20周年記念公演『振り向け!』は、2023年から始めた、演劇を続けていくための手段としてアトリエクロイハコにて不定期に行う発表会、通称「ハコ会」の第一弾として発表した作品を、ブラッシュアップし劇場に挑む、第18回目の公演。
異なる立場の二人の女性の交錯を通して、個人の葛藤と社会の歪みを鋭く切り取り、「持てる者」と「持たざる者」という普遍的なテーマを、日常に潜む偏見や同調圧力といった身近な問題に重ね合わせていき、二人の女性の微妙な関係性を通じて、現代を生きる人々の孤独や不安を浮き彫りにしていく。
作・演出は主宰の杉田鮎味。出演は、長尾長幸、杉元秀透、わたなべあきこ、梢栄、リサリーサの劇団員俳優が総出演。また、日替わりゲストとして、北川竜二(22日(金))、タテヨコ企画の館智子(23日(土))、林佳代(24日(日))の出演が決定。さらに、劇中での映像キャストに、鈴木祥二郎、高野ゆらこ(※友情出演)を迎える。
劇26.25団:杉田鮎味より
『振り向け!』は、我が子が3歳になる頃から漠然と頭の中にあった「性教育」を取っ掛かりにして描いたものです。
この日本社会においては、性教育の遅れ、人権教育への興味の無さ、寝た子を起こすなといった権力者の怠慢が、末端に生きる人間たちに「ひずみ」を生み出しているんじゃなかろうか、なんて思っています。
それから、ずっと描きたかった「二人の女性の友情」をようやく形にできたなと思っています。友情、と呼ぶには違和感があるのですが、それをなんと定義したらいいのかわからないのです。それでいいと思っています。
もしあなたが、物語を観る上で何かはっきりとした答えを知りたい性格なら、観ない方がいいかもしれません。なぜならこの作品には何の答えも示されていないからです。
こうして20年という年月を劇団とともに歩み続けてきて思うことは、「演劇っていいよね」ということ。それを思わせてくれたのは、劇団員であり、
一緒に作品作りに携わってくれた全てのキャスト・スタッフの皆さんです。
そして、今までニーゴーダンの作品を観てくださった多くの方々(それは、のっぺらぼうのような存在であり、うみぼうずのような存在であり、まだ名前のない得体の知れない妖怪のような存在)が、わたしの精神を震わせ続けてくれたお陰です。
今回の劇場公演では、信頼のおけるゲストの皆様と、すばらしいスタッフ陣の力をお借りして、劇団の集大成となるような作品をお見せできると思います。
劇団について
劇26.25団
ゲキニジュウロクテンニーゴーダン。
通称、ニーゴーダン。
2004年11月旗揚げ。
主宰の杉田鮎味が全作品の脚本・演出を担う。
東京を拠点に活動中。
現代の日本を舞台に、社会の境界線に立たされ
ている人物を切り取り、その背後にあるものを
立ち上がらせる作風。
サスペンスフルな物語展開を特徴とし、大きな
波に翻弄される人間の無様さや可笑しみを描く。
2008年に第5回公演『博愛』で佐藤佐吉賞(優秀脚本賞)を受賞。
[劇26.25団 劇団員]
杉田鮎味 長尾長幸 杉元秀透 わたなべあきこ 梢栄 リサリーサ
物語
雨宮奏子(あめみや そうこ)は、アパートの大家として平穏な日々を送っていた。
その静寂は、アパート住人である鴻坂萌(こうさか もえ)とその3歳の息子の存在によって揺らぎ始める。夜な夜な幼子を背負って帰宅する鴻坂の姿に、雨宮は次第に心を奪われていく。
一方、シングルマザーとして奮闘する鴻坂の人生は、突如として訪れた元夫の死によって激変する。昼はイラストレーター、夜はスナック勤めという綱渡りの日々。そんな中、息子が保育園でトラブルを起こし、彼女の世界は更なる混沌に陥る。
二人の女性の軌跡は、コワーキングスペース「ポート」を舞台に交差する。雨宮は鴻坂親子を守るべく、ベビーシッターとして彼らの生活に入り込んでいく。しかし、その行為は果たして純粋な善意なのか、それとも。
社会の偏見、階級の壁、そして同調圧力。様々な要素が絡み合う中、雨宮と鴻坂の関係性は複雑に変化していく。二人の女性は、互いの存在によって何かを取り戻し、あるいは失おうとしているのかもしれない。
雨音が鳴り響く夜。雨宮は一つの決断を迫られる。
その選択が、二人の運命をどこへ導くのか—。
概要
日程・会場:2024年11月22日(金)~24日(日) 下北沢OFF・OFFシアター
作・演出:杉田鮎味
出演:長尾長幸 杉元秀透 わたなべあきこ 梢栄 リサリーサ
日替わりゲスト: 北川竜二 舘智子 (タテヨコ企画) 林佳代
劇中映像出演: 鈴木祥二郎 高野ゆらこ※友情出演
公式サイト:https://www.25dan.com/furimuke