態変が大阪・心斎橋にあります小劇場のメッカ、ウイングフィールド主催の再演大博覧会に、『ヴォイツェク woyzeck』という作品の再演で参加、公演は6月。
本作品は、ドイツの劇作家ゲオルク・ビュヒナーが1835年頃に執筆した実在の事件を下敷きとした未完の戯曲。
「ヴォイツェク」は、19世紀のドイツを生きた下級軍人で、情婦と子供を養う為に上官である大尉の髭剃りや学者医の人体実験の被験者となり、エンドウ豆をひたすら食べ続ける等の人体実験を受け日銭を稼ぐが、情婦であるマリーが不倫をしたことにより、奇妙な声に導かれマリーを刺殺する、という内容の不条理劇のはしりとも言える作品。この作品を、態変主宰・演出の金滿里による解釈も新たに、再々演として態変ならではのセリフを使用しない抽象身体表現で上演。
再演大博覧会では関西小劇場演劇の過去の名作をブラッシュアップして上演。再演大博覧會は、スランプ状態にある劇団を救う目的で始まり、21年まで続いた。今回は、新型コロナ禍による観客減で苦境に立たされている小劇場演劇界の再出発の機会として開催される。
作品について
『ヴォイツェク』(Woyzeck)はドイツの作家ゲオルク・ビュヒナー(Karl Georg Büchner 1813-1837)による未完の戯曲。実在の殺人事件の精神鑑定記録をもとに 1835 年頃に書かれたが、著者が急 逝したため、発表の機会もなく草稿のままで埋もれていた。
作者の死後 40 年を経てカール・エミール・フランツォースによりほとんど判読不能だった草稿が化学処理にて復元され日の目を見ることになった。草稿には執筆時期の異なる断片的な 30 の場面が描か れており、場面配列も不明である。
この作品は、その内容から、現代不条理演劇の祖と位置づけられている。通常の台詞芝居のみならず、オペラ、コンテンポラリーダンス、音楽劇など、様々な形態で上演されてきた。
事件について
1821年に現・ドイツのライプツィヒでおこったヨハン・クリスティアン・ヴォイツェク(作中では フランツ・ヴォイツェク)による殺人事件である。41 歳の下級軍人であったヴォイツェクは、6 月 21 日の夜、5 歳年上の愛人ヨハンナ・ヴォースト(作中ではマリー)が他の軍人と密会したことから 彼女と諍いを起こし、持っていた短刀で彼女を刺殺してその晩のうちに逮捕された。しかし逮捕の前 後の言動などからヴォイツェクの精神異常の疑いが持たれ、2 年にわたる拘留の間に当時としては異 例なほど詳細な精神鑑定書が作成された。史実のヴォイツェクはその後犯罪責任能力が認められ死刑 となった。
あらすじ
貧しい下級軍人ヴォイツェクには以前から「内なる奇妙な声」が聴こえていた。彼は副業で大尉の髭を剃らされたり軍医の実験動物となって豆だけを食べさせられたりと、侮辱を受けながら生計を立 てている。そんなある日、情婦のマリーが鼓手⻑と浮気していることを知り、彼の精神は深い闇へと 崩壊していく。やがて「奇妙な声」に突き動かされ、マリーの殺害におよぶ。
概要
日程・会場:2024年6月7日〜9日 ウイングフィールド
原作:ゲオルク・ビュヒナー(Karl Georg Büchner 1813-1837)
演出・芸術監督:金滿里
音楽:かつふじたまこ
出演 :金滿里 小泉ゆうすけ 下村雅哉 渡辺綾乃 井尻和美 池田勇人 向井望
舞台監督・美術 :吉田顕(Yoshida Studio)
照明:RIMA
音響:勝藤珠子(月猫音市場)
メイク:倉橋かおり
衣裳:坂本式子(mainichi_no_fuku)
主催 態変
企画・製作 態変 office イマージュ
公式サイト:http://taihen.o.oo7.jp