今年、芸能生活50周年を迎える中村雅俊の記念公演が好評上演中だ。
長きにわたり第一線を走り続ける唯一無二のアーティスト、中村雅俊。
昭和歌謡音楽劇とコンサートの二本立ての構成。
第1部の昭和歌謡音楽劇『どこへ時が流れても〜俺たちのジュークボックス〜』中村雅俊の楽曲と同名タイトル、新作音楽劇となっている。
物語の場所は宮城県のとある田舎町。海岸近くにある「スターリバー・カフェ」は、50年前に星川誠(中村雅俊)の両親が開いたカフェ&バー。店内はお洒落なレトロなアメリカンテイストな店。30年前に誠はこの店を両親から引き継いだ。だが、宮城といえば…東日本大震災で大いなる被害を受けた地域、マグニチュード 9.0、死者10,569名(令和4年9月末現在)、行方不明者は1,215名(令和4年9月末現在)、この数字は全国の被害者総数の約5割に相当する。住家の被害は全壊は83,005棟、半壊は155,130棟(令和4年9月末現在)、全国の被害総数の約6割に相当する。この「スターリバー・カフェ」も震災で流され、ジュークボックスだけが残った。誠は10年前に店を再建、このジュークボックスを置く。そして誠には、愛妻・淑子(田中美佐子)がいたが、震災で行方不明。誠は今も妻を探し続けている。
実際にもそのような人はおり、妻を探すために潜水士の資格を取ったという話も聞く。誠も、そんな”夫”の1人だ。店には30年来の看板娘の田中小百合(久本雅美)が元気に働いている。「BIGになる」と言っては4年ごとに戻ってくる徳川竜馬(コロッケ)、東京に憧れる蒲鉾工場勤務の青年・添島裕太(林翔太)、その恋人で町おこしのNPOで働く三崎麻衣(土生瑞穂)、単身赴任でこの町にやってきたスーパーの店長・一ノ瀬健司(松田悟志)この店のアットホームな雰囲気、誠や小百合の気さくな人柄も相まって皆、ここに集う。
物語の中心は誠だが、彼を周囲の人々のサイドストーリーも見逃せない。竜馬の元恋人・松村七海(小川菜摘)が竜馬を追って東京からやってきた。未練…ではなく、貸した金を取り返すため。東京へいきたい裕太、だが、麻衣は…。
小百合は30年もこの店にいるが、それは誠への片思い、ちょっと切ない。そんなどこにでもいそうな普通の人々の日々、そんな折に古いジュークボックスが突然、音楽を奏でる、ジュークボックスに宿る幽霊「JB」(玉野和紀)の仕業。さて、人々は、50年を迎える「スターリバー・カフェ」は?というのが大体の流れ。
昭和歌謡音楽劇と銘打っているので懐かしの歌謡曲が!その場面にフィットする楽曲が流れ、キャストが歌う。シニア世代には懐かしいアイドルソングなど、思わず口ずさみたくなる。時間は行きつ戻りつ、開店当初の誠・淑子のラブラブぶり、中村雅俊と田中美佐子はドラマでも夫婦役で共演した仲、息もぴったり。
久本雅美の衣装が!「この格好で?働くの?」という野暮なツッコミは無しで(笑)、コロッケの衣装も、「それ、普段着??」と言いたくなるような派手さ。裕太は奥手で応援したくなるキャラ、対する麻衣は元気で明るい、町のために何かしたいという気持ち、現在の宮城県、復興は進んではいるものの、震災で傷ついた人々のケアなど、現在進行形。単身赴任でやってきた一ノ瀬、町に来たばかりだが、早速「スターリバー・カフェ」の常連に。
宮城の現実とオーバーラップしていく物語。時折、淑子や「JB」が登場し、人々を温かく見守る。ラストは…もちろん湿っぽくならないので!50周年記念公演にふさわしい内容、第一部は約1時間45分。
休憩を挟んで第二部はコンサート。そして……出演者にコロッケがいるということは…中学生のとき、コロッケは中村雅俊の大ファンだったそう。その『愛』が!炸裂するので(笑)。お馴染みの曲が次々と!50周年にふさわしいコンサート、曲を聴けば、それこそ青春時代が蘇る、カーテンコールは観客総立ちで大盛り上がり。公演は18日まで。
概要
公演名:『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』
日程・会場:2024年6月2日(日)〜18日(火) 明治座
〈第1部〉
どこへ時が流れても〜俺たちのジュークボックス〜
宮城県のとある田舎町。海岸近くにある「スターリバー・カフェ」は、50年前に星川誠の両親が開いたカフェ&バーである。
店は小綺麗でアメリカンレトロな内装なのだが、古くて汚いジュークボックスが異彩を放っている。何故なら東日本大震災で店は流され、ジュークボックスだけが形をとどめていたからだ。
10年前、誠は店を再建する際、このジュークボックスを店内に置こうと決めた。
そして2024年のある日、動かないはずのジュークボックスが音楽を鳴らし始める…。
構成・演出・振付:玉野和紀
脚本:堤 泰之
出演:中村雅俊 コロッケ 久本雅美
林 翔太 土生瑞穂/小川菜摘/松田悟志/玉野和紀/田中美佐子(特別出演)
小林美江 我 膳導 兵頭有紀 松島 蘭 千葉さなえ 神谷玲花 小山侑紀 西田雄紀 千葉のぶひろ
〈第2部〉
MASATOSHI NAKAMURA LIVE -look back with smile , look ahead with pride.-
「ふれあい」「俺たちの旅」「恋人も濡れる街角」をはじめとしたヒット曲はもちろん、明治座ならではの趣向を凝らした演出で魅せる、デビュー50周年を記念した特別なステージ!