劇団かもめんたるの『ゾンビいまさら』が2月7日より開幕。
影絵のシルエット、子供の声、「なんでおばあちゃんが……いい子にするから…」不気味な出だし。場面は一転して、普通な日常、掃除している。「可愛い人だったらいいですね」男3人、誰かを待っている様子。1人、騒々しい人物が、彼をさして「これだから東京の人は〜」、特になんということもない会話。ここはとある田舎町、住民が誰もが顔みしり、といった感じ。
そこへ!女性が抱き抱えられて!起き上がり、恐縮。「田舎ですから」と東京からきた男。わちゃわちゃと、町長や社長(と言っても小さい会社)。山間の町、人手不足、よくある話。若くはない、訳ありな風情だが、人は良さそうな女性。皆、快く彼女を迎える。
彼女の名前は百合子、年齢46歳、バツイチ。百合子の独白「こういう人たちは何度も見てきた」と。町の生活環境にも馴染んできた百合子。そうこうしているうちに百合子に好きな男性が…相手もまんざらでもなく、2人は意気投合し、山歩きに出たり。男は猟師、いかにも朴訥な雰囲気の大柄な優しげな感じ。
「私たちは結ばれた」と言い、彼のことを「自分のペースで生きる人」と。だが…「幸せは長くは続かなかった」「過去が追いかけてきた」と百合子。
1人の若い女性が町にやってくる。彼女は百合子の過去を知っており。百合子を追いかけていた。町長に言う「あの女の正体、知ってる?」と荒げた声で。
「20年前のゾンビ!」と言い動画を見せる、驚く一同。20年前のことを蒸し返される。20年前のゾンビとの戦い、それが彼女を苦しめていた…。百合子はどうするのか、町の人々は?というのが大体の流れ。
百合子が町にやってきたとき、人々は百合子の過去や生い立ちを知らなかった。よって目の前にいる”百合子”そのものを見ていた。ところが彼女の過去や生い立ちという”情報”が入ると、百合子そのものが見えなくなる。彼女はそれをきっと何度も経験してきたのだろうか、過去から逃げる、自分そのものを見てもらえるには、”過去を断ち切る”、”過去がない”ところへエスケープしなければならない。
何かが大きな事件が起こるわけではない。20年も前の過去、だから『いまさら』、その『いまさら』なことによって苦しむ、苦しめられる。百合子の周囲にいる人々はごく普通。そんな普通の人々がわちゃわちゃとああでもない、こうでもないと右往左往する様は可笑しみも漂う。”ゾンビ”という突拍子もない設定。
彼女の過去を知る若い女性はどこか正義を振りかざしているようにも見える。最終的に百合子が選んだ道は?そこは劇場で。
チームワークの良い座組で物語はテンポよく進んでいく。ちょっとした挙動が面白可笑しく、所々ついつい笑ってしまったり。上演時間はおよそ90分。
あらすじ
20年前にゾンビウィルスとの闘いを終えた人類。
ゾンビも今は昔になった平和な時代、とある田舎町に百合子という女性がやってきた。
百合子が土地に馴染みはじめたころに、百合子の正体を知らないのかと問う若い女。
百合子は20年前のゾンビとの戦いで、ジャンヌ・ダルクとあがめられた女戦士であった。
彼女が逃げているのはゾンビからなのか?それとも…。
概要
劇団かもめんたる第13回公演『ゾンビいまさら』
日程・会場:2024年2月7日(水)~12日(月・祝) あうるすぽっと
作・演出:岩崎う大(かもめんたる)
出演
かもめんたる(岩崎う大・槙尾ユウスケ)
もりももこ・土屋翔・野口詩央(以上劇団かもめんたる)
猫背椿
平岡(キャロパン)
きったん(キャロパン)
高畑裕太(ハイワイヤ)
成松修
問い合わせ:サンミュージック プロジェクトGET 03-3355-1664
協力:地球儀 大人計画 スペースクラフト・エージェンシーSLUSH-PILE.
制作協力:富田コーポレーション(木村香波子・小川友紀子・長谷川まや)
主催:サンミュージックプロダクション
公式サイト:https://gekikamogekikamo.wixsite.com/home