小説家デビュー30周年を迎えた京極夏彦。歌舞伎舞台化のために書き下ろした新作小説『狐花 葉不見冥府路行』(きつねばな はもみずにあのよのみちゆき)が7月26 日刊行。
歌舞伎公演の出演は松本幸四郎、中村勘九郎、中村七之助という豪華な面々。歌舞伎座にて「八月納涼歌舞伎」の第三部として8月4日から上演。
今回の小説は、歌舞伎化のために書き下ろされた新作ミステリ。舞台化を念頭に構想され、紡がれた物語は、美しいビジュアルや登場人物たちの掛け合いが目前に立ち現れてくるようで、これまでの京極作品の面白さはもちろんのこと、新しい試みによる魅力に溢れた作品。出演は松本幸四郎、中村勘九郎、中村七之助 など、歌舞伎座にて上演の「八月納涼歌舞伎」の第三部として8月4日から上演
コメント
小説家三十年の節目の機にお声掛け戴き、斯様な仕儀と相成りました。
文字のみを扱い用い馬齢を重ねて参りましたが、此度は黒、柿、萌黄の大舞台。文字ならぬ名優の方々の身体に意を委ねまする怪しの狂言。
まるで作法も文法も違いますれば、果たして如何なる仕上がりとなりますものか、身の引き締まる思いに御座います。
何卒、心静かにご高覧戴きまするよう、伏して御願い上げ奉ります。
――京極夏彦
作品について
京極夏彦のデビュー作『姑獲鳥の夏』の主人公・中禅寺秋彦の曾祖父であり、武蔵晴明神社の宮守である中禪寺洲齋(ちゅうぜんじじゅうさい)が今回の物語の主人公です。作事奉行・上月監物の屋敷の周囲で巻き起こる幽霊騒動に、中禪寺洲齋は”憑き物落とし”で解決を試みますが、この騒動の裏にある、思いもよらぬ真相が明らかになっていきます。この中禪寺洲齋は、6月19日にKADOKAWAから発売予定の小説『了巷説百物語』(おわりのこうせつひゃくものがたり)にも主要人物として登場する。
小説『狐花 葉不見冥府路行』あらすじ
時は江戸。作事奉行・上月監物(こうづきけんもつ)の一人娘は、母が眠る墓所に現れたという、ある男を探していた。彼岸花を深紅に染め付けた着物を纏い、身も凍るほど美しい顔のその青年は、”この世に居るはずのない男”だった――。一方、青年の出現を知った監物は、この騒動が過去の悪事と関りがあるのではと警戒する。いくつもの謎をはらむ幽霊事件を解き明かすべく、”憑き物落とし”を行う武蔵晴明神社の宮守・中禪寺洲齋が監物の屋敷に招かれる。謎に秘された哀しき真実とは? 歌舞伎の舞台化のために書き下ろされた、長編ミステリ。
〈巷説百物語〉シリーズ完結巻、『了巷説百物語』について
角川書店公式サイト:https://www.kadokawa.co.jp