好評につき、公演を重ねているシーボルト父子を描いた作品、シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ~2024が開幕。
昨年のシーボルト来日200周年という節目の年であったが、長崎各所での【シーボルト父子伝】の舞台や博物館などでの記念事業はもとより、東京を始めとするシーボルト縁の場所でのシンポジウムや企画展、更には萩の熊谷美術館ではシーボルトが持ってきた日本最古のピアノを使用したコンサートが開かれ、舞台【シーボルト父子伝】の主演でもある鳳恵弥が歌い、パッパラー河合がギターを奏で、爆風スランプのサウンドプロデューサーでもある西脇辰弥がそのピアノ演奏を行った。
舞台の主題歌や挿入歌、爆風スランプのRunnerに加え、シーボルトが作曲し、帰国後に本国で発表した『シーボルトのかっぽれ』も披露された。
2023年の200年前1823年にはまだシーボルトは長崎におり江戸(東京)には来ていないが、その3年後、シーボルトは初めて江戸の地を踏む。東京では2026年のシーボルト記念事業の準備が進んでいる。また、本年は主人公でもあるハインリッヒ・シーボルトの没後115周年。初演、再演、再々演、そして昨年の新作公演を重ね、今年、新作上演。主人公ハインリッヒの父フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト役を引き受けたのは渡辺裕之の盟友、京本政樹。
開演前、賑やかにキャストが登場し、前説を行ったり、また、撮影タイムを設けたり、早めに席についておきたい。また、パッパラー河合がの生演奏も。それから始まる。
再演を重ねている作品、芯の部分は変わらないが、観るたびに新たな発見があるのがこの作品の特徴。歴史の授業で必ず出てくる「シーボルト事件」。この物語はこのシーボルトではなく、彼の息子、次男の弟 ハインリッヒ(ヘンリー)・フォン・シーボルト(Heinrich von Siebold)を中心に展開していく。
日本の近代史に興味があるなら、ここで描かれている内容は興味深いものがある。大森貝塚の発見者はモース、と授業で教わるが、最初に発見したのはハインリッヒであることがここでわかる。また、日本の近代化に大いに貢献、「考古学」と言う言葉もハインリッヒが書いた『考古説略』が基になっているとも言われている。歴史上の著名な人物、西郷隆盛、大久保利通ら、多数登場。
10000円札の渋沢栄一、前回も登場したが、今回はお札を模したタオルを持って!また、シーボルト兄弟、文化のみならず、外交にも助力、そんな彼らの姿が様々な歴史上のエピソードとクロスしながら語られていく。ハインリッヒは晩年、病を得て帰国、日本に戻ることなく病死するが、その前に天皇に兄弟揃って謁見、陛下は父シーボルトの事も追憶、父子の功績にお褒めの言葉を兄弟に。
日本をこよなく愛し、そのために生涯を捧げたシーボルト父子。メインキャラクターのハインリッヒ役は初演から持ち役にしている鳳恵弥、シーボルト父に京本政樹、これがなかなか雰囲気があり、こちらも当たり役。兄のアレキサンデルは林野健志、長身で舞台映えする容姿、そして兄貴らしい雰囲気。ラスト近く、弟に寄り添うシーンは感涙。初演から好評の歌も交えての上演時間はおよそ2時間30分。公演は8月11日まで。なお、ゲストも多彩、こちらもお楽しみに。
会見の様子
<2021年レポ記事>
<2022年レポ記事>
<2023年会見記事>
概要
ハインリッヒ・シーボルト没後115年記念公演「シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ~受け継ぐ者達」
日程・会場:
東京:令和6年8月8日~8月11日 博品館劇場
長崎:令和6年9月~11月頃 2公演 ※小中高生全招待 劇場 長崎市内
総合演出 木村ひさし
演出&脚本&主演 鳳恵弥
音楽&出演 パッパラー河合(爆風スランプ)
特別出演 京本政樹
出演:鳳恵弥 / 山本圭壱 / パッパラー河合 / 林野健志 / 齋藤ヤスカ / 久保沙由李 / 福田美姫 / 深沢遥香
プロデュース ACTOR’S TRIBE ZIPANG
企画/原作 関口忠相 (シーボルト子孫)
協力 日本シーボルト協会 築地居留地研究会 長崎居留地研究会 長崎市 中央区 出島 シーボルト記念館 熊谷美術館 他
公式X:https://twitter.com/siebold_fushi
舞台写真提供:主催提供