。
いまや世界水準のプロダクションで毎年注目を集める兵庫県立芸術文化センターの夏のオペラ、その最初の作品として、`06年に佐渡裕芸術監督の強い思い入れを持って、故栗山昌良氏の演出で上演されたのがこの「蝶々夫人」。全8回の公演は喝采に包まれ、好評を受けて`08年春に再演も果たした。
さらにそれから16年。開館20周年を間近に控えた`24年、プロデュースオペラの19作目として、佐渡芸術監督の強い思い入れもあって再び取り上げられることが決まったが、残念ながら公演準備のさなか、演出家の栗山昌良は`23年6月に97歳で永眠。半世紀のあいだ、日本のオペラ界を牽引し、音楽の中の“ドラマ”を追求し続けた栗山氏。今回はそのレガシーを継ぎ、初演時に演出補を務めた飯塚励生氏が再演演出を手がける。ニューヨーク出身、メトロポリタン歌劇場の演出課でも活躍した飯塚氏は、「ニューヨークで色々な『蝶々夫人』の上演を観たが、栗山演出はそれらをしのぐほど素晴らしい、世界的に評価されるべきプロダクション。真摯に引き継ぎたい」とコメント。
2024年、第一線で活躍する歌手たちを迎えた改訂新制作版「蝶々夫人」の幕が上がる。
ヒロイン蝶々さんをダブルキャストで務めるのは、躍進が続く二人の若きスター・ソプラノ、迫田美帆と高野百合絵!そのほか日本を代表する歌手が揃い、この美しい感動作に臨む。そのほか、飛躍的に活躍の幅を広げる歌手や、第一線での実績豊富な歌手たちが揃った。誰しもの心に深く響く永遠の感動作を、満を持して上演。
作品について
2006年、感動はここから始まった
兵庫県立芸術文化センターの開館間もない2006年7月に初演されたプロデュースオペラ「蝶々夫人」。当初6回の公演チケットを発売しましたが、反響が反響を呼び、追加公演を決定。合計で8回の公演は喝采に沸き、大きな話題となりました。
もとよりこの「蝶々夫人」は、佐渡裕芸術監督が2005年の開館前からプロデュースオペラの上演を構想する中で、“夏のオペラ”の船出に相応しい名作を、それも自身が若き日より薫陶を受けた演出家・栗山昌良氏の演出で上演したいと考えて選定した作品でした。それだけに、佐渡芸術監督をはじめとする出演者・スタッフの熱意は強く、さらにそれがお客様に呼応して大きな感動の渦を生むこととなります。公演回数や入場者数だけではなく、このときに生まれた高い熱量こそが、センターにおけるその後のオペラ公演の特色となっていきました。
「蝶々夫人」は、まさに“プロデュースオペラの原点”というべき作品なのです。
概要
日程会場:2024年7月12日(金)〜21日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
指揮:佐渡 裕
原演出:栗山昌良
再演演出:飯塚励生
出演:(ダブルキャスト)
蝶々さん: 迫田美帆、高野百合絵
スズキ: 林 美智子、清水華澄
B.F.ピンカートン: ノーマン・レインハート、笛田博昭
シャープレス: エドワード・パークス、高田智宏
ゴロー: 清原邦仁、高橋 淳
ヤマドリ: 晴 雅彦、町 英和
ボンゾ: 斉木健詞、伊藤貴之
ケイト・ピンカートン: キャロリン・スプルール(両組)
役人: 的場正剛、湯浅貴斗
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター(制作)
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラについては、情報サイト<ミーツ・オペラ>を。
https://gcenter-hyogo.jp/meetsopera/
「蝶々夫人」公演の特設ウェブサイトは、2024年1月に公開予定。