新木宏典主演 舞台「モノノ怪〜座敷童子〜」がIMM THEATERにて開幕した。
本作は、2007年7月よりフジテレビ「ノイタミナ」枠ほかにて放送された『モノノ怪』の舞台版。第一弾は、作品の原点となった同枠放送の『怪 ~ayakashi~』シリーズの1エピソード「化猫」を舞台化。第二弾となる本作では、アニメ『モノノ怪』の第1・2話を飾った「座敷童子」が満を持して舞台化。
公演は3月21日から24日まで東京・IMM THEATER、29日から31日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、4月4日から7日までIMM THEATERにて。主人公・薬売り役は、新木宏典が再び演じる。
最初に徳次(西銘俊、白又敦(Wキャスト))と久代(新原ミナミ)が登場。「とうざい‐とうざい(東西東西)」で始まる。口上、興行物などで口上を述べるときに、また、ざわめきをしずめるときなどに言う語。
ここで作品世界の概略を掴むことができる。「隅から隅まで、ずずずいーっと」、観客に敬意を表する「東西東西」に始まり、「隅から隅まで ずずずい~っと希い(こいねがい)上げ奉りまする」と結ぶのが定型
雨の音、三味線の調べ、少年徳次(大平峻也)が客席通路から登場する。主要キャラクター登場、若い女性、顔が見えないようにしている。「私、追われているんです」ここの老女将・久代、「出てっておくれ」「どうしても産みたいんです」女将はある部屋へ女性を案内、その一部始終を薬売り(新木宏典)が眺めている。「あの部屋」と呟く薬売り。
そしてオープニング、ここで登場するキャラクターの紹介。それから物語が動き出す。部屋に通された身重の女性、名前は志乃(岡田夢以)、夢を見る。ある家で奉公していたが、そこの若旦那に見初められ、彼の子供を身籠る。どうしても産みたいと思う志乃だが、子供が男子だったらお家騒動になりかねない。どうしても産みたいがために家から逃げてきたのだった。薬売りは呟く「いる…」。
そこへ!刺客が!命乞いをする志乃だが、刺客は容赦せず、刀を振り下ろそうとした、その時!刺客が!大変なことに!志乃は助かる。
アニメを視聴していたなら、物語の展開や結末は先刻承知。アニメと同じく「前編」と「後編」、映像演出の色彩が美しく、作品世界を創造する。
タイトルの「座敷童子」、妖怪で座敷または蔵に住む神と言われている。ここでも広い部屋にいるが、この部屋には悲しい過去があり、それで座敷童子がここにいる。身重の志乃は、子供を産みたい、そして母性も芽生えている。志乃は過去の幻影を見、この宿で起こったこと、自分の身に起こったことを悟る。薬売りは座敷童子の「理(ことわり)」を探り出そうとする。
アナログ演出と映像の融合、赤い布で様々な事象を表現、そして映像も過剰にはならず、物語の世界観と2.5次元らしいアニメ感も醸し出す。それぞれのキャラクターのバックボーンも細かく描き、そして部屋に隠された切ない秘密、派手な立ち回りはない。勧善懲悪のような結末ではなく、どこかにほのかな救いが感じられる終わり方。座敷童子は妖怪ではあるが、「悪」ではない。彼らがなぜ、座敷童子になったのかが泣ける。
ノンストップのおよそ1時間30分。アニメを視聴していなくても十分に「モノノ怪」の世界を堪能できる。東京公演の後は大阪、そして4月4日再び東京公演。なお、配信も用意、詳しくは公式サイトを。
ゲネプロ前に簡単な会見が行われた。登壇したのは、新木宏典(薬売り)、岡田夢以(志乃)、西銘俊(徳次)、大平峻也(少年徳次)、演出・映像のヨリコジュン、そして原作・アニメ監督の中村健治。
中村健治は「舞台が作られていく段階を拝見しまして…アニメーションで描かれていなかったことはたくさんありました。子供たちの描写が丸っと一括りではなく、一人一人深堀されて、情報もすごく増えている、嬉しい、ありがたい」と稽古場に行った時のことを語る。ヨリコジュンは「徳次の過去を作らせていただきました」とコメント。アニメを視聴していたファンなら、ここの設定は必見。
中村健治
新木は「パワーアップしたところはチームワーク。2.5次元はキャスト変更がすごく多い。キャラクターが変わるとキャストも変わりますが、今回は続投しているキャストは前回演じたキャラクターと違う役を演じます。また初参加キャストも加わって人数もパワーアップしています。2回目、届けるにあたってプラスに働いていると思います」と語る。
岡田夢以は「客席を使う演出が増えた」とコメント、「没入感が高まる」、劇場全体が作品世界に。大平峻也は「全てがパワーアップ、最後のシーンは何度観ても心動かされる、すごいんですよ」と太鼓判。
西銘俊は「徳次がバカだなと思う瞬間があってより徳次を面白く、観てる人に愛されるような徳次に仕上がっていると思います」と語る。ヨリコジュンは第二弾が決まった時、すぐに新木と会ったという。「難しいねーと。どこが変わったかはあえて言わない、しっかり話して稽古場にのぞみました。稽古の3日目に監督が来て『こういうのやりたかったんだよ』とボソッと…自信が持てました」といい、中村監督も「正直、”やるでしょ”っていう感じだった、第一弾で終わるのは勿体なさすぎ。続投キャストさん、納得、嬉しかった。舞台を観てアニメの演出を勉強してた時期に作ったのがこの作品。先祖返りです(笑)。稽古場にお伺いした時にテンポが早くって迷いが減ってる感じがしました。練習なのに本番観てる感じ、観劇感『観てる!』感じが(笑)」
また徳次役がWキャスト、新木は「観て感想を言ってくれる、Wキャストだからできること。西銘さんは初参戦、白又敦と二人で役を作ってて仲良く高めあってた。また前回キャストが初参加キャストを引っ張ってくれている、プラスに働いてる」と語る。西銘はWキャスト自体が初体験。「切磋琢磨できた、稽古中からどんどんキャラになれた」とコメント。新木は「アニメはカット割があるのでフューチャーしたいキャラを絞れるけど、舞台はそれはできない。全てのキャストが心を繋いで反応している姿はアニメでは見えない、リアクションをしているキャラ以外のキャラを見れるのが舞台、目がいくつあっても足りない、それが演劇の力」と語る。岡田も「席によって風景が違う。劇場全体がフィールドになる、良い意味の緊張感も」とコメント。舞台ならではの「モノノ怪」、体感。
概要
舞台「モノノ怪~座敷童子~」
2024年3月21日(木)~24日(日)
東京都 IMM THEATER
2024年3月29日(金)~31日(日)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
2024年4月4日(木)~7日(日)
東京都 IMM THEATER
原作:モノノ怪「座敷童子」
脚本:高橋郁子
演出・映像:ヨリコジュン
キャスト
薬売り:新木宏典
志乃:岡田夢以
徳次:西銘俊、白又敦(Wキャスト)
少年徳次:大平峻也
久代:新原ミナミ
フク:加藤里保菜
ボボ:中村哲人
ステ:田上真里奈
トメ吉:西洋亮
イチ / 直助:高山孟久
若き久代:井筒しま
ヤス:波多野比奈
フジ:藤原ひとみ
モト:長島静莉奈
公式サイト:https://officeendless.com/sp/mononoke_stage/
(c)舞台『モノノ怪~座敷童子~』製作委員会